表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/289

第1章ー⑯ ロゼッタ封印の真相 — 帝国が恐れたもの

前回の続きです。ここまで読んでいただいてありがとうございます。

いつの間にかロゼッタはベッド代わりの金属板で横になっていた。

サイボーグといえども人間の部分がある。

ましてやここまで戦い通し、睡眠は必要だった。


眠りこむロゼッタを前に、ホーゲルはゆっくりと、ロゼッタに”見せられない”ログを見ていた。


そこにはロゼッタが”封印された”理由が書かれていた。


**【帝国中央研究院・極秘文書】

〈対象個体 RZ-013 “ロゼッタ” 封印処置報告〉


分類:最上位機密(皇帝直轄)

閲覧権限:十二枢機軍評議会のみ


1. 対象概要


対象個体 RZ-013(以下“ロゼッタ”)は、

混植因子スパルタカス・シード〉の“完全発現型”として作成された唯一の成功例である。


一般剣闘士個体との差異は以下の通り。


因子適応率:100%(例外値)


周囲因子保持者への強制同調効果:標準個体の34〜51倍


感染拡大性:観察下では制御不能


精神安定度:外部刺激に依存し変動


無意識下において“集団戦闘行動の中心点”となる傾向


本個体は、兵器としての運用を行う段階に到達したが、

統制委員会は「存在そのものが大規模暴動の起点となる」と判断した。


2. 処分案の棄却理由


複数の部門より“対象個体の後処理(処分)”が要請されたが、

以下の理由により承認されなかった。


2-1. 同調因子の暴走リスク


分析班より提出された報告では、


“RZ-013を強制停止した場合、対象と同調中の因子保持者が

高確率で暴徒化に移行する。”


と結論付けられた。


特に当時、帝国兵内部で〈混植因子〉の感染が進行していたため、

対象処分は “帝国中枢が自壊する引き金となる” と判断された。


3. 封印措置の決定


皇帝勅令第 79-β に基づき、

以下の処置を実施。


3-1. 意識凍結


対象の神経活動を“最低限の生命維持域”に固定。

記憶領域のアクセスを完全遮断。


3-2. 同調波の制限


因子の活動域を封殺するため、

“深層因子抑制機構(DFI)”を連続稼働。

対象個体は外部因子保持者との同調をほぼ喪失。


3-3. 隔離環境構築


廃都圏地下第七区画に封印施設“静域の室”を設置。

所在は機密扱いとし、記録上は“実験区画崩落に伴う消失”として偽装。


※封印後、施設に関わった技術兵の多くが諸事情により退役・消息不明。


4. 封印後の観測結果


封印後 11 日目より、帝国内部で因子保持兵の暴走事例が発生。

しかしロゼッタとの同調は検出されず、封印の効果は“限定的安定”を示した。


ただし、以下の懸念点が記録されている。


対象個体の因子活動は“完全停止していない”


長期封印による構造劣化が進行


外部からの刺激により覚醒する可能性あり


施設保守要員の減少に伴う監視の弱体化




封印後、帝国は崩壊し、ロゼッタの存在は“禁忌の伝説”になった


帝国は崩壊していった。

封印施設を維持できる人材も技術も失われ、

ロゼッタは誰からも忘れられたまま眠り続けた。


そして――


ホーゲルがその遺構を見つけて、彼女は蘇った。


「君が目を覚ましたのは……奇跡なんかじゃない」


「世界がもう一度、自分の意思を持つ君を必要としたんだよ」


「今度は……誰のためでもなく、自分のために生きろ」


ホーゲルは小さく呟いた。


目の前の少女の寝顔は、造られた”兵器”ではなく一人の”少女”だった。



第1章ー⑰へ続く

読んでいただいてありがとうございます。ご意見ご感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