プロセス2 前世との邂逅
ドイルは、聡明な子供だった。魔法でも才能を見せ、アーサーがプレゼントした多くの書籍も読破した。
剣術や槍術の稽古を怠らず、筋がいいとカテリーナも絶賛した。
しかし、どれもドイルの心を動かせなかった。ある一つの兵器以外は。
「ドイル、これが超鋼鉄人だ。我々がこの地に根を下ろすことができたのもこいつのお陰なんだ。だから、授爵されるとき『我が巨腕の剣に懸け、王国の繁栄に寄与することを誓う』と宣誓するんだ。忘れるな、ドイル。多くの血と先人たちの命の上に我々が立っていることを」
五歳になるドイルの誕生日に、父メダリオスが王国の最重要兵器、【超鋼鉄人】を見せるため、ジンガー伯爵自領警団の駐屯所に連れて行ったのである。
熱いことこの上ない話をしている横で、ドイルは超鋼鉄人に夢中になっていた。その瞳は光り輝いていた。
〔こんな……こんなに心動かされるものがこの世にあったなんて、僕は今まで知らなかった。まるで昔から知っていたような気さえする。決めた、僕は絶対に❝めたりっくないと❞に乗るんだ!〕
周りは知らなかったが、ドイルは少々大人びた考えをする子供であった。すべてに合理的な説明をして勝手に納得してしまう、そんな子供だった。しかし、超鋼鉄人を初めて見た瞬間、心の底から湧き上がる熱が炎を噴き上げて彼の体ごと震えさせた。
ドイルの顔には出なかったものの、初めて明確な目標を持ったことで興奮しすぎて倒れてしまった。
メダリオスは慌てたもののすぐに家に連れて帰り、妻キャサリンに看病を頼んだ。
その夜にドイルは不思議な夢を見て、人生の岐路に立つことになるのだった。
「元気か? 新しい俺」
夢に現れたのは、髭もじゃもじゃでガサツな髪形をしたおっさんだった。
駆け足ですね