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第3章ー㉗ はじめての依頼、はじめての現場

前回の続きです。ここまで読んでいただいてありがとうございます。


ハンターギルドの掲示板前。

人だかりの中で、セリカは少しだけ背伸びをして張り紙を見上げていた。


「……数、多っ」


討伐、護衛、調査、採取。

どれもこれも文字がびっしりで、報酬額と危険度が並んでいる。


「最初は軽めがいいよ」


横からロゼッタが声をかける。


「セリカはまだ登録したてだし。

 “補助可”って書いてあるやつ」


「補助、ねぇ……」


セリカは腕を組み、少し考える。


「ま、いきなり前に出るよりは現場を見る方がいいか」


そう言いながらも、目はどこか楽しそうだった。


そこでロゼッタが一枚の依頼書を指差す。


――《機械モンスター出没調査・簡易討伐》

――街道脇の廃施設

――危険度:低~中

――補助・新人可


「これなら、セリカの知識も活かせる」


「……機械系、か」


セリカはニヤッと笑った。


「初仕事にしては、上等じゃん」


現場は、街から少し離れた旧補給施設。

崩れかけたコンクリートと、錆びた鉄骨がむき出しになっている。


「うわ、ジャンクタウンと比べても、ずいぶん放置されてる」


セリカが辺りを見回しながら言う。


「こういう場所、

 電源が死んでるようで、部分的に生きてることがある」


「つまり?」


「油断すると、急に動く」


その直後だった。


――ギ……ギギ……

――ガシャンッ!


瓦礫の影から、二体の小型機械モンスターが起動する。

旧作業用ロボットの成れの果て。

腕は工具のまま、だが動きは荒々しい。


「来るよ!」


ロゼッタが前に出ようとした瞬間。


「待った」


セリカが一歩前に出た。


「ここ、足元。

 床材、だいぶ劣化してる」


次の瞬間――


――バキンッ!


一体のロボが踏み抜き、体勢を崩す。


「今!」


「了解!」


ロゼッタが飛び込み、もう一体を牽制。

金属音が弾ける。


――キィン! ガンッ!


セリカは腰のハンマーを握り直し、崩れたロボに突っ込む。


「単純構造!

 関節に衝撃集中!」


――ドゴォンッ!!


鈍く重い一撃。

ロボの関節が歪み、火花を散らして沈黙する。


残る一体がロゼッタに向かって腕を振り上げる。


「ロゼッタ、右!」


「っ!」


かわした瞬間、セリカが横から滑り込む。


「機械相手は――」


――ガンッ! ガンッ!


「――考えるより壊す!」


最後の一撃で、コアが砕け散った。


――プシュウゥ……


静寂。


しばらくして、二人は壊れた機体を調べていた。


「……うん、内部配線もボロボロ」


セリカはしゃがみ込み、慣れた手つきで確認する。


「これ、完全に制御信号が途切れてる。

 自然発生ってより、放置事故だね」


「依頼通り、調査完了だ」


ロゼッタがそう言うと、セリカは立ち上がって息を吐いた。


「ふぅ……」


そして、少し照れたように頭をかく。


「……どうだった?」


「初仕事としては?」


「うん」


ロゼッタは、はっきり答えた。


「完璧だった」


「……そりゃどうも」


でも、その顔は嬉しさを隠しきれていなかった。


ギルドへ戻る道すがら。


「ハンターってさ」


セリカがぽつりと言う。


「もっと、剣振り回すだけの仕事かと思ってた」


「そういう人もいる」


「でも、

 “知ってること”が役に立つ場面も多いんだな」


ロゼッタは頷いた。


「それが、生き残るコツ」


セリカは少し前を歩きながら、振り返る。


「……私さ」


「?」


「ここ、来てよかった」


その言葉は、軽いけど、本音だった。


頭の奥で、静かな声が重なる。


――《評価:セリカの現場適応能力、高。

   初任務としては非常に良好》


(……だってさ)


