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私立C大学付属小・中・高等学校(後編)

結局手術申請をしたのは


小1・・・4人   小2・・・5人   小3・・・8人   

小4・・・10人  小5・・・13人  小6・・・22人

中1・・・82人  中2・・・95人  中3・・・99人

高1・・・99人  高2・・・84人  高3・・・68人


約600人もの男子生徒が包皮手術を受けることになる

学園側が予想したように、多くの家庭から手術申請があった。その理由は以下の2点に尽きる。


①来年以降必修となる予定の割礼と異なり、局所麻酔を使った手術であること

②包帯手当て代など一部を除き、手術費用は学園負担であること



無麻酔で痛い思いをさせるくらいなら今のうちに、というのが親の本音である。それでも小学生では、「まだこれから剥けてくるだろう」という希望的観測や「子どもがかわいそう」といった親心から総合判定がAであっても手術を拒否する家庭が少なくなかった。そうはいっても小4までのキッズではAと判定された11人中7人が申請した。Bも24人中16人が申請となっている。さすがにCでは10%程度であり、Dと判断された約120人の中に申請者はいなかった。小学校高学年のヤングでは15人がAと判定され12人が申請、Bは20人中15人と高い確率だった。Dはこちらも皆無であったが、Cでは20%以上が申請している点がキッズとは異なる。中学生のジュニアではAと判断された123人のうち118人までが申請した。中1の3人、中2の2人は来年までに解決するという僅かな望みにかけたのだろう。Bも125人中115人が申請している。Cでも60%を越え、僅かではあるがDの中にも申請者がいた。高校生のシニアは総合でAと判断された189人中185人が、Bと判断された57人中52人が、Cと判断された12人中10人が、Dと判断された24人中4人が申請を出した。AやBでも拒否者がいるのは、「来年以降必修化されても自分たちには関係ない」という思いがあると考えられた。



通常業務と並行しての手術であるから、一日に受けられる数は大学病院とて限界がある。小学生全員を初日に行い、あとは中1から高3という順番で一学年ずつ一日をあて、合計7日間行われた。相当人数をこなすわけであるから手際よくいかねばならない。これも病院としては格好の臨床実習となるのだ。学年担当がつれてくるのは大学病院の手術待合室までだ。電話やり取りをしながら学年毎、クラス毎につれられてくる。ここからは見習いを含む若い医師や看護師が全てを取り仕切る。


各手術ベッドの周囲には熟練の医師が1人、実習医師が2人、熟練看護師が1人、実習看護師が2人というのが基本構成である。こうすることで技術を学ばせるのである。難しい例では熟練医師が執刀するが比較的やりやすい症例では大学卒業前の実習生が担当することもある。もちろんそのようなことは、家族や本人に知らされていない。もっとも小学生の中にはこれから何が起こるのかわかっていない者も少なくない。中学生でも自分の知らないところで親が勝手に申請していて知らされていないということもある。自分の意思で受けることにした者、親に強要された者、同じ施術といっても状況は様々だ。



手術室に入るとまずズボンとパンツと靴下を脱がせ、ビニール袋に入れさせる。時間短縮から手術着は使用しない。台に上ると看護師がシャツを出来るだけ上にまくりあげ、両手の手首をしっかりと握って胸にのせ、上半身を固定する。暴れると怪我の原因になるので非常に重要な役割である。両足は手術台にくくりつけ、動かせないよう固定する。基本的に除毛はしないが、中高生の中で相当量が生えている者はかみそりで簡単にそり落とす。ここまでは看護師の役目である。熟練と若手が役割分担をしながら手際よく進めていく。手際が悪い実習生などに対して熟練看護師から指導が行われる。そしていよいよ手術がはじまる。



手術台にのぼった時点で泣き出したりべそをかく者も少なくない。小学生などではいたし方ないことである。中には待合室やズボンを脱ぐだけで泣く小学生もいる。中高生ともなれば不安げな表情であってもさすがに泣き出すものは殆どいない。近くに同級生がいるということで弱みを見せられないというのも手伝っている。しかしさすがに麻酔の注射をペニスに打ち込まれる時は泣き叫ぶ者も出てくる。細い針ではあるが、非常に敏感なところに打つのだから痛くないわけはない。数分後、麻酔が効いたことを確認して包皮にメスが入る。このときは痛くないはずであるが、ベッドの上で涙を浮かべている生徒は比較的多い。余分な包皮を切り落とし、最後に包帯がまかれる。そして手当ての仕方を説明してある紙をもらい、手術室を後にする。本当は患部によくないのであるが、待合室でパンツやズボンもはくことが求められた。



手術の日、学校のクラスでは手術適用者以外のために授業が行われているが、あくまで補習的な内容である。この1週間ほどは手術のために空けられているのである。だから手術を終えた生徒は帰宅してもよいことになっていた。保護者の手術室立ち入りや手術前面会は認められなかったが、病院内に保護者が待機する控室を用意してあった。手術終了予定時刻の前になるとそれぞれの学年の保護者たちが多く車で乗り付けていた。麻酔が切れれば当然痛みが発生するので車で迎えにくる家庭が非常に多かった。迎えにこれない家庭の子のために、痛みが一段落するまで休憩できる部屋をも用意している高待遇だ。


もっとも本人たちは手術終了時点ではこの後の痛みをそこまで想定できていない。一定時間が経過した後、手術中とは比べ物にならない痛みが襲ってくるのである。そして家庭で包帯を取り替えたり消毒をする時、激痛が走る。彼らの試練はここから本場なのである。

最終話、いかがでしたでしょうか。同じ手術を受けるならこのような高待遇の元、受けたいものですね。私自身の手術体験(小3)を思い起こしながら情景を描いてみました。制服姿の小中高生徒たちが並んで手術を受ける光景、現実にあるならば見たいような気がします。また機会あれば違う話も書いていきますね。

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