第2章ー② αチーム vs 帝国輸送部隊――駐屯地強襲
前回の続きです。あの番組の独特の雰囲気を感じてもらえたらと思います
帝国輸送部隊は、予定通り夜明け前に駐屯地へ到着した。
コンクリートで固められた簡易基地。
外周フェンス、二基の監視塔、巡回する機械化兵。
中央には、異様な存在感を放つ重装甲トレーラーが鎮座している。
その内部に、“荷物”がある。
「……やっぱり、無駄に厳重だな」
高台から双眼鏡を下ろし、バルカが低く呟いた。
風向き、巡回の間隔、警戒レベル。
すでに頭の中では、戦場そのものが“図面”として組み上がっている。
通信を開く。
「ベルベット、状況は?」
『駐屯地内部、問題なし』
軽い声が通信機から聞こえる。
彼はすでに帝国補給兵の制服を着込み、駐屯地の真ん中を歩いていた。
顔には疲労と諦めを貼り付け、完璧に“帝国の歯車”を演じている。
『検問、点呼、補給確認。
今は一番、油断する時間帯だ』
『見張りは多いがな』
別回線で唸る声。
モヒカンだ。
外周フェンスの影。
彼は地面に伏せ、即席爆薬を組み上げていた。
帝国の不発弾、廃燃料、金属片。
「ガキ一人捕まえるのに、
どんだけビビってんだよ、帝国は」
金のネックレスが、かすかに鳴る。
さらに別の回線。
『……ああ……素晴らしい……』
ドクの声は、いつも通り危険なほど上機嫌だった。
『拘束フレーム確認
神経遮断、三重ロック……
これを考えた奴、相当性格悪いね』
「解除は?」
『もうすぐ
“開けてください”って顔してる』
バルカは短く頷いた。
「よし。
――始める」
次の瞬間。
外周で爆発。
轟音が夜を引き裂き、フェンスが吹き飛ぶ。
警報が一斉に鳴り響いた。
「敵襲だ!!」
外周フェンスの崩壊から、わずか三十秒。
警報は鳴り止まず、機械化兵が規律正しく走り、指揮官の怒号が空気を震わせる。
――しかし、そのすべてが“ズレていた”。
「外周に集中しろ!」
「侵入者は複数だ!」
「輸送トレーラーを守れ!」
命令は正しい。
だが、正しいからこそ罠だった。
兵士たちが外周へ殺到する。
そのどさくさの中、ベルベットは一瞬だけ目を細めた。
「……今だ」
トレーラーのプログラムが音もなく解除される。
『解錠完了』
ドクの声が甘く響く。
『ほら……壊れる瞬間が一番きれいだ』
外では、モヒカンが立ち上がった。
「来いよ、帝国!!」
その瞬間、外周で二度目の爆発。
今度は派手だった。
「うおおおおお!!」
モヒカンが吠える。
彼はフェンスを飛び越え、駐屯地内部へ突入していた。
両肩に担いだ即席火器。
金のネックレスが、火花の中で揺れる。
「よくも……
よくもガキを“貨物”扱いしやがって!!」
引き金。
即席砲が火を噴き、装甲兵が吹き飛ぶ。
帝国兵が悲鳴を上げ、陣形が崩れる。
「大人の戦争に、
子供を使うんじゃねぇ!!」
怒りは、作られたものじゃない。
モヒカンの声には、心底からの憤怒があった。
拳が、銃が、爆炎が、帝国兵を叩き伏せる。
駐屯地は一瞬で戦場になった。
高台から、バルカは冷静に全体を見下ろす。
彼はすでに別の外套を羽織っていた。
帝国将校の服。
次に演じる役は――“指揮官”。
帝国将校の外套を翻し、堂々と前に出る。
「慌てるな」
低く、威厳ある声。
「こちら中央司令部だ」
通信機に威圧的な声を流す。
「外周に注意を集中しろ。
トレーラー周辺はそのままだ」
命令は、疑われなかった。
ベルベットが笑う。
『さすがだね、バルカ。
嘘が本物より堂々としてる』
ベルベットが小さく息を吐く。
『やっぱり、あんたがリーダーでよかった』
『――バルカ』
モヒカンが割り込む。
『輸送トレーラーが動き始めた』
「予定通りだ」
バルカは言い切る。
「帝国は“荷物”を守る。
それが弱点になる」
その瞬間、ドクの声が弾んだ。
『解除完了。
……さあ、お姫様
起きる時間だ』
その頃、トレーラーの奥。
暗闇の中で、ロゼッタのまぶたがわずかに揺れた。
服の内側で、偶然入り込んだエネルギーパックが、微かに熱を帯びる。
彼女はまだ、目を覚まさない。
だが、世界はすでに動いている。
「αチーム」
バルカは静かに告げた。
「作戦を続行する」
不可能?
そんな言葉は、最初から存在しない。
――彼らは、
不可能を可能にするチームなのだから。
第2章ー③へ続く
帝国兵が派手にぶっ飛んでますが、たぶん死んでません。
あの番組の良いところは、どんなに大爆発しても銃撃戦があっても、車両がクラッシュしても人は死にません。家族で見ても安心な番組です。
読んでいただいてありがとうございます。ご意見ご感想お待ちしております。




