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第1章ー② 黒竜部隊の初戦闘

廃ビルの外壁を抜けた瞬間、ロゼッタは息を呑んだ。


夜の廃都市は、まるで巨大な墓のように静まり返っている。

折れ曲がった高層ビルの影が路上を覆い、瓦礫の山が通路を塞ぐ。

しかし——その静寂を切り裂くように、重い足音が周囲に響き渡った。


ドン……ドン……ドン……


「囲まれたな」


修復士ホーゲルが唸るように言った。

ロゼッタの背筋に冷たいものが走る。


四方の暗闇から、黒い影がゆっくりと姿を現した。


赤い単眼。

黒竜の刻印。


機械兵《回収者》が三体、ロゼッタとホーゲルを中心に円を描くように歩み寄ってくる。


「な、なんで……こんなに早く……!」


ロゼッタの声には焦りが滲む。

ホーゲルは唇を噛んだ。


「奴らは“覚醒候補”を認識した瞬間から優先追跡に入る。

 逃げ場は最初からなかったんだ」


赤い単眼がロゼッタに固定される。


(私……狙われている。

 ずっと……ずっと前から……)


胸が焼けるように痛い。

記憶の断片で見た、白い部屋の光景が蘇る。


「……だめ……また捕まるのは……いや……!」


その一瞬、機械兵が動いた。


「ロゼッタ、伏せろ!」


ホーゲルの叫びと同時に、巨大な脚が地面を砕き、鋼鉄の腕がロゼッタの頭上を薙いだ。

風圧だけで髪が舞い、頬が切れる。


ロゼッタは転がりながら距離を取る。

しかし三体の黒竜回収者は、寸分違わぬ連携で追撃してくる。


《目標:覚醒候補 No.17

 優先捕獲》


機械音声が廃都市に響いた。


ロゼッタの右腕が震える。

覚醒したばかりで制御の効かない機能が、彼女の意志に呼応する。


(来る……!)


回収者の腕が振り下ろされる。

ロゼッタは反射的に右腕を突き出した。


ビシュッ!!


再び衝撃波が放たれ、回収者の関節が軋み、巨体がわずかに揺らいだ。


「今だ、下がれ!」


ホーゲルが手を引くが——ロゼッタはふらついた。


「……っ、だめ……力が……っ」


身体の中で何かが焼き切れそうになっている。

衝撃波は確かに強力だが、いまのロゼッタには扱いきれない兵器だった。


回収者が二体、横から飛びかかる。


その瞬間——


ズガアァァン!!


ビルの壁が破砕し、黒竜部隊の“隊長格”が降ってきた。


他の回収者より頭ひとつ大きい。

重装甲、両腕には刃のように伸びるエネルギーブレード。

赤い単眼はより深い——血のような色をしている。


ホーゲルが目を見開く。


「あれは……《黒竜回収者・壱式》……!

 やばい、ロゼッタ——!」


だがロゼッタは、その単眼を見た瞬間、動けなくなった。


胸の奥が灼ける。


(……知ってる……? 私……この“目”を……どこかで……)


壱式がロゼッタをロックオンする。


エネルギーブレードが閃き——一直線に襲い掛かる。


ロゼッタは恐怖で動けない。


「——ロゼッタぁ!!」


ホーゲルが体当たりでロゼッタを突き飛ばし、代わりにブレードを受けた。

装着していた工具の防護板が砕け散り、ホーゲルの身体が弾き飛ぶ。


「ホ、ホーゲルっ!!」


ロゼッタの中で何かが切れた。


胸の奥で、熱と疼きが爆発する。


(——奪わせない……!

 帝国にも……この黒竜にも……

 私の“仲間”を……!)


視界が赤く染まる。


ロゼッタの背骨に沿って内部機構が起動し、金属の脈動が肌の下で轟く。


怒りと恐怖が混じり、彼女の体内で眠っていた兵器機構が目を覚ます。


「……来いよ……黒竜……」


赤い髪が風に舞い、瞳が紅く光った。


黒竜部隊との初戦闘——

ロゼッタは初めて “覚醒の片鱗” を発動させる。


第1章ー③に続く

本日中に脱出編は投稿したいと思います

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