1話
とある大陸にアルニラム王国、シェダル連邦国、アルタイル帝国という三国がある
三国は数100年間戦争を続けていたのだが50年前に突如現れたとある男が、三国を壊滅直前まで追い込み呆気無く終わりを迎えた
その男は戦争が終わるとスグに姿を消したという
俺何で此処に居るんだろう…面倒臭い
「どうしたディラン、浮かない顔して」
「あー…いや、何でもない」
ディランってのは俺の名前、話し掛けてきたのは幼馴染のオリヴァーという男
取り敢えず馬k…おっと失礼、賑やかな性格をしている
「どうせまた面倒臭がってるんでしょ?」
「仕方ないだろ、面倒臭いものは面倒臭いんだよ」
「ディランらしいわね」
こっちのヤツはレヴィ、オリヴァーと同じで幼馴染の女
かなり美人に分類されると思うのだが…
「俺は学園楽しみだぜ、だってレヴィと一緒に学べるんだぜ?なあハニー」
「ええ私もよダーリン、本当に楽しみだわ」
まあ、上の通り付き合ってる訳なんですよね
何でこっち方面に進んじゃったかな、相変わらず気持ち悪ぃ
「相変わらず気持ち悪ぃ」
「せめて心の中だけにしておいてくれよ」
「おっと失礼した、つい言葉に出てしまったな」
そんな二人と共に入学するこの『学園』と呼ばれる言わば学校だな
三国に挟まれる様な形で大陸のド真ん中に建っている
主に『異能』『騎士』『魔法』の3つに科が分類される
因みに俺達は『異能』に入学する
と、まあそんな訳で入学式の為体育館に向かっています
そしてこの学園は『序列』というものが存在する
学園全体で付ける力の順位みたいなもんだな
んで、体育館到着
「あ〜面倒臭いな入学式、早く帰りたい」
「まあまあ、そろそろ始まるから静かにしとけ」
「我慢してなさいよディラン」
そう言う幼馴染二人は腕組んで見せつけてますなぁ
凄いどうでもいいけど
ザワついていた周りが静かになった、式が始まるようだ
なるべく手っ取り早くお願いしたい
式が終わり自分達の寮へ帰る事になった、因みに寮は校舎の隣に隣接されている
何か序列1位とか2位とかが話してたけど全く持って興味無くて聞いてなかった
この学園は科ごとに寮が設備されており一人一部屋与えられる
よっしゃ寝るぞ、思っていると
「そこの君、ちょっといいかな」
「俺ですか?」
「そう、少し話があるから付いてきてくれる?」
「……分かりました」
畜生、というかこの人どっかで見た様な……あ、序列1位だ
興味無かったから全然覚えてなかった
しかしこう近くで見るとスゲェ美人だな
腰あたりまで伸びてる黒髪もいい感じにマッチしてるし、体の発育もなかなか…失礼した
「えっと、名前なんでしたっけ?」
「式で言ったと思うけど…ソフィアよ、覚えておいてね」
「あ、はい」
ソフィアさんに連れられて学園内に入る、これ何処に向かってるんだ?
「あの、何処に行くんですか?」
「学園長室よ」
え?俺なんかしたっけ……あ、入学試験の時にちょっとヘマしたけど、多分気づけれてないと思うし…何だ?
