4話
はいまた朝が来ました、起きたくねぇ
はぁ…本当に何で入学したんだろう、まあ入らなかったら親父にシバかれるだろうけど…それだけは勘弁
そんな訳で今日も1日が始まる
午後
実技の時間ですよー…え?午前の筆記どうしたかって?
寝てて全く聞いてないですが何か?それでも小テストは満点だったから何の問題も無いでしょうね
まあ一回ツツジ先生に『彼岸花』飛ばされたけど……かなりスレスレで避けた、マジでビビった
そして現在仮想空間なるところに居ります
「今日も昨日と同じだ、では好きに始めろ」
始まると同時にルークに声をかけられる
「ディラン君、僕と一戦どうだい?」
「構わんよ、相手になる」
ルークは手に一本の剣を出現させる、すると剣の周りに炎が渦巻き始める
「炎の異能か、魔法みたいだな」
「よく言われるけど僕の『永久炉の炎』は魔力という縛り無しで生み出せるからね、それに見てくれこの炎!僕の様に美しいだろ!」
「あー…うん、そうだな……魔力消費無しで出せるのはなかなか良いな」
「だが…生み出した全ての炎を操れる訳では無いんだ、まだ未熟者なもので」
「まあ操れるだけ凄いだろ」
魔力について少し説明
人間誰しもスタミナというものがあるだろ、それと同じ様に魔力というものがある
体を動かすとスタミナが減るように魔法を使うと魔力が減っていく
勿論魔力が尽きれば魔法は使えなくなる、用途の違う体力と考えればいい
「じゃあいくよディラン君」
「ああ、来い」
勢いよく飛び出してくるルーク、炎の剣での斬りつけ
結構熱いねコレ
「まだまだ行くよ!」
更にそこからの連続攻撃、思ってたより強いなコイツ…なかなかの動きをしやがる
「『炎の波動』!」
剣の先から大量の炎を放出する、『重力転換・加速』を小出力で使い離れる…おお、カッコいいね
「どうだいディラン君!美しいだろう!」
自分で言わなければの話だがな
斬撃は剣が炎を纏っている為素手で弾く事は…まあ出来なくは無いだろうが念の為重力で弾く
いや、だって…結構熱いから
「ほいっと」
「うお!?」
少し重力をかけた蹴りを剣へ当てる、すると剣はルークの手を抜け飛んでゆく
すかさず右拳をルークの前に突きだす
「さて…どうする?」
「ぼ、僕の負けだよ…流石だねディラン君」
「お前の動きもなかなか良かったぞ」
「ありがとう」
さてこれからどうするかな……向こうを見やるとバカップル組とウェイブ・フェルトと…誰だアレ?
「なあルーク、ウェイブ達と組んでる人って誰だ?」
「ん?ああ、あの人は3年生のウォーレンさんだよ…確か異能は『音の領域』だったよ」
「超音波って事かそれ?」
「大方そうだろうね」
ふーん…なかなか便利だな、ソナーとかやろうとすればソニックブームも出せると思うし
というか、3対2にしてもあのバカップル共と渡り合えるってなかなか凄いな
「なあ、因みにウェイブとフェルトの能力って?」
「ウェイブ君が『念動波』でフェルトさんは『臨戦時の指揮』だよ」
「そのフェルトの能力って何だ?」
「かけた相手の攻撃速度や移動速度を上げるものだよ」
成程、完全なサポートか…悪くないというか面白そう
……てか何かウェイブの周りにナイフが3本程浮いてるんだがそういう仕様か?
