表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
途上世界のクレセント  作者: 山吹十波
#03 黒の勇士編
86/131

#scene03-27




朝。昨日は何やかんやで遅くまでルイテルたちと酒を飲んでいた。それに加えて、久々にクレハと一緒に寝たのでほぼ寝てないような気がするが、体調は悪くなかった。


魔法で体を洗う。何となく物足りない気もするが、今日中に全室シャワーとトイレは設置する予定だ。

まだ寝ているクレハに布団を掛けて、服を着る。

そして、ドアを出たところでシャノンと出会う。


「おはようございます、ナギ様。昨晩はお楽しみでしたね?」

「防音はしてたはずなんだけど」

「盗聴していました」

「そんなこと自慢げに言われても」


シャノンとともに階下に降りる。

彼女が朝食の準備をしてくれている間に、テーブルの上に紙を広げ図面を書いていく。

ルイテルから許可は得ているので容赦なく改造していくことにする。幸い、リフォーム自体は魔法や錬金術ですぐに片付く。


「かなり思い切りますね」

「やるからにはとことん、だな。キーリーが起きてきたら手伝わせよう」


シャノンから朝食を受け取り、それを二人で食べた後、図面を持って食堂を出る。


「2階はまだ寝てる奴らもいるから後回しだが、とりあえず、昇降機から作ろうか」

「無いとアイヴィーが移動移動に不自由しますからね」

「といっても、そんなに手間のかかるものではないんだけどな」


そういうとナギは、階段横に合った物置の様なスペースを一瞬で消滅させ台座や機巧装置、籠の様なものを取り出した。

そして、それを設置していく。


「シャノン、下のスイッチの配線を頼めるか?」

「それぐらいならば」


ナギは機巧装置を抱えて二階に上がり、下にいるシャノンに向かってコードを投げる。

それを受け取ったシャノンはナギがおいていった昇降機を呼ぶためのスイッチにコードを繋げる。

レヴェリッジ家の人間なので特殊な技能が必要ない範囲ならば可能である。

といっても、今のシャノンはナギの魔宝石を使い、キーリーと同等程度の錬金術を扱うことも可能なのだが。


10分もしないうちに設置が終わり、最後にナギが全体を錬金術で変形させ、屋敷の雰囲気と調和させる。さすがに木製というわけにはいかなかったが、ダークブラウンに塗装された金属と暖色系の装飾は屋敷の雰囲気とうまくマッチしていた。


