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C級勇者はどうやら逆ハーとかいう状況を手に入れた。  作者: 玉響なつめ


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47:急転直下の、

 ちなみに――。



 アリュートのお兄さんの誕生日会はとても和やかだった。

 緊張するのが馬鹿みたいに歓迎されまくった。

 少子化の割に兄弟多いよねと思ったらアリュートのお母さんは人間族でした。

 でも何か呪われていてびっくりです……という展開があった。


 いやいやそれだけでもびっくりだよね!!!

 普通、諸手を上げて歓迎されただけでもビックビクだけどね!

 伯爵さまはとても優しい人だったよ!


 で、奥様は美人でした。超美人でした。スレンダー美女でした。

 なんだあれ、神さまって不公平。そう思わずにいられない!!

 でもそんな美形集団が、末っ子に恋人ができたなんて……って感涙に咽び泣くのはなんとも微妙な雰囲気だったことは伝えておく。


 家族になるなら何かプレゼントしてあげたいけど、とか言われたけど特に必要なかったのでお断りもした。

 すると謙虚なお嬢さんだ、とまた妙に感心されたりとまあちょっと疲れた。

 で、奥様はどうも魔法の才能があるようなんだけど、取り憑かれてるっぽいことは私もわかったので伝えると死霊使い(ネクロマンサー)が近くに居ないか尋ねられた。


 精神系の呪いだったら伯爵さまも解除できるそうなんだけど、亡霊となると違うんだそうだ。

 で、私は適合性はあるけど死霊魔法(ネクロマンス)は勉強したことがないし、ギルドでも聞いたことがないと正直に答えるとがっくりと肩を落とされた。

伯爵さまのツテでいないのかと聞くと、なんと適性があるのは奥様ご本人だそうだ。そりゃ憑きやすかったろう。


 じゃあなんでってなるんだけど、なんと奥様……オバケとかは話を聞くのもだめなレベルなんだとか……。

 ああ、うん、いるよね。適正あるけど不適正っていうかそういうことってあるよね……。


「一応教本のようなものはあるんだけど、」


「じゃあそれください」


 ってことで覚えることにしました。

 任せろ、勉強は得意だ!!!!

 とはいえ、入門編と書かれたその本は魔人族の国でも不人気なジャンルらしく、ただ精神系魔法の基礎も入っているから子供たちの教本にとどこの家庭でも一冊はあるんだとか。

 魔人族って……。


 で、私はリリの件もあって意思疎通ができる平和的思考の幽霊とかならば会話ができたし、そうでない奴は強制で回復魔法使って成仏もさせれたんだけどここにきて覚えた魔法、『死霊との会話コントラクト・オブ・ゴースト』を使ってみた結果すごい事実が分かった。


 なんということでしょう。

 なんと失われたお墓? 貴人が眠る墓所に、どうやらアリュートたち家族は来る途中気付かずキャンプを張ってしまったらしく、しかもその墓標? にあたる部分に夫人が腰かけてしまったらしい。

 残念ながら精神攻撃系に耐性のある伯爵と子息たちに幽霊たちの攻撃は届かず、なんと適性がある夫人だけが取り憑かれて祟られている状態なのだ。


 なんということでしょう……。(2回目)


 魔法のおかげで私にはくっきりと亡霊の姿が今まで以上に見える。

 お仕着せを来た獣人の、年嵩の女性だ。ぷりぷり怒っている。

 ただ彼らが何も知らなかったこと、獣人の国のこともよく知らないこと、話をしたら謝罪したいと誠意を見せていることを伝えて事なきを得た。


 でも正直、謝罪と言っても彼らには見えないので私が代理で受け取った詫びの品(要するに供物)を持って他の亡霊にも事情を話してごめんなさいしに行くってことなんだけどね!!

 アリュートにはものすごく謝られたよ。

 でも、まあ……その、恋人の家族が困ってるなら、親切な人たちだし……お手伝い位しようかなって思うじゃん?

 これがね、結婚反対! 嫁なんざいびって当然!! みたいな雰囲気だったら断固として手伝わないよ?