悶々と考えているといつの間にか学園長室の前に着いていた
「学園長、言われた生徒を連れて来ました」
「お疲れ様、入っていいよ」
中に入ると一人の男が椅子に座っていた
金髪だしイケメンだし…何か雰囲気的にチャラいなこの人
「さてと、ディラン君…だったよね?」
「はい、そうです」
「僕は学園長のオーヴェン、以後よろしくね」
オーヴェン?どっかで聞いたような……ああ、三国を一人で壊滅直前まで追い込んだ人
「オーヴェンってあのオーヴェンさんですか?」
「そうとも、よく知ってるね」
「まあ、有名ですからね…というか50年も前の事ですけど若すぎやしませんか?」
「そりゃ僕は『魔族』だからね」
『魔族』ってのは俺達人よりも遥かに強大な魔力と呼ばれる力を持っている種族、主に魔法を使う
寿命も人間の比じゃないが見た目は完全に人と一緒、偶に角の生えた者も居るが大体皆隠している
「因みにソフィアちゃんはエルフなんだよ」
「へえ、そうなんですか」
「何だい?興味無さそうだね」
「まあ、特に気にしてませんからね」
確かに耳長いな
エルフは人より身体能力がかなり高い、主に異能を使う者が多い…そして『魔族』もそうだが何より人間とは比べ物にならない程老いないし長生きなのである
それと余談だが、美女美男が多くスタイルもいい
「おっと、大分話が逸れてしまったな…失敬」
「いえいえ、それで話とは?」
「君……異能以外にも力を持っているね?」
はいバレてました
入学試験の時に異能以外に騎士の力をチラッと見せちゃったんだよね、気づけれてないと思ったけどバレてたか
騎士の力ってのは『闘気』と呼ばれるものなんだけど、主に人が使い身体強化とかができる
「僕も最初は確信が持てなかったんだがそこのソフィアちゃんも見たって言うもんだから」
「……はぁ、バレてました」
何でこんな事で呼ばれたかって?
二つの力が使える時点で既に人知を超えているって事なんだよ
普通の人は一つしか使えないからね、俺が二つ使えるのはまた今度話すとしよう
「そうなると…君には序列2位になって欲しいのが本心なんだよね」
「絶対嫌です」
序列2位?絶対嫌だねそんな面倒臭いもの
「そ、即答だね…もう少し考えてといいんじゃないか?因みに理由は?」
「俺には務まらないですよ」
「本心は?」
「そんな面倒臭い事は真っ平御免ですね」
「序列2位を面倒臭いって貴方…」
ソフィアさんが何か言いかけたが黙ってしまう
「まあ理由は人それぞれだしね……時間も余ってるし…そうだな、君のことについて聞かせてくれないか?例えば趣味とか」
「趣味ですか……敢えて言うなら弱者を蹂躙する事ですかね」
「貴方最低ね」
「奇遇だね、それには僕も強く同感するよ」
「え?学園長?」
「それはまた奇遇ですね」
俺は学園長の近くまで歩み寄り話し始める
「あの苦痛と呪詛と怨恨に塗れた顔が実に浅ましく滑稽ですよね」
「そうそう、どう足掻いても勝てない相手に何度も挑んでくる輩もまた面白いよね」
「ああ、それもありますね…あとは自分と相手の力量を見極められない馬鹿とかもいいですよね」
「…合わせちゃいけない組み合わせだったみたいね……」
暫く学園長と熱く語りあった、なかなか面白い人だな
最後にはグッと力強く握手した
「いやー、まさか君とこんな事で気が合うとは」
「俺もですよ」
すると突然神妙な顔つきになる学園長
「ところでソフィアちゃん」
「何でしょうか学園長?」
「また胸が大きくなったね?」
「!?何言ってるんですか!!そんな訳ないです!」
「なん…だと」
この段階から更に上に行くのか?計り知れないな
「いいや、実に1.5cm大きなったね…またYシャツがキツくなってきたんじゃないか?」
「うぐ…確かにキツくなってきましたけど」
「でしょ?なんなら今ここで僕が測ってグオッ!」
学園長の頭に土の鉄拳が振り下ろされる
怖っ、これあれだ…怒らせないようにしよう…前の机に顔めり込んでるし
「魔法…凄いですね」
「私も貴方と同じで魔法と異能の二つの力を持ってるのよ」
「ち、因みに僕は全部使えるけどね」
めり込んだ頭を上げながら学園長が言った
うわぁマジかよ、流石は三国を追い込んだ人
その後量に戻った、今度こそ寝ると思っていたのだが
「おい!どこ行ってたんだよ!」
ドアを勢いよく開けて入ってきたのは幼馴染のオリヴァー
「何処って、学園長室だけど」
「え?何で学園長室?まさか試験の時のバレたのか?」
「バレてました、まあ特に問題は無さそうだ」
「そりゃ良かった…面倒臭い事にしたくないなら気を付けろよ?」
「分かってるよ」
何でコイツは驚かないのかって?
