表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

東京都▲▲区立A中学校(前篇)

通過儀礼は痛みを与えることが必要である。したがって包皮を切る際に麻酔は不要というのが方針であった。一瞬ではあるが相当な痛みを伴う。儀式の方法も数種類から検討されることとなっていた。

都内にあるごく普通の公立中学、A校も実験校となった。高校受験が一段落した3月半ば、卒業直前に儀式は行われることが決まった。高校受験への影響を考え、直前まで知らされていなかった。


突然男子だけが体育館に集められ、学年主任から①わが校は名誉ある実験校に選ばれた②来週の金曜日放課後に実施する③来週の土日は休養日にあて、遊びに行かないこと④動揺を避けるため中1・中2の後輩や女子にはこの話をしないこと⑤当日休んだものは翌月曜日に行うことになるので欠席しないよう体調を整えておくこと等が言い渡された。これを聞いた生徒たちの顔はこわばった。噂には聞いていた通過儀礼ではあるが、今年はまだ大丈夫と安心しきっていた。中学卒業を前にとんでもないことを通告されてしまったのである。1クラスに男子は約20人。そのうちの3人~5人くらいは既にズルムケになっている。大して戸惑いを見せなかったのは彼らだけだった。わずかな期間であるが、何とか剥き癖をつけようと努力したものも多かった。


かくして金曜日は来た。通告など大して意味はなく、女子生徒や後輩たちも今日何が行われるのか大体知っていた。各クラスでは「今日は大事な校内行事があるから学校内に残らず迅速に帰宅すること」が申し渡され、中3男子以外は全て学校外に出された。中3男子はクラスごとに会場の体育館へと歩いていった。直前にトイレに行き、しっかり包皮を剥きあげて戻らないようにする者も多かった。


体育館には5人の医師が待機していた。生徒たちは医師の前まで行くと制服のズボンとパンツを膝まで下ろして直立不動になるよう命じられた。体育館には体育教師をはじめ、屈強な教師が勢ぞろいして、逃げ出したり暴れたりしないよう監視していた。


A校の中3は5クラスある。約100人の男子が検査を受ける。最初の直立検査は、通過儀礼不要者を除くためのものだった。既にズルムケであることが認められれば通過儀礼は受けなくて良い、という話が最初にされた。ズルムケだったもの、トイレで剥いてきたものは開放されるはずだった。すっぽり皮がかぶっているものは剥かれることもなく、割礼対象と認定された。半剥け状態の者は皮を引きのばされ、切るだけの皮があるかどうかを確認された。ちょっと剥けかけていたくらいのものは大半が対象と認定された。大半が剥けているものは溝まで深く剥きあげられ、戻らないことを確認した上で開放となった。そして何とズルムケの者も、一度皮をかぶせようと引っ張られた。かぶせようとしても皮が戻ることなく、またズルムケの状態になるものは開放された。しかし直前に剥き癖をつけてきた者などは、簡単に皮が再びかぶってしまい、あえなく割礼対象となった。逃げ切れると確信していただけに彼らの落胆は大きく、割礼を命じられると同時に泣き出すものも現れた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