19話
三日目が始まると同時に魔法科と騎士科の生徒達が又もや編隊を組み、異能科へと攻め入る
異能科教室のサイドにある細い通路を抜けて目の前まで迫っていた
そして防衛であろう異能科生徒達と戦闘を始める
しかし一人の騎士が違和感を持つ
「どういう事だ?何故こうも人数が少ない」
「中に潜んでるんじゃないのか?」
「……まあ、そう考えるのが妥当だな」
明らかに昨日より人数が少ないのだ
数で完全に押し切られ異能科生徒達は陣地の校舎まで押し込まれてしまった
そして部隊は校舎内へと攻め込む
しかし、異能科の生徒達は誰一人として校舎内に存在していなかった
「何!?どうなってやがる!」
「兎に角探せ!」
瞬間、魔法科による爆撃が中の者達や教室を吹き飛ばした
遡ること一日前
「作戦は先ず俺とソフィアさん、オリヴァーとレヴィに委員長以外には始まると同時に騎士科校舎へ逃げてもらう…魔法科の爆撃はそう簡単には防げないからな
、残る俺らで騎士の奴らを校舎内へと成るべく多く誘導する」
「ディラン、委員長というのは俺のことか?」
「それ以外誰がいるんですか」
「……まあ、別に構わんが」
「それよりディラン、中に人がいる間は爆撃が来ないのよ?」
「何、爆撃支持は騎士科がするんですよ?
そこでフェルト、お前には特別任務を与える」
「私?何故?」
まあ理由は色々とあるんだが、機動力を上げる異能を持っているってはデカイかな
「まあそれは色々とあるんだが、適当に騎士科の奴から甲冑を奪っとくからそれ着て魔法科に向かえ…ああ、途中で腰に赤い布を巻いたやつを仕留めとけ…それでもってカノナさんの指示を仰いで爆撃の指示を出せ」
「分かったわ、潜入なんて初めてだからどこまで上手くいくかは保証できないわよ?」
「構わないさ…伊達に俺の特訓を生き抜いてきたわけじゃあるまい?」
「信頼されているなら熟してみせるわよ」
遡ること一時間ほど前
「…ディラン、これどこから持ってきたのよ」
「始まって直ぐに一人を人目のない所に引き込んで沈めて奪った」
「……そう、これを着ていけばいいのね?」
「おう、任せた」
「任されたわ」
自分に『臨戦時の指揮』を掛けて駆け出す
目指すのは魔法科陣地
流石に騎士科の生徒達に見られるのは不味いわね、出来るだけ人目が付かない場所を選んで移動することにしましょう
「居たわね、腰に赤い布」
後ろから迫り首を打つ、気絶させ布を奪う
「さて…仕事を始めましょうか」
魔法科陣地のスグ近くまで到着した、後はカノナさんの指示を待つだけ
『フェルトさん、今です』
指示を受け魔法科の現トップの元へ駆ける
「爆撃の指示を任された者です、爆撃をお願いします」
「随分と早いですね…そんなに早く方がついたのですか?」
「そうだよなぁ…ん?お前、指示を受けた奴じゃなくないか?」
魔法科の陣地にも騎士科が居たのね、少し誤算だわ
「赤い布なら巻いていますよ」
「あ、ならいいのか」
本当に馬鹿よね騎士科って、頭の中がどうなってるのか気になるわ…まあその方が好都合ね
「リーダーからも支持を早めるように言われたので」
「……そうですか、アラン!爆撃の準備を!」
「了解しました…ごめんねディラン」
ん?今何かボソッと呟いたような……気のせいかしら?