幼馴染の二人は俺が二つの力を使えること知ってるからな
二人も特に気にしてないというかお互いの事がアツアツだから気にしてる暇がないって言った方が合ってるな
「取り敢えずもう夕飯の時間だし食べに行かないか?」
「お、食堂使うのか…俺も気になってたから行く……と言うかだったら早くレヴィ呼んでこい、先に食堂で待ってるぞ」
「おっといけね、早くマイハニーの所へいかなくては」
そう言って走っていった
何がマイハニーだ、見てて痛々しいからいい加減止めてもらえないかね
お前らは新婚の夫婦か、見てるこっちが恥ずかしい
「はぁ、食堂行こ」
食堂に着くと既に何人かの生徒達が利用したていた
彼処の席でも取っておくか
暫く座って待っているとバカップルが到着した
「遅せえぞ」
「悪いな、席まで取って貰って本当にスマン」
「ごめんねディラン」
「まあいいよ気にすんな、取り敢えずオリヴァー飯奢れ」
「やっぱ怒ってんじゃん!別にいいけどさ…」
人に奢ってもらう飯っていつもより美味しく感じるよな
そんな訳でオリヴァーが奢ってくれた飯を食っている
「はい、あーん」
「あーん…レヴィが食べさせてくれると格段と美味しいよ」
「じゃあ次はオリヴァーがやって?」
「ああ、勿論さ」
あれ?奢ってもらった飯がドンドン味気無くなってきたな、と言うか食欲が無くなってきた
テメェらは一人で食えねえのかよこのバカップル共
まあそれを気にしない俺だからコイツらも他人の前でイチャイチャするんだけどね
受け入れられてるから嬉しいのやら嬉しくないのやら
ふと声を掛けられる
「あら、ディランじゃない」
「あ、ソフィアさんどうも」
「同席いいかしら?この時間帯はどこの席も空いて無いのよ」
「全然構いませんが…いいかお前ら?」
「いいぜ別に」
「私も」
「有難うね」
そう言って隣に座ってきた
「え、て言うか知り合いなのかディラン?」
「ああ、まあ学園長室に呼び出された時にね」
「へえー…あ、俺はオリヴァーって言います…ディランの幼馴染です」
「私もディランの幼馴染でレヴィと言います」
「私はソフィアよ、これから宜しくね」
そんな話をしているとどこからとも無く怒鳴り声というか耳障りな声が聞こえてくる
「おいおいおい!異能科の雑魚如きが序列1位と話してんじゃねえ!」
食堂の入口からガタイのいい男とそれを取り巻くように複数の男達が入ってくる
「ソフィアさん、あれ誰?」
「式に出てたじゃないの、序列2位のルーズよ」
「あれ、そうでしたっけ?」
「お前本当に式の話聞いてなかったんだな」
興味無いものの話し聞いてたって詰まらないだろ
と、近くまでまそのルーズという男が来ていた
「おいお前、何でソフィアさんの隣に座ってんだよ」
「何故と言われましても、ソフィアさんが自分から座ってきたんですが」
「あぁ?そんな訳ないだろ、どうせお前が媚び売ったんだろ?」
「いや別に俺は何も…」
「はっ!どうせ異能科の奴らはソフィアさん以外媚び売る事しか出来ねぇだろうがよ!」
「いやだから…」
「あぁん!?聞こえねぇよ!もっと声張れ!」
「……プチ」
「あ、ディランキレたなこれ」
テメェの声がデカ過ぎんだよクソウゼェ
そろそろ我慢の限界ってもんが来てんだよ
「ゴチャゴチャうるせぇな口だけ雑魚共」
「何だと?異能科の分際で」
「お!喧嘩か!はいはい退いた退いた、机寄せるからねー」
「全くもう、ディランったら」
「ちょっとディラン!あまり食堂で暴れないで頂戴よ!」
「程々にしておきますよソフィアさん」
オリヴァーが机を端に寄せると取り巻きの一人が出てきた
「まずは俺が相手してやるぜ」
「一人?一々相手するの面倒臭いから全員で来な」
「舐めた口叩くなよ…いいぜ、後悔させてやる…全員でやれ!」
取り巻きの全員が俺に向かって走り出す
「オラァ!」
一人が殴ってくる、それを避け足をかけると見事にすっ転び机に激突…伸びてしまった、情けない
「テメェよくも!」
今度は二人がかりで来る
一人の右手首を掴み足払い、手を廻し空中で一回転させ地面へ激突…怯むところを蹴り飛ばし机の山へ
もう一人は普通に回し蹴りを顔面に食らわし吹き飛ばす
「な、何なんだこいつ!」
「チッ!使えね奴らだ…仕方ねえ、俺が直々に相手してやる」
お、やっと出てきたかアイツ
コイツは序列2位だけあって他の奴らよりは楽しめそうだな、少し遊ぶか
「フン!」
まずは右ストレート、軽く往なして避ける
右蹴り、飛んで避ける
上からの鉄拳、往なして避ける
暫くずっとこんな感じで避けまくる
ルーズの奴疲れてきたのか?
