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途上世界のクレセント  作者: 山吹十波
#04 途上世界のクレセント
102/131

#scene04-06

内容吹っ飛んだ奴を書き直したものです(10/15分)

ちょっとストーリーのつながりがおかしいかもしれません。



アーヴィン・クラウジスは剣を振るっていた。

もう何人斬ったかもわからないし、致命傷になりそうなやつももらいかけていたし、そろそろ限界が来ていた。

前を見ると、自分の父親も肩で息をしながら、傭兵たちを切り伏せている。


「父上、そろそろ引きましょう」

「これ以上は……陛下に近づきすぎる」

「しかし、もう持ちませんよ」


雑兵のような奴らを随分と倒した後は、尉官なる連中がやってきて、こいつらがなかなかにしぶとい。

そんな時に目の前の父が剣を押し返され、ふらつく。


「父上!」


だが、次の瞬間に、予想していたような光景をアーヴィンが見ることはなかった。


「は?」


前方にいた数十の敵の首が、瞬きする間にぼとりと落ちたのだった。

そして、奥には黒い髪の女が立っている。


「アーリック、あとは任せるわ」

「すまない、助かった」


動揺している敵を吹き飛ばしながら突進してくるのは良く見知った顔。


「兄上、父上、久しぶりだな」

「あ、アーリック!お前、どうしてこんなところに!?後、さっきの女は?!」

「女?――ああ、クレハはオレが今仕えてる人の嫁さんだ」

「はあ!?どういうこと」

「今はこいつらを片付けるのが先だろう、父上」

「そうだな。アーヴィン、落ち着け」

「いやいや!大体なぜ」

「兄上、少し下がっていてくれ、すぐ片付ける」


次の瞬間、アーリックの瞳が爛と輝き、すさまじい威圧感を放つ。


「くっ!?これは!?」

「アーリック、貴様!これは禁忌の力だぞ!?王国ごと吹き飛ばす気か?!」

「大丈夫だ。制御はできている。たかだか20%程度で暴走したりはしない――パンドラ、一応、頼めるか」

『ええ、すぐに』

『えっと、そっちエレノラだけで大丈夫なのかい?』

『……もうこっちには死体しか残ってない』

『じゃあ、いいか。エレノラも帰って来たら?リュディとアイヴィーが炊き出ししてるから手伝ってあげて』

『……わかった』

「兄上、父上、これが、ヴェルカの本当の力だ」


一閃の剣圧が、目の前のすべてを薙ぎ払った。





「おう、クレハ。アーリックは?」

「もう大丈夫でしょう……パンドラも向かってるようだし」

「それより、ナギ兄。ジーナの親父さんがいると思われるとこまで行くのにすごい数の敵がおるんやけど」

「一掃するぞ。手伝え」

「久々やなぁ、本気出すの」


「「戦場の錬金工房アルケミック・ワークス」」


周囲すべての物質にナギとキーリーの支配下にある魔力が染みわたっていく。


「あなたたち、こんなの初めて使ったじゃない?」

「これは、対軍業というか、個人相手にやるには燃費が悪すぎるんだよ」


ナギがパチンと指を鳴らすと、一斉に石畳が石の棘へと変形し、兵たちを貫いていった。


「うちの有効範囲はナギ兄により狭いけど、まあ、うちの奴は賢者直伝やで」


そういいつつガラス瓶を複数投擲したキーリー。

そのガラス瓶は宙で弾けて、兵士たちの上に劇毒の雨を降らせる。


「即効性やで?」

「うわぁ、次々に兵士が吐血して死んでいきます……」


3人の後ろからその光景を見ていたジーナはドン引きしていた。


「さ、ジーナ。いってき」

「え?この毒の中をですか?」

「はい、解毒薬」

「即効性じゃなかったんですか!?絶対薬飲む余裕とかないですよね!?」

「冗談やって、冗談」

「何がですか?!ナギさんも何か言ってあげてくださいよ!……っていないし!」

「ナギ兄ならさっき城壁昇って行ったで?」

「意味が解りません……とりあえず、お父さんを助けましょうか」





「女王陛下!こっちです!」

「クラリッサ!前だ!止まれ!」


クリッサとともに逃げていた2人の王は、敵兵の届かないところまで逃げていたが、廊下にて行き詰った。


「槍聖ザンクス……!?」

「おや、こんな小さな女の子にまで知ってもらえているとは驚きだ。まあ、いい、君はどきたまえ。俺の目的はあくまでそこの王様2人」

「クラリッサ、下がれ」

「ダメです!」

「まあ、使用人とかには手出してないから安心して死ぬといい」

「ふざけたことを」

「何と言おうと、俺は狙った獲物は逃さない」


狙うはヴィオレットの心臓。

白銀の槍がまっすぐと突き出されたが、硬質な音がしてそれが弾かれる。

つぶっていた目を開いたヴィオレットは自分の目の前に黒い服の少女が立っているのを見た。


「失礼。おけがはないですね?女王陛下」

「あ、ああ……」

「誰かと思えば、裏切者の諜報部隊か」

「裏切ってはいませんよ。正規の手続きを取って辞めていますから」

「貴様らであれば、この国の兵士たちよりは戦えるのだろうが……だが、貴様ら程度で俺に勝てるとでも」

「いえ、ほんの少しだけ時間を稼がせてもらいます」


アリンの短剣がまっすぐザンクスの喉を狙った。

それと同時に潜んでいたロド・リーシャ・リリアナ・ディルが一斉に攻撃を仕掛けた。

アリンのレベルは7でザンクスは9。たとえほかのメンバーのレベルが5以上でも勝つのは不可能であった。

だが、彼らに勝つ必要はなかった。ほんの少し時間を稼げば。


ロドが壁に叩きつけられ、リリアナとリーシャも倒れた。

ディルももう限界だろう。アリンは肩で息をしながら笑った。


「おかしくなったか?」

「いえ、これだけ寄ってたかれば、手傷を負わせることぐらいは容易でしたね」

「……毒か」


首の後ろに小さくついた傷口。


「しかし、我々は解毒薬を常備している。知らぬことはないだろう?」


腰のポーチから解毒薬の小瓶を探すが見当たらない。


「……あっはは、御探し物は、これですか?」


ロドが起き上がりながら手に持った解毒薬の瓶を振って見せ、そして床に叩きつけた。


「それほど強い毒じゃない。でも死ぬ毒だ」

「貴様らを全員殺して解毒薬を手に入れればよい」

「残念だけど、オレたちはもってないよ」

「そうですね。我々の仕事は終わりました」

「何を―――っ!!!?」


ザンクスの腹から波打った形のやや幅の広い短剣が生えている。

後ろに立った女がそれをわざとぐりぐりと捩じり、肉と骨と内臓を掻き回しながら短剣を抜く。


「貴様は―――」

「狙った獲物は逃がさないんでしたか?今どのようなお気持ちですか?」

「確かに致命傷を与えたはず……ごふっ」


うつぶせで血を吐き出しながらつぶやくザンクスをシャノンが蹴とばして表替えす。


「おかげさまで、私はナギ様の女になれました。その点だけは感謝しています。これはお返ししましょう」


そういうと、以前自分の胎を貫いた黒い槍をザンクスの心臓に突き立てた。


「復讐、というほどのものではないですがこれで済みましたね――ナギ様やクレハさんと比較するとこの男もこの程度ですか。背後にいたというのに気づかれないとは」

「ロド、これ運んでくれる?」

「いいですけど、何するんですか」

「元雇い主に投げつけてやろうかなと」

「アリンさんあいつのこと嫌いでしたからねぇ……」


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