「こんなもんか」

「お見事です」

「じゃあ、試しに乗ってみよう」

「はい」


シャノンとともに昇降機に乗り、ゲートを閉じるスイッチを押す。

腰の高さほどのゲートが閉まり、ゆっくりと2人を二階へと運んでいった。

そして到着すると同時にゲートが開く。


「問題ないな」

「素晴らしいですね。高層の建物には必需の品になりますね」

「ああ、アイヴィーみたいに足が悪いやつに限らず、年寄なんかにも使いどころはあるだろうな」

「これも売り出しますか?」

「これは少し様子見をしてから王城あたりに売り込もう」

「なるほど。そうですね。それで、次は……あら?おはようございます」

「おはよう、シャノン。うちらが寝坊している間に二人でなんか楽しそうなことしてるやん?」

「おはようございます。それは以前言っていた昇降機ですか?」


アイヴィーの車いすを押すキーリーが二階の階段にやってきた。


「よし、せっかくだしアイヴィーに乗り心地をテストしてもらうか。キーリー、半日で屋敷を魔改造するぞ」

「よっしゃ、楽しそうやな」

「キーリー、朝食はどうしますか?」

「それは食べるけど、まずはこの昇降機ってやつや」


そういうとアイヴィーとともに昇降機のゲートの前に立ち、アイヴィーにスイッチを押させた。


「開いた!」

「開きましたね」

「でもこれ、万が一乗るところが下にあったらどうするん?」

「その時は自動で上に上がってきてからゲートが開く」

「……あとであの機械ばらしてもええ?」

「ばらすのはやめてくれ」


アイヴィーとともに昇降機に乗り込み、ゲートを閉めるキーリー。

ナギとシャノンは先に階段で下に降りてゲートの前で待つ。

すると間もなくゲートが開き2人が出てくる。


「なるほど、これは便利やな。重い荷物も運べるし」

「そうですね。腕輪がある今となっては荷物の問題はあまり考えてませんでしたけど」

「シャノン、2人に朝食を。オレはその間に冷蔵室と隣の貴賓室、それと、1階の化粧室を整えてくる」

「化粧室も改造なさるんですか?」

「温水洗浄便座は必要。あとはアイヴィーように少し広めに改造する」

「申し訳ありません、厄介な女で」

「いやいや、あらゆるケースを想定してすべての人が使えるようになってこそ道具は完成だから、これでいいんだよ。アイヴィーのおかげで想定すべきケースが増えた」

「なるほど感銘を受けました」

「師匠もこれぐらいびしっと歯の浮くようなこと言ってくれれば語り継ぎもしやすかったのになぁ」

「爺さんには無理だろう」

「せやなぁ」


2人が朝食を終えた頃には、ナギは客室や使われていない使用人室の改造まで終わらせていた。

そして、4人で次に向かうのは、1階東側である。


「ここにはなに作るん?」

「まず遊戯室」

「へぇ」

「それから、ちょっとした運動できるスペースがほしいから、かなり頑丈になる様に補強した多目的室」

「うちは体動かさんからわからんわ」

「でも、キーリー。動けるなら体力つけるために動いておいた方がいいですよ」

「アイヴィーにいわれると言葉に重みを感じるわ」

「ナギ様、その隣は?」

「大浴場。で、あとは工房と倉庫」

「一応確認するけど、王子の屋敷やんな?」

「ああ、うん。でも自重したら負けかなって」

「まあ、ええわ。教わりながらうちも頑張るで」

「機巧関係ならお任せください」

「私は基本的にナギ様の補助を」



結果的には昼前には1階部分の改造は終わった。

4人で無駄に力を注いだ結果、遊戯室や工房、大浴場がとんでもないことになってしまっていた。工房に関しては、ナギとキーリーが調子に乗り、地下を拡張したため当初の予定よりも広くなっている。

一応、アイヴィーの工房が1階、ナギとキーリーが地下という区分になった。スペースの関係上どうしても昇降機を取り付けることが出来なかったのだ。

といっても地下の工房は薬品や食品がメインなのでアイヴィー的にはあまり興味のない分野だったりする。

早速、工房で何を作ったのかというとシャワーと温水洗浄便座であった。キーリーとアイヴィーも嬉々として生産を手伝い、2階の各部屋に設置できる数をそろえるのに時間はかからなかった。

そして、4人で2階に上がり、アイヴィーの部屋の改造と設置の手順の確認をした後、手分けして各々の部屋に設置していった。

一通り設置を終え、ナギの部屋に入った瞬間、ナギとともに行動していたキーリーが固まる。


「ああ、悪い忘れてた」

「……いやぁ、知り合いのこういうの見るの割と心臓に悪いなぁ」


乱れたベッドではクレハが已然として寝ている。布団は着ているがもちろん全裸だ。


「……どうしたの?」


ナギは気にせず奥で作業を始めてしまっているが、キーリーは何となく入り辛くまだ入り口付近にいた。


「あはは、クレハ。服着よか」

「なんでキーリーがここに?というか朝から何してるの?」

「もう昼だぞ。ああ、今、シャワーとトイレの設置終わったからテストしてみてくれ。クレハの部屋にも同じもの付けてくる」

「じゃあ、使わせてもらうわね。あ、はい、鍵」

「……いや、まず前隠そうや」

「別にナギとキーリーなら問題ないわ」


そういうとクレハはナギからタオルだけ受け取ってシャワー室に消えていった。


「よし、どんどん行くぞー」


次にクレハの部屋、そしてキーリーの部屋に入り、設置を行う。

2人が廊下に出たときにはシャノンとアイヴィーはシャノンの部屋と空室4つ分の設置を終わらせていた。

そのころには、流石に音を聞いてクレハ以外も起き始める。


「やあ、ナギ。おはよう」

「もうすぐ昼だぞ、ルイテル。クレハ、シャノン。昼食の準備頼めるか?」

「いいわよ」「わかりました」「私もお手伝いします!」

「あの、私もお手伝いを」

「ペトラは正直戦力にならないわ」

「クレハ、もうちょい気使おう」


起きてきて早々落ち込むペトラと爆笑するルイテル。

そして、クレハとシャノン、リュディが階下に降りていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