プロセス7 初登場! 騎士団 鬼の副長!!
バキッ、ドガ、ぐろん!
「ガバラッ!!!」
「モハメッド!!!」
「どうした……。貴様達の力はその程度なのか……。そんなことで守れるのか? 愛する国を、町を、人を……。剣を振るい、魔法を放つということの覚悟についてもう一度、叩き込む必要がありそうだ」
ジンガー伯爵領騎士団副長、ソイルティーガは静かに言い放つ。
ドイルとジョンは騎士団第3訓練所で、金魚のように貪欲なほど空気を吸う。それなりに体を鍛えていた二人の自信を、木っ端微塵にするほどソイルティーガは強かった。それはワンゼ王国の辺境の地を守ってきた20年の重みである。
ソイルティーガがジンガー伯爵領に生を受けたのは、42年前だった。
~42年前~
ある街に子供が生まれた。
有力な商人の家でお手付きになったメイドが男児を生んだのだ。商人の正妻には子供が八人いるのだが、長男を除きすべて女児だった。さらにその長男は病弱でこのままでは立場を脅かされると思った正妻は、商人が仕事で他領に行っている間に、メイドと子供をいくばくかの金とともに追い出した。
商人が返ってくると正妻は「メイドは母子ともに死んだ」と噓をついた。
一方、メイドは実家へと帰り、実家の農家を手伝うことにした。
それから数年後、メイドの子供は「ソイルティーガ」と名付けられ、育てられていた。メイドの弟が町の自警団にいたこともあり、剣術を学んだソイルティーガ。才能に恵まれめきめきと力をつけたソイルティーガだったが、ある日父親である商人に引き取られることになったのだ。
正妻が死に際に、メイドと子供を追い出したことを白状したそうだ。
ソイルティーガは母や叔父と離れることを最後まで拒んだが、有力な商人には逆らえなかった。
商人の町についてから数週間後、母がいた村が魔物の大行進に巻き込まれ消滅したというニュースが彼の耳に飛び込んできた。
ソイルティーガは悲しみに暮れた。絶望した。
そんな彼を救ったのは腹違いの姉だった。聡明で優しく美しい姉はソイルティーガを優しく抱きしめた。
再び大事な人ができたソイルティーガはさらに鍛錬し、15になるころには町でも有名な猛者になっていた。
ソイルティーガは騎士になるべく騎士団の門を叩いたのだった。
それからまた数年後、見習いからやっと正規団員になっていたソイルティーガは姉が嫁いだ町に関所番として派遣された。
しかし、それからすぐ町にオーガの群れが襲来した。早々に吹き飛ばされ崩れた建物の隙間で気絶していた彼は助かったものの、姉を含む町の人々の多くが死んだ。また守れず、今度は手が届くはずだったのに助けられなかった。深い絶望と悲しみの中でソイルティーガは決意した。
「もう二度と負けない」
それから、彼が鬼と呼ばれるまでそう時間はかからなかった。
閑話休題
「立て。強くなると決めたなら泣き言を口にする前に、剣を振れ」
今日も鬼は鬼だった。
ドイルとジョンの特訓の日々は続く。