プロローグ<改>
「ヒダカアローズ」の続編(笑)。
「ヒダカアローズ」で放置した謎を解いていく予定です
自分の名前は国分ライコ。18歳で、南九州空軍……正確には、九州連邦共和国桜島臨時政府航空軍所属の大尉だ。
私は今、鹿児島県と宮崎県の県境、霧島山の上空、9500メートルにいる。
そう、私は航空機動歩兵。
およそ20年前、日本列島暦1135年2月1日に扶桑国新潟県に突然出現し、同年5月15日、いわゆる「灰色の15日」以降世界各地に瘴気の雲に覆われた超大型拠点、「巣」を出現させ、世界を分断し、進攻を繰り返している正体不明の存在、「クラックゥ」に対抗する現代の魔法少女――いや、魔砲少女である機動歩兵のうち、航空兵器「飛行鞄」を装備し、空を舞う少女の一人だ。
過酷な環境やクラックゥが吐き出す死のガス、「瘴気」から身を守るためのシールドで光波攻撃「ビーム」や「実弾兵器」と呼ばれる物理的攻撃から身を守り、抱えた銃に装填された弾に魔力を込めてクラックゥの弱点たる「コア」を破壊する。
航空機動歩兵、陸上機動歩兵(こちらは、陸戦兵器『走行椅子』を装備し、陸上で戦う)、戦場は違うが、やることはいっしょだ。
しかし、戦闘機や戦車といった通常兵器と呼ばれる兵器はクラックゥに対してはかなり無力だ。
クラックゥの機動性は人類の兵器のそれをはるかに上回り、ビームは戦車の前面装甲すら易々と貫く。
できることは、ビームの射程圏外から素早く一撃を加え、後は素早く逃げる。
しかも、クラックゥは圧倒的な物量で攻めてくる。
人類がまだ滅亡していないのは機動歩兵のお陰と言われる所以だ。
しかし、機動歩兵にも弱点がある。
機動歩兵として戦うには「魔力」と呼ばれる特殊なエネルギーを行使可能なことが不可欠になる。
シールドを張るにも魔力が要るし、飛行鞄や走行椅子を動かすにも魔力が必要である。
しかし、どういうわけか魔力が使えるのは「魔力因子」と呼ばれる遺伝子を持ち、8~20歳の少女だけ。
遺伝子が発現するのは一部の少女だけだから数は少ない。
しかし、圧倒的に数が少ない遺伝子が発現した少女たち――「魔女」が主力になっているのも事実だ。
当然、魔女について様々な研究は行われている。
しかし、その成果は非常に少ない。
まず、先に挙げた魔力の行使には遺伝子が関わり、しかも少女のみしか行使できないこと。魔力は18~20歳にかけて最大になり、それ以降は急激に減少すること。
あとは、魔力保持者が持つ「固有魔法」と呼ばれる一種の特殊能力は一人一種類だけで、過去には存在したが、現在は存在しない「失われた系統」と呼ばれる種類のものがあること。
魔力を行使しているとき、魔力保持者の頭に獣の耳が生えたり、髪の毛の色が変わること。(その耳の形や髪の毛の色によって『使い魔』の種類は決定される)
魔力には二酸化炭素を酸素と炭素に分ける能力があること。
あとは魔力増幅器、魔力制御機器と呼ばれる機器で魔力を増幅したりある程度制御することが可能であること。
せいぜいが、それくらい。あとは謎である。
実は魔力増幅器や魔力制御機器の詳しい仕組みや原理はよく解ってない。「こうすれば造れる」という造り方が解っているだけだ。
さらに、それらの成果も実は結構怪しい。
まず、男子も実は魔力を行使できた。
自分が2ヶ月程前までいた部隊、日本連合軍北海道方面軍第3航空集団第109歩兵団「ヒダカアローズ」での上官、谷田ノリヒサ少佐は男だが魔力が使えたのだ。
去年の4月――列島暦1155年4月、アシカガ作戦中に撃墜された谷田少佐はその時に魔力が突如発現したという。
さらに、自分は18歳だ。あと半年すれば19歳。そろそろ魔力のピークに達し、これ以上はたいして増えない筈だ。
しかし、最近――東北合衆国にあったクラックゥの巣を破壊した後から、頭打ちになっていた魔力が再び急激に伸び始めたのだ。
また、自分は第2固有魔法、いわゆる「第2の能力」がある。
第2の能力は理論上、あり得ない能力。
これは109歩兵団にいたころに様々な事情から判明したことだ。
しかも、第2の能力が発現したのは谷田少佐以外の109歩兵団の仲間8人。
第2の能力があることを谷田少佐に告げ、その後姿を消した江戸川イチコによると、「その能力は、クラックゥとの最終決戦の時に戦いの大きな鍵を握る」という。
しかも、第2の能力のことは「他言無用」だという。
その後、自分も含めた109歩兵団のメンバーは全員が突然、クラックゥの勢力圏下、東北合衆国にあるクラックゥの巣の中心である仙台にワープ、すったもんだの末に巣の心臓部であるコアを破壊、結果として東北の巣を破壊、東北での戦いを終わらせてしまった。
しかし、さすがにこれが最終決戦ということはないだろう。それに、自分の第2の能力「電撃」は全く使われてない。
ということは、最終決戦はこれから――
これからドゥンドゥン書いていきますよー(笑)