「ち、畜生…何で当たらないんだ!」
「まだ叫ぶ元気はあるか」
「クソオオ!」
あ、コイツ『闘気』使いやがった
『闘気』を使うと体の周りからオーラの様なものが見える
強ければ強い程そのオーラは濃くなるのが基本だが、少しの力でそれ以上の力を発揮する例外もある
「潰れろ!」
上からの殴りか、うーむ…乗り気じゃないが俺も少し使うか
「よっと」
「なぁ!?」
足を払い、かかと落としを頭に食らわす…そのまま頭を踏みつける
「ぐ、ぐおおお!」
「おいおいどうした?まさか起き上がれないのか?」
「ち、畜生がぁぁ!!」
「しっかりしてくれよ全く、異能科の雑魚如きに捩じ伏せられるなんて情けなくないのか?」
「テメェええええ!!絶対ぶっ飛ばす!」
「その格好でやれるならな…今のお前、実に滑稽だぞ?何かの見世物か?」
「クソクソクソクソ!!!!!」
「アハハハハ、実に面白いねぇ…見ていて飽きないなぁ」
これだから止められないんだよねぇ、実力の差も分からない様な雑魚を蹂躙するのは
「うーわ、久しぶりに見たなアイツのあの歪んだ笑」
「いつ以来かしら、あんなに楽しそうなの」
「あの顔で楽しそうなの…本当に最低ね」
「おい!何してるんだ!」
あ、先生達来ちゃったよ…そろそろ止めとくか
踏んでいた足でルーズを蹴り上げ宙に浮かし横蹴りで吹き飛ばす
飛んでいったルーズとそこら辺で伸びている取り巻き達を運んでいく教師達
「お前!何してるんだ!」
「絡まれたので抵抗しただけですが」
「絡まれた?それは本当か?」
「私も見ていましたし彼の言っていることは事実ですよ」
「う、うむ…まあソフィアがいうなら」
流っ石序列1位、教師に顔きくね
「ハハハ、初日から飛ばしてるねディラン君」
「学園長さん、どうも」
「オーヴェンでいいよ、然しまあ少しやり過ぎだね…取り敢えず学園長室に来てくれるかね?」
「分かりました、レヴィとオリヴァーは先帰ってろ」
「お、おう…気を付けろよ」
「一応ソフィアちゃんも一緒に来てくれるかい?状況説明を頼むよ」
「はい、分かりました」
二人を先に帰しソフィアさんとオーヴェンさんの後に付いて行く
学園長室に入るとオーヴェンさんがせをむけたまま
「全くディラン君……君って子はね」
そしてくるっと振り返りグッと親指を立てる
「本当に最高だね」
「お褒め預かり光栄です」
「はぁ……全くこの人達はもう」
オーヴェンさんとはやはり気が合うな
「いやーあの踏まれてる時のルーズ君の顔がまた良かったね」
「俺もあの時が一番楽しかったです」
「何の話してるんですか貴方達、そろそろいい加減にしないと撃ち込みますよ」
「「はい、すいませんでした」」
その後は寮に帰えされ眠りについた