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第1章ー③ 護るために

続きです 少しずつ物語の核心が見えてきます

壱式のエネルギーブレードがホーゲルの肩当てを叩き割った瞬間——

ロゼッタは全身が凍りつくような感覚に襲われた。


しかし、次の瞬間、ホーゲルの荒い息が聞こえた。


「……ぐっ……まだ……死なん……!」


倒れ伏したホーゲルは左肩を押さえながら、ロゼッタに目を向ける。

彼の工具袋が盾代わりになり、致命傷は免れた。

それでも衝撃は激しく、呼吸は荒い。


「はぁはぁ ロゼッタ……大丈夫だ……!

 俺が死んだら——誰がお前を直す……!」


その言葉が、ロゼッタの胸を刺す。


(この人は……私を“武器”としてじゃなく……

 一人の人として守ってくれた……)


赤い脈動が身体の奥で高鳴る。


怒りでも、恐怖でもない。

——守りたいという感情が、ロゼッタの中で火を点けた。


胸腔の奥、人工心臓の鼓動がひときわ強く跳ねた瞬間、

彼女の視界に散らばっていたエラー表示が、すっと静まり返る。

まるで余計な雑音をすべて押し流すように、世界がひとつの線で結ばれていく。


《感情値:閾値突破——限定モードへ移行》


無機質なシステム音声が、どこか震えるように耳奥で鳴った。

ロゼッタの背骨に沿う冷たい神経ケーブルが、ぞくりと熱を帯び、

皮膚下に埋め込まれた導電パターンが赤い紋様のように光り始める。


呼吸が深くなる。

脚部サーボの唸りが、まるで彼女の決意そのものを代弁しているかのようだった。


「——来なさい。」


その囁きは、恐れを知らぬ挑発ではない。

守るべきもののために立つ者だけが持つ、静かな覚悟の響き。


次の瞬間、ロゼッタの全身が赤い閃光に包まれた。

《コード ス……:限定起動》


世界が、彼女の速度に追いつけなくなる。


壱式が再びエネルギーブレードを構える。


その刃先がロゼッタに向いた瞬間、ロゼッタの身体に変化が走った。


背骨を走る機構が展開し、ひと呼吸ごとに甲高い音が鳴る。

脳内で視界情報が自動解析され、

壱式の動きがスローモーションのように“読める”。


(……見える……!

 どこから来るか……全部……!)


ロゼッタは地面を蹴った。

脚部の補助機構が光り、まるで空気を押し飛ばすように加速する。


壱式がブレードを振る。

ロゼッタは刃の軌道を予測し、紙一重で回避した。


空気が切り裂かれ、火花が散る。


「ロゼッタ…さっきまでの動きとは……まさか!」


ホーゲルが息を飲む。


■攻防


壱式が腕を振りかざし、ビルの壁ごと薙ぎ払う。

瓦礫が雨のように降り注ぐ。


ロゼッタは跳躍し、壊れた看板の上に着地。

反動で体が沈むより早く、右腕を振りかぶる。


「はぁぁああぁッ!!」


ビシュッ!!


衝撃波が広がり、壱式が大きくのけぞる。

装甲にひびが走った。


壱式は機械音声で訴える。


《対象能力:予定値を超過

 覚醒因子の発現を確認

 危険度を“赤”に変更》


赤い単眼が、より濃く光る。


ロゼッタは一瞬、息を呑んだ。


(……自分の中に眠っている力……

 私は……何に改造されたの……?)


だが、答えはまだ見えない。

戦いの最中に考えている暇もない。


一方ホーゲルもただ目の前の戦闘に目を奪われてるだけではなかった。


ホーゲルはふらつきながら工具袋を漁り、小型EMP起爆器を取り出した。


「ロゼッタ!

 十秒……いや五秒でいい……壱式を抑えろ!

 俺が“止める”!」


「ホーゲル、そんなの——!」


「心配するな。死なねぇよ。

 死んだらお前の修理ができねぇだろ!」


ロゼッタは唇を噛み、うなずいた。


(生かす……!

 私も……ホーゲルも……!)



壱式が跳躍し、ロゼッタに向けてブレードを突き出す。

ロゼッタは地面を滑り込むように回避し、壱式の足下に入り込んだ。


そして、右腕を壱式の膝関節に押し当て、叫ぶ。


「これ以上……誰にも……奪わせないッ!!」


轟音。


衝撃波が至近距離で炸裂し、壱式の片脚が吹き飛んだ。

巨体が沈む。


同時にホーゲルがEMP起爆器を投げ込み、叫ぶ。


「ロゼッタ、離れろ!!」


閃光。

衝撃。


壱式が痙攣し、全身の機構が一瞬で沈黙した。


赤い単眼がスゥ……と暗くなる。


黒竜回収者・壱式は停止したと同時にロゼッタの全身から光が消えた。


ロゼッタは息を吐き、ホーゲルのもとへ駆け寄った。


「ホーゲル! 大丈夫!?

 どこか折れてない?」


ホーゲルは苦笑しながら顔をあげる。


「折れたのは……お前の遠慮だな。

 やっと“生きたい”って顔になった」


ロゼッタの胸が熱くなる。


(守られたんじゃない……

 護ったんだ……私が)


そう思った瞬間、崩れたビルの向こうから複数の赤い光点が現れた。


黒竜回収者の増援。


ホーゲルが肩を抱えながら呟く。


「ロゼッタ……逃げるぞ。」


ロゼッタはホーゲルを支え、夜の廃都市を走り出した。


第1章ー④へ続く

脱出編後に世界観とキャラ説明を入れたいと思います

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