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「兄さん姉さん、何頷き合ってるの?」
私が唸り声でそう言うと、二匹は気まずそうな表情を浮かべた。
「ごめんね、伝えたらあなたが怒るだろうから」
姉さんが青い瞳を優しげに細めてそう言う。私は少しムカムカしたが、口には出さずにソーレルジェットを突ついた。
「ん?なに?」
「疲れてるんだったら、少し家で休んだらどうかな、と思って」
私が尻尾を前足に乗せてそう言うと、ソーレルジェットはパッと顔を輝かせた。
「ほんと!?君んちの水、美味しいんだよなあ」
そうなんです、私の家の水、天然の湧水なんです。美味しいのも納得だよね。
「そうと決まったら、さっさと着いてきなさいよ。時間なくなるわ」
私がそう言ってサッと歩き出すと、ソーレルジェットが走り出し、あっという間に私を追い抜いた。
「ちょっと!待ちなさいよ!どうせ道分かんないんでしょ!?」
そう、ソーレルジェットは私の幼なじみだけど、私の家への道を覚えていない。貴族の住宅街って、かなり入り組んでるから。私は全力ダッシュでソーレルジェットの隣に並ぶと、もっとスピードを出して追い抜かした。
「フェザーフラワー!僕、君の家の匂いを覚えたんだ!多分分かる!」
ソーレルジェットの言葉に、私は不安になる。いくら彼が分かると言っても、迷うかもしれない。
「分かったわ。だったら、私がこっそり後から着いて行く。それでもしも間違えたら止めるから、声を聞いててね」
私が不安を隠せずにそう言うと、ソーレルジェットは力強く頷いた。それを見た私は早速近くの茂みに飛び込み、ソーレルジェットが進むのを追いかけ始めた。そして。私の予想を裏切らず、ソーレルジェットは迷った。もうすぐで家という所で。もしかしたら行けるんじゃないかってちょっと期待しちゃったもの。でも、案内役の役割を果たさないと!
「ソーレルジェット!あなた、道を間違えてるわ!もうちょっとなのに!」
私が茂みから飛び出して体をバタバタと振って木の葉を落とす。すると、ソーレルジェットはちぇっという顔をした。
「今度こそ行けると思ったのに」
私はソーレルジェットの言葉にうんうん頷く。私だって期待したわよ。
「まあ、ここからは私も一緒に歩くわ。はい、進んで」
私がそう促すと、ソーレルジェットは素直に従った。私が歩き出すと、程なくして私の家の門が見えてきた。今は猫はみんな留守だ。
「あなたも忘れてないだろうけど、この家にはうるさいフローラお嬢様がいるの。我慢してね。あと、あなたを飼いたいとか言うかも」
私がうんざりしながら言うと、ソーレルジェットは前足で自分の首を指さした。見てみると、淡い黄色の首輪が着いている。きっとこれがあるから大丈夫、と言いたいのだろう。でも、目は私の首輪に釘付け。それもそのはず、貴族の飼い猫である私は明るい水色のリボンが器用に交差され、後ろ側に上質な絹でできた私の耳くらいの大きさの青いリボンが着き、前側にはサファイアでできた鈴が鳴っているのだから。
「分かってるけど、それにしても君の首輪ってすごいよな」
ソーレルジェットの言葉に、私は片方の前足で鈴をチリンチリン鳴らす。これが音が出にくい鈴で良かった。すぐ音が鳴るようなら私は狩猟猫になれない。まあ貴族の家だから猫が獲物を獲る必要はないけど、キャットフードばかりだと味気ないのよね。私がそんなことを考えていると、門の外からチワワが吠える声がした。うるさいけど、ここであっちに突っかかって行ったら貴族のチワワの飼い主に何かされるだろうし、めんどくさい。そう思った私はソーレルジェットと一緒にチワワが通りすぎるまでじっと待つ。私たち猫を見ると色々うるさいんだもの。
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