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途上世界のクレセント  作者: 山吹十波
#01黒の剣姫編
26/131

#scene 01-25

「さて、布系は錬金術でつなぐだけだし、とりあえず武器から揃えるか」

「さっきから術使いまくってるけど魔力は大丈夫なの?」

「まだ全然余裕だ。あ、そうだ」


ナギが無色透明の魔宝石を3つほどクレハに渡す。


「“虚”属性の魔宝石?だったよね」

「虚属性の性質は【吸収】【蓄積】【放出】らしいどうせまだ一日あるし、ありったけの魔力をそこに溜めておけ」


ちなみに各属性の魔法性質は、

”火”が【闘争】【活性】

”水”が【流動】【鎮静】

”風”が【不定】【循環】

”地”が【硬化】【増殖】

”魔”が【混沌】【抗聖】

”聖”が【治癒】【祓魔】

”時”が【加速】【減速】

”幻”が【流転】【幻惑】

となっているが、時と幻に関しては研究があまり進んでおらず、他の性質があるのではないかという説を唱える学者もいる。

虚属性の魔宝石は【吸収】を利用し魔力を取り込み、【蓄積】で魔力を保存し、【放出】で魔力を取り出す。非常に有用な魔宝石であるが、欠点としては2つ。

まず第一に、個の魔宝石を媒体として魔法を使うことは一切できないこと。

第二に、個の魔宝石が今のところナギ以外には作れないこと。

この技術が一般的になり、大陸中に広く流通すれば機巧の技術は一気に進歩するだろうが、安定供給が不可能な現状では無理な話である。


「一つでどれぐらい溜まるの?」

「さあ?オレは全快状態から全部貯めたら3つ分限界に達した」

「なるほど……ちょっと待って、それ使えば今日中に倒せたんじゃないの?アレ」

「いや、その実験したのも随分前だし、もう残ってないって……嘘じゃないぞ?」

「ほんとに?」


明らかに疑っているという視線をこちらに向けるクレハから目を逸らしながらナギが作業を続ける。


「使い切っても温泉で回復できるしね」

「そういう事だ……という事で、これと……あとは機巧装置」

「速いわね」


受け取ったのは機巧刀と機巧装置。

どちらも情報化されたものであるため驚くほど軽い。


「刀に関しては明日テストしてくれ。少しいじったから」

「任せて。それで、機巧刀の魔法性質ってどこまで使えるの?」

「そうだな……“火”なら発熱、“水”なら凍結その程度だと思うけど」

「貴方、幻属性の魔宝石で全身消えてなかった?」

「技と相性が良かったんじゃないか?使っててなんだけどよくわからん」

「適当すぎない?」

「大丈夫だって。コートとかは明日だな。時間かかりそうだ」

「そう。じゃあ、そろそろ休む?」

「そうだな……って何やってんの?」


ナギのベッドに入ろうとするクレハを止める。


「ああ、ごめんなさい。着替えるのを忘れてたわ」

「ん?そういう問題だっけ?」

「もしかして、嫌?」

「――じゃないけど、お前もう少し躊躇いとか恥じらいとかさぁ」

「全部見られてるのに今更じゃないかしら?」

「じゃあ、あの時は恥ずかしがってたのはなんで?」

「いろいろあるのよ」

「へぇ」


ナギが上着を脱ぎ捨て、シャツの襟もとを緩める。


「―――!」

「まったく抵抗がないわけじゃないんだな」

「――当り前よ。でも、既成事実ぐらい作っておけば義母(はは)義父(ちち)も諦めるかな、って」

「あれ?オレで妥協したような感じになってねーか、それ」

「まあ、はじめはそのつもりだったけど……えっと」

「――そこで赤くなるなよ、襲いたくなるだろうが」

「仕方ないじゃない、斬り結んでるうちにこの人ならいいかなって……危機的状況下で結ばれる男女、って奴じゃないかしら?」

「まあ、その危機が相手自身じゃなかったらそうなんじゃねーかな」

「……何?私じゃダメなの?」

「……滅相もない」


クレハが上着を脱ぎ、椅子に掛ける。

1つずつ外していくシャツのボタンに唾をのむナギ。

そして、下着とその細い腰が露わになる。


「――何?」

「いや、なんかこう感激で涙が出ていたというか」

「そんなにスタイル良くはないと思うけど……」

「そんなことないって……まあ」

「何か?」

「下着がこう、あんまりだな」

「でしょう?」


そういうとクレハはベッドに腰掛ける。


「うん、これは」

「……?」

「もう理性限界だわ」

「へ?――きゃ!?」


クレハをベッドに押し倒し、覆いかぶさるナギ。

そして強引に口付けをする。


「覚悟しとけよ」

「え!?ちょ、灯り、つけたまま!?」

「大丈夫だ。オレたちに以外客はいないし、おっさんは基本的に酔って寝たら目醒まさない」

「ん、そういう、問題じゃなくて」

「防音魔法とか使うか?」

「だから、さすがに恥ずかしい、から」

「全部見てるのに今更だな」

「――もう……好きにしなさい」


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