「早くしなさい!」
「はい!はぁぁぁ……『炸裂』!!」
異能科の校舎内で凄まじい爆発が起きる、中からは騎士科生徒だけが吹き飛んで出てくる
「何!?どういう事だよ!!」
「騎士科生徒しか吹き飛んでいないだと?」
「おい!さっきの奴は……って居ねぇ!?」
爆撃を見届けると同時にその場から一目散で逃げ出した、尋問は受けずに済みそうね
ふぅ…にしても、甲冑って結構暑いのね
途中で邪魔だから脱ぎ捨てておくとしましょう…さてと、後はディラン達に任せるとしましょうかね
校舎内へと騎士科魔法科合同編隊を誘い込むことに成功した後、騎士科校舎内にて他の奴らと合流していた
そして直ぐに校舎内が爆発する
「よっしゃ作戦成功、ザマァ見やがれ騎士科の連中めヒャハハハハ!!」
「本当、性格最悪よね」
「褒め言葉ありがたく受け取っておきます」
勝てば良いんだよ勝てばね、それに先に仕掛けたのはアッチだ
お返しされる事くらい覚悟してもらわなきゃ
「さて皆様、絶対に死んではいけない6時間が始まりましたよぉ……死んだら覚悟しとけ」
「「「「「「「「イエッサ!!!」」」」」」」」
「よし、じゃあお前らは適当に校舎内へ散らばれ…敵が来たら応戦してよし、どの道すぐ来るだろうから」
「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」
各々散らばり始める、後は適当にやっとくか
「早速お出ましかな」
廊下の反対側に騎士科と魔法科の編隊が迫っていた
しっかりと前衛である騎士が後衛の魔法科達を守っている
面倒な編隊だよ本当、これ考えた奴も大概だと俺は思うね
まあ、だからどうしたと言う話だがな
「覚悟しろ!」
「邪魔だ退け」
蹴りを食らわす、窓を突き破り下へと落ちていった
もう一人騎士科生徒が居たので鳩尾パンチで後ろへ吹き飛ばしておいた
「なっ!クソ!」
あと三人が魔法科か…近接が出来ない野郎が勝てると思うなよ
魔法を放つが全て避け目の前まで迫る
「鈍い鈍い、そんなんじゃ当たらんぜ」
「フグっ!?」
「ウガッ!!」
二人を殴って沈める、もう一人は胸倉をつかみ持ち上げる
「いやー、作戦が失敗した気持ちってどんな気持ちなんだろうねぇ?なあなあ今どんな気持ち?」
「う、うるせぇ……」
「そんなこと言わずに少し教えてくれたっていいじゃないか」
「黙れ!」
「ならしょうがないか、じゃあな」
さっき騎士科の奴がブチ抜いた窓から投げ捨てる
さてと、程々に楽しんでおきますかね
次の部隊がやって来ましたか、さてさてどう遊んでやろうかな
不意に窓を見やると人が落ちていった
「……ディランかしら」
「だろうな」
「と言うことは敵がもう校舎内に来てるってことよね」
「安心しなハニー、何があっても守るのが俺の役目さ」
「あら、嬉しいわダーリン」
っと、前方から編隊を組んだ奴らが迫っているな
ハニーにカッコイイ所を見せるための糧となってもらおうか!
「ハニー、宜しくな」
「勿論よダーリン」
ハニーに『防護壁』を張ってもらう、そしてそのまま敵部隊に突っ込む!!
「ぶっ飛べえええ!!」
「な?はっ!?」
「うわああああああ!?!!?」
ど真ん中を突っ切っる、右側の奴らは窓を突き抜け外へ落ちていく
左の奴らは壁に激突して伸びている…瞬殺とは正にこの事よ!