「なあ、何でウェイブの周りにナイフ飛んでるんだ?」
「ウェイブの能力は生命体を動かせるほど強力なものでは無いがあの様な小さな物を浮かせる事は出来るんだよ」
何でコイツこんなに詳しいんだよ、ものを浮かせる程度か…それであんな使い方してるのか、実に面白い
まあさっきから見てたけどウェイブ達なかなか強いな
あ、レヴィの方が狙われた…こりゃ決着ついたな
案の定レヴィの方がウォーレンさんのソニックブームを食らいダウンしてしまい『防護壁』が外れてしまう
「あちゃー、やられたなこれは」
「2組ともいい戦いだったね」
「ああ、しかし即席であいつらに勝つとは…なかなかやるな」
そんな事を呟いていると大勢の騎士であろう生徒達が仮想空間内に出現する
「あれ?何でいるんだ?」
「貴方、また聞いてなかったでしょ…今日は騎士と合同よ、まあ場所だけ供用よ」
いつの間にか現れたソフィアさんの解説が入る
あー…そういやそんな事をツツジ先生言ってたような気がしなくも無い
と、大勢の生徒の中から怒号とも言える程大きな声が聞こえる
「あ!!テメェ!!!」
取り巻き達とズカズカと俺の前に歩いてきたのはお馴染み序列2位のルーズ君ですね
相変わらず喧しいなコイツの声
「一昨日はよくもやってくれたなぁ?あ''あ"!?」
「あ?知るかよ、五月蝿いから向こう行ってろ」
「テ、テメェ…もう一回勝負だ!」
「一回負けてるのによく挑めるよなお前…その図太い神経だけは褒めてやる」
「ハッ!あの時の俺は闘気を使って無かったからな、ここでなら問題無いだろ」
「面倒臭せぇ、授業にまで因縁持ち込むなよ…全く勘弁して欲しい……なあ先生?」
スグそこにいたツツジ先生に同意を求める
「戦闘を許可しましょう、文句があるのなら力で示しなさい」
「えぇー…そんなぁ」
ツツジ先生に聞いた俺が馬鹿でした
そうだよ、こういう先生だったよなこの人は……
「だそうだ、俺の本気を見せてやる」
「また面倒臭いし全員で来いよ」
「ど、どこまで馬鹿にする気だテメェ!!絶対ぶっ飛ばしてやる!!!」
今回は取り巻きとルーズ諸々一斉にかかってきた
さてさて、異能だけで沈めてやるか
「うぉぉ!!『闘気技・撃砕』!!!」
上から鉄拳を振り下ろす、後ろへバックステップ
横から来たヤツへ回し蹴りを食らわす
「チッ…囲め!全員で叩き潰せ!」
周りを取り巻き達とルーズに囲まれる、さてさてどう出て来るかな
「食らえ!」
飛びかかってくる取り巻き達
前から来る奴をケンカキックで吹き飛ばし、右から来た奴の顔面へハイキックをかます…そして左から来る奴は正拳突き
暫くの間掛かってくる奴をそんな感じで往なしまくっていた
そろそろいいかな
「『重力変化・超重化』」
途端にルーズ達は地面にへばりつく様に倒れる
うむ、実に滑稽なり
「ぐ、ぐおおおおお!?」
「な、何だこりゃあ!?」
「ハハハ、虫ケラは虫ケラらしく地面に這いつくばってろ蛆虫」
ルーズ達にかかる重力を20倍位にしておいた、これで動ける奴はそうそういない…ウチの親父ぐらいだな多分
「本当…何で貴方がやるとそうなるのかしら」
「さぁ?性格の問題じゃないですかね…」
「な、舐めるなよぉぉ!!」
踏ん張りを効かせ立ち上がろうとするが体か言うことを聞かないのか全く動けない
踏ん張るルーズの前へしゃがみ込みに上から見る
「あーあーまたまた情けないねぇ…しかも今回は手も足も使って無いのに、最高に可笑しいぜ?今のアンタ」
「ク、クソがぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ハハハ、足掻く姿もまた浅ましく滑稽だなぁ…何度挑んでも同じだというのに、それにすら気付けない程馬鹿なのかな?」
「て、テメェ!……ふん!そうやって俺を罵ることしか出来ない能無しの臆病者めが!!」
「………イラッ」
ボグゥッ!……鈍い音が仮想空間内に響き渡る、と思うと次の瞬間にはドガン!と大きな音が響く
「ちょ!ディラン何しッ!?……何したの?」
「あぁ?……ああ、ちょっとイラッとして」
向こうには白眼を剥いたルーズが気絶していた、まあそのまま強制送還されたけど
何をしたかって言ったら…ちょっと闘気使って思いっ切り蹴り飛ばしたとしか言いようがないんだが、そこら辺をソフィアさんへ説明する
というか何で一瞬黙ったんだソフィアさん?