 お兄さんたちなんて「弟が恋人連れてきた! 獣人族の国に来てよかった!!」とまで言ってくれてたわけだし……伯爵さまも「息子にこんな可愛らしいヒトが現れるなんて! 感謝しかない!!」とか……あれ、うん、大げさだなあ!



◆◆◆



 とまあ、そんな経緯で私は取り憑いていた女性亡霊(名前はフルネッタさん。犬人族のメイドさんだ。)に案内されて森の街道をちょっと外れた場所に来ていた。

 なんでこんな変なとこでキャンプを……と思ったんだけど、道中色々あって真夜中になってしまった上に、三番目のお兄さんの具合が当時良くなかったからどうしても休ませたかったので街道では邪魔だからと少し森に入ったところでキャンプしたらしいのだ。


 私はまあ、そういう事情ならしょうがないかと思うけどまあ亡霊さんたちからしたら住処に現れてお仕えしてる人の墓所に腰掛けるなんて不敬!! って思ったんだろうね。

 でも事情を話したら、取り憑いてる間に見た家族仲の良さから許してもいいかなーってちょうど思ってたみたい。


 メイド頭さんの命令でもあったからどうしようか迷っていたら、意思疎通できる子供が現れてこれ幸いってことになったんだ。


 アリュートはついていくって最初は言い張ったけど、残念ながら彼には見えないのでいても役に立ちそうになかったから留守番を頼んだ。

 え? アズールは勿論一緒だよ! アズールは魔獣だからなのか、亡霊とかもバッチリ見えてるんだって。


 ちょっとアズールが勝ち誇った顔してたのは、内緒だよ。


「フルネッタさん、ここですか?」


『そうです』


「……墓所なんですよね?」


『……正確には、埋葬されたわけではないのです。私たちはここの急遽建てられた地下室に幽閉され、最終的には生き埋めにされた……』


「うわあ」


 そりゃまたヘビーな!


 とは思うものの、当時の背景や状況がわからない以上下手なことは言わない方がいいんだろう。

 私は手に持った供物のひとつ、高級ワインの瓶を何本か立てて祝詞のようなものを口にした。

 それは教本に書いてあった、死霊に対する敬意を示す行動と言葉ってやつらしい。

 だけどそれとフルネッタさんの存在のおかげか、ピリピリした空気だったものが穏やかになって、私を今にも取り殺そうとしていた雰囲気は消えて、何人もの半透明なメイド姿の女性が出てきてくれた。


 そうしてフルネッタさんの口添えと、預かった供物と私の説明で誤解は晴れて解け、祟ることはもうしない、と約束してもらったのだった。

 良かった良かった。


 その上、久方ぶりに供物を貰ったと喜ぶ彼女らの苦労話を聞くことになったのだけど……正直供物って言っても、生き埋めにされて最初の1年くらい、埋めた人が良心の呵責から持ってきてくれた、程度だったらしい。

 戦争か何かだったのか、ちょっと聞いていいか躊躇っているとメイド頭だという猪人族の老女(の亡霊)が笑って首を振り、説明してくれた。


『そなたも尊きお方の御名を耳にしたことくらいはあるはずじゃ、あの方は悲しみのあまり我らの声も聞いてくださらなくなってしまったが……』


「そんなに尊いお方なんですか?」


『そうじゃ、国を憂い、国を想い、ご家族を愛しておられたまさに女性の鑑と言えるお方。私はこの方の乳母を務め、そしてその後メイド頭として仕えさせていただいた……光栄なことなのじゃ』


「……お花を持ってくればよかったですかね。今度来るときは何を持ってきましょうか」


『また来てくれるのかの』


「誰も来てくれないなんて、寂しいでしょう。常には来れませんけど」


『感謝しよう、主たるバーラパールネラドルスキリエ女帝陛下に代わり、おぬしの忠義、このキャラフラが受け取った』


「えっ、今なんて?!」


『このキャラフラが……』


「いやそこじゃなくて!」


 お約束か!!

 思わず突っ込んでしまったけれど、今聞いた名前に思わずピアスが熱を持った気がした。

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