「流石ねダーリン」
「フッ、この位朝飯前さハニー」
次の瞬間、前の天井がブチ抜けディランと他科の奴等が落ちてきた
因みに他科の奴等内一人は恐らく叩きつけられたのだろう、頭を鷲掴みにされていた
そしてそのまま俺達が立っている階の床をブチ抜いて下へと落ちていった
「……ご愁傷さまだな、アイツ」
「そうね、取り敢えず同情は出来るわね」
不意に窓を見やると人が複数人落ちていくのが見えた
……ディランかしら、いやディラン以外有り得ないわね
「まあ廊下も狭いししょうがないと言えばしょうがないのかしら」
「おい!序列1位がいたぞ!」
「数で押せ!」
こんな狭い通路で編隊なんて組めないのに、阿呆なのかしら
まあいいわ、取り敢えず相手してあげましょうか
「さあ来なさい」
「舐めんなよ!」
一本道で複数人を相手にするならば……先頭を後方へ思いっ切り吹き飛ばすのが一番手っ取り早い
「はぁぁぁぁ!!飛べ!!!」
踏み込み一番先頭の騎士科生徒へ肘打ちを当て、吹き飛ばす
「ぐぉぉぉ!?」
「な!お前こっちに来…!!」
……ちょっと力入れすぎたかしら、後ろにいた4人程を巻き込みながら後ろの壁へと猛スピードで吹き飛んでいく
壁に当たると突き抜けて向こう側へ飛んでいった
こんなものか
と、瞬間……轟音と共にディランと異能科以外の生徒複数が落ちていく
そしてディランの片手には他科生徒の頭が鷲掴みにされていた
その事から大まかな事情はわかった気がした
「…ご愁傷さまね」
そしてそのまま下へと落ちていった
不意に窓を見やるとズドン!ズドン!と音を立てて他科生徒が落ちてきた
……ディランか
現在、俺は1階を見回っている
敵は恐らく上の階を目指して行った様で、一階には姿が無い
「一階は平和だな」
と、次の瞬間…天井が崩れ落ち辺り一面が砂埃で視界が悪くなる
と言うか今ズガァン!とか凄い音がしたんだが…何事だ?まさか他科の奴等か?
「痛ってぇ……あ、どうも委員長」
瓦礫の中から姿を現したのは…やはりと言うかディランだった
痛ってぇ、ちょっとやりすぎたかもな…まあいいか
と言うか五階から一階まで落ちてきちゃったな、まあいいか
「痛ってぇ……あ、どうも委員長」
「大丈夫かディラン?」
「俺は何ともありませんよ、委員長の方は何かありましたか?」
「一階には敵が全然いなかったな、殆ど上へ向かったらしい」
「あー…成程、ありがとうございます」
ここで終わりを告げる放送が入る
『はーい終了ー!!皆お疲れ様〜、さてさて気になる三日目結果発表どどんと!』
騎士科 579点・魔法科 529点・異能科 391点
うーむ、まあ今回は爆撃を避けれたから良しとするか
被害は最小限に出来たからな、さて…こっからどう追い上げるかなぁ
夜中、湖にて
「おいマーフェル!あれは一体どう言う事だ!!」
「どうと言われましても、こちらは指示が来たので撃ったまでの話です」
「指示だと?俺はそんなに早く出した覚えはないぞ」
「しかしながら確かに赤い布を付けた騎士が来ましたが?」
「……どうなってやがる」
「まあ、恐らくは異能科に嵌められたのかもしれませんね」
「…チッ、ディランの奴か……」
だが…コイツらが嘘を言っている可能性も考えられなくはない、このまま同盟を組んだままにするのは危険か?
「ディラン…確か今序列2位の奴ですか」
やはり騎士科と手を組むのは最善策では無かったかも知れませんね…今考えれば穴だらけの作戦でしたね今回のは、同盟を組んだままでは恐らくこちらの点数が上げられない
「まあ、今日のところはこの辺にしておくか」
「そうですね…では明日もよろしくお願いします」
そう言って船は陸へと向かって行った
「……と言う訳だ、お互いに疑心暗鬼になってる様だな」
まあ予想はしてたがここまで上手くいくとはな、このまま行けば同盟は崩れ去る…計画通りだな
てか、またあの気持ち悪い肺活量で待ち伏せ&盗み聞きしてたのかこの人
「おいディラン、言いたい事があるなら口で言え」
「ハハハ、そんなまさか」
取り敢えず、作戦は大成功ってことだな…明日が楽しみだぜ