「え?ちょ、ちょっと待って…蹴り飛ばしたって事は……20倍の体重の人間、しかも大柄なルーズを蹴り上げたってこと!?」
「まあそうなりますね」
「本当に化物ね貴方……」
「ソフィアさんも出来るでしょうに……それにその言葉はソフィアさんだけには言われたくないです」
他の取り巻き達は重力を戻してやると一目散に逃げて行った
因みに他の騎士の人達はと言うと
「ヒュー!やるねえ君!」
「スカッとしたぜお前!ナイスキックだったぞ!」
「日頃アイツには少しイラついてたからかなりスーッとしたわ」
「ナイス、マジで」
2年生以上を中心に色々と盛り上がってた、アイツやっぱり同じ騎士達にも好かれては無かったみたいだな
あ、そう言えば
「ソフィアさん、さっき何で一瞬言い淀んだんですか?」
「え?ああ、あれは……あの時の貴方から今まで生きてきた中で感じた事が無いほどの殺気がとんできたからよ」
あらまぁ、柄にも無くそんなに怒ってましたか
かなりイラッときたけどそんなになってたか、俺もまだまだ青いな
「よ!ディラン、大分怒ってたみたいだな」
「オリヴァーか、久しぶりに結構イラッと来た」
「あら、つい先日もイラッと来てなかったかしら」
「食堂でのアレは完全にキレてたよレヴィ」
そんな話をしているとツツジ先生が授業終了を伝え、全員仮想空間から元の世界に戻った
「この後どうするディラン?」
「んー…夕飯食いに行くか」
「そうね、そうしましょうか」
その後…本当に何も無く夕食を済ませ、そして眠りについたのだった
side change
あ…どうも、ルーズさんの取り巻きやってるザックという者です
実技の時間にディランという男子生徒に大人数でフルボッコにされました
そこでやられたままでは引き下がれない我等がルーズさんが寝込みを襲う…つまり奇襲をかけようということです
「いいかお前ら、部屋に入ったらまずはアイツが寝てることを確認しろ」
作戦は、まずディランが寝ているかを確認…次に一斉に袋叩きにするというもの
流石はルーズさん、やる事が人とは違うぜ!
「物音を立てるなよお前ら…ゆっくり忍び込め」
ルーズさんの指示の元静か〜に部屋へ侵入することに成功した
ディランはベッドの上で夢の中……でも、あれ?何か掛け布団が盛り上がっていない様な…まあいいか、よし…いくぞ!
side out
はぁ…何かと思えばコイツらか、人が気持ちよく寝てるってのに
ちゃんと止め差しといておかなくちゃな
今何処にいるかって?重力転換して天井に引っ付いてます
「やれお前ら!袋叩きだ!」
誰も寝ていなベッドを何度も何度も叩く馬鹿達、見てて本当に面白いなぁ
「はぁ、はぁ…コレで少しは……って、何だとぉ!?」
随分と叩いた後掛け布団を捲り俺を確認しようとしたルーズ、しかしそこには人のヒの字も無かった
「『重力変化・超重化』」
「ぬおぉぉぉぉ!?」
「な、何で上に!?」
実技の時に見た光景が今度は俺の部屋で起きている
いやいや、実に滑稽だよ
「よくまあ懲りずに来るよなぁ、やっぱ馬鹿だよなお前ら?」
「て、テメェ気付いていたのか!?」
「まあアレだけ気配が駄々漏れなら誰でも気付くっての、騎士ってやっぱり脳筋ばっかだよなぁ」
するとツツジ先生が来る
「おいお前ら!もう就寝時間は過ぎてるってのに五月蝿い!何やって……本当に何やってんだお前ら?」
少々事情説明中
内容…いきなり現れたルーズ達が俺のベッドを袋叩き、逃げ出して反撃したという事にしておいた
その後鬼の様な形相をしたツツジ先生に引き摺られて何処かへ運ばれて行った馬鹿達
これでようやく寝れる…ではおやすみ
因みにルーズ達はと言うと…翌朝まで反省室でツツジ先生にコッテリと絞られたそうだが
……まあ自業自得だし俺には関係無い