第52話 case 4-公立西中学校
央吾は中学生になった。
PLは諦め、近くの公立中学校。西中だ。
ヨータもスグルもアキラも同じ野球部だ。
強さはと言うと、PLとは当然比較にならない…どころか弱小も弱小、市内の大会でも2回戦まで行ければ万々歳。
「体調悪いんで、帰りまぁす」
「用事あるから、帰りまぁす」
「雨降ってるし、帰りまぁす」
ってな感じで、なかなか部員全員が集まる事のない、ゆるぅ〜い感じの部活。
央吾もやる気が無い訳ではないが、流されて部活をサボることも時々あった。
1年生の誰かが部室の鍵を開けなくてはならないルール。
部室を使っているのは2、3年生で1年は部室の裏のパイプ椅子に荷物を起き、真冬でもそこで着替えるのである。
ある日央吾が部室の鍵を開け、いつもの様に裏に回ると野球部の先輩2人がこれでもかってぐらいのヤンキー座りでタバコを吸っていた。
一瞬ひるんだ央吾であったが、挨拶をしないと大変な事になる。
「こんちわー!」
「でけぇ声だすんじゃねぇよ」
すかさず蹴りが飛んでくる。
ケツ痛っ、挨拶むずっ。しなくても蹴り、しても蹴りかよ。
「央吾、先生に絶対言うんじゃねぇぞ」
「はい!分かりました」
タバコ臭っ、顔近っ。
タバコの吸い殻をバケツの灰皿に投げ入れると、先輩2人は帰っていった。
バケツはもちろん先生用に準備されている物だが、このバケツは野球部の顧問しか使わないバケツ。央吾がそのバケツの中を覗いてみた。
先輩2人はバカだ。先生がいつも吸っているのはセブンスターで、先輩が捨てたのはマイルドセブン。フィルターを見れば一目瞭然。全く違うタバコが灰皿の中に入っている。
想像力無さ過ぎ…これで先生に言うなよって…
先生以外の人間が吸ってますって宣言している様なもの…しかも帰るんならわざわざここで吸うなよ。帰って吸えよ…
原付2人乗りで校庭に乗り込み走り回る先輩達もいる。
冬休み明け登校すると、体育館のガラスは全割れで落書きだらけ。体育館が使えず、始業式をグランドでやった事もある。
「尾崎かよっ」そんなツッコミも入れられない程、冬のグランドは寒かった。
角刈り、たんラン、眉毛なしは数名有り。
まあこんな感じで不良もボチボチいるような、どこにでもある普通の学校である。
央吾の生活も相変わらずで、PLにも行かせてもらえなかった…食事も質素…道具も買ってもらえない…そんな日々が続いていたが、
姉の居ない生活がこんなにも快適とは思わなかった。
恥ずかしくない、イライラしない、面倒くさくない、すぐ泣いたり怒ったりされない。
すこぶる快適である。
快適であっが、祖父が最近ボケてしまっていた。