――《事実です》


ロゼッタは、仲間が増えた実感を、ゆっくり噛みしめていた。



それから数日たった。


ロゼッタはセリカといくつかの依頼をこなし、

セリカはハンターと鍛冶屋の ”二刀流”として過ごした


ギルドの掲示板前で、ロゼッタが依頼書を確認していると、聞き覚えのある声が背後から飛んできた。


「お、ロゼッタじゃん!」


振り向くと、そこにはミレイアとリン。

突撃銃を肩にかけたリンと、いつも狙撃銃を装備したミレイアが並んで立っている。


「久しぶり……でもないか」


ロゼッタが少し照れたように言うと、ミレイアは柔らかく笑った。


「こっちは少し前線に出てたの。

 あなた、最近ギルドで名前聞くわよ」


その視線が、ロゼッタの隣に立つセリカへ向く。


「セリカ?だっけ?」


「そう セリカ!」


セリカは一歩前に出て、にっと笑った。


「この前はご飯おごってもらって、ありがとね!

 あれ、ほんと助かった!」


リンが一瞬きょとんとしてから、吹き出す。


「え、あの時の子!?

 “工房の子”って言ってた!」


「そうそう!

 今は一応、ハンター見習いもやってます!」


「元気いいなぁ」


リンは楽しそうに笑い、ミレイアは少し目を細めた。


「礼儀もちゃんとしてる。 いい子ね」


「ですよね?」


ロゼッタが小さく胸を張ると、セリカが肘でつついた。


「保護者ヅラしないで」


4人の間で笑いがあふれた。


「それでこの依頼、どうせなら4人でどう?」




依頼は、街道脇で確認された機械モンスターの群れの排除。

四人で組むのは初めてだが、配置は自然に決まった。


前衛:ロゼッタ

打撃支援:セリカ

後衛狙撃:リン

全体統制:ミレイア


廃れた施設跡に足を踏み入れた瞬間、金属音が響く。


――ギィ……ギギ……


「来るわね」


ミレイアの声と同時に、三体、四体と機械モンスターが起動する。


「数、そこそこ!」


「じゃ、いつも通りね」


ミレイアの銃口が閃く。


――パンッ! パンッ!


正確な狙撃で、先頭の一体が転倒する。


「今だ!」


ロゼッタが駆け出し、剣で牽制。

だが装甲は厚い。


「固い……!」


「任せて!」


セリカが横から飛び込む。


――ドゴォンッ!!


ハンマーの一撃が、関節部を叩き潰す。

金属が歪み、火花が散る。


「いい打撃!」


リンが声を上げる。


「でしょ?

 機械相手は、叩いてナンボ!」


さらに一体がロゼッタに迫る。


「左、注意!」


ミレイアの声。

ロゼッタがかわした瞬間、セリカが踏み込む。


――ガンッ! ガンッ!


「壊れろっ!」


最後はリンの一射。


――ダダダッ


コアを貫かれ、沈黙。


戦闘が終わると、四人は自然と輪になった。


「いやー、いい連携だったね」


リンが肩を回しながら言う。


「セリカ、初陣とは思えない動きだった」


ミレイアが率直に評価すると、セリカは少し照れて鼻をかく。


「慣れてるだけだよ。

 ジャンクタウンじゃ、危険が日常だからさ」


「それでも、立派な戦力よ」


その言葉に、セリカは一瞬だけ真面目な顔になった。


「……ありがと。

 あの時ご飯おごってもらったの、

 ただの親切じゃないって、今わかった」


「優秀な新人に乾杯ってね!」


リンが笑い、場が和む。


ロゼッタは、その光景を静かに見ていた。


(……ちゃんと、仲間になってる)


胸の奥が、少しだけあたたかくなる。


――《評価:チーム適応、非常に良好》


(うん、そうだね)


四人並んでギルドへ戻る道。

その背中は、もう“即席の集まり”ではなかった。


続く

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