第7話家族の居ない日最終日:まさかの事態
家族の居ない日、三日目
ー今日は思う存分実験が出来る…と思っていたが、まさかこうなるとはな…
始まりはおよそ、約三十分前に遡る。
ゴーレムを使って第二拠点を建設中、今回は城みたいな感じにしようと計画中
「ゴーレムってすごいな…」
因みに、今の技術は転生前の世界の表社会で使われていた技術よりちょっと上ぐらい、ゴーレムを魔力で直接動かしたり魔力回復用魔道具とかを使って作業の効率が数十倍上がったから直ぐにここまで来れたのだ。
しかし、これ以上やるにはスペースが足りない…今まではだいぶ無理して実験していたからちょっと危なかったのだ。この後やろうとしている事はだいぶ危険な事、失敗すれば拠点のある崖はおろか補強しているとはいえトンネルも三分の一ぐらいは崩れ大変な事になる。
「今日、 ちゃん遅いね〜」
「…ん?」
ーあれ?おかしくね?コイツ、昨日、二回目の顔合わせだったよねぇ?えっもしかして、世間知らずってやつか?そういえば最初俺と会った時…目を治す前、剣で目を斬られた様な傷跡だった様な…そういえば俺の時も…コイツ!なんかおかしい!
「どうかしましたか?」
「大丈夫か?」
ーどうにかしてやりたいが…
「えっ?何が」
「いや、何もない」
ーくっ俺は精神科医じゃないからコレは治せない…いや、待てこれはフェイクの可能性もある…一応転生者だし
「む!なんか煙の香りがする様な…」
ー流石、狼系獣人。鼻が効く
「煙?」
ー宴でもしてるんかな?
「 ちゃんの居た村の方…ちょっと見てくる!」
「おっおう…」
ー嫌な予感がする、あの村は山賊が多い山脈の近く、しかも、海側は|オオキョダコ《とても大きくて知能が高いタコ》の産卵地があったり海賊がとても多い海域があったり…やっぱり、ここら辺にラストダンジョンとかありそう…
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「大変ですよ!」
「どうかしたか?」
「あの村が山賊団と海賊団に襲撃されてます!」
ーまさかの二組偶然同じ日に同じ村を狙う事になったのか?
「今は村は既に占領され山賊と海賊が争っています」
ーしかも争ってる…あの村そんなに弱っかったけ?
「助けましょう!」
ーどうしようかな〜
「お願いします!」
「はぁ、行くから先行っといて、後十分で終わるから」
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「大変です!」
「次はどうした?」
「アンリュウ教が来ました」
ー聞いたことのない名前だ宗教団体か?…そういえばアンドリューって名前の科学者が組織に居たなぁ死んだけど確か二代前が力を入れていた後継育成機関を出れた少ない科学者だったが…
「何それ?」
「知りません、村の人を攫っている様です」
「邪教かな?」
「邪教では無いはずですよだって村の人が喜んでましたし、あの子がアンリュウ教はいい教えがあるって言っていたから多分アンリュウ教を語る何者かでしょう」
ー良い諜報員になれそうだな〜
「まあそうなるね、今持ってる情報量が少な過ぎて断定は出来ないけど」
「よっし、行くか!」
「では、私は訓練してきます!頑張ってください!」
ー鍛錬ねぇ〜鍛錬?
「えっ?」
「へっ?」
「なんか変な事言いましたか?」
「いやいや、君も戦うんだよ?」
「なんで?というか無理ですよ!人殺しですよ⁈」
「うん、そうだよ」
ー人殺しがどうかしたのかなぁ?
「無理ですよ!」
ーあっそうか、自分の力に自信を持ててないのか…獣人が生まれつき持っている嗅覚、聴覚、プラスで助けた時に少しだけ魔力量や筋肉量を増やしておいたから、そこら辺の山賊にも余裕で勝てるはずだ。しかし、彼女にはまだ言っていない、言っても何か起きそうな気がするので僕の取る選択肢は一つ
「大丈夫、大丈夫こっちには大量の魔道具があるし」
ー失敗しても良いと安心(?)させる。…戦闘中安心するのはおかしいからちょっと違う…なんていうんだっけ?
「えっそうじゃなくて…」
「確かに初戦は緊張するよな…俺もそうだったし」
ー緊張してたら何故か焦りだして先読みしようと考え過ぎて過ぎて失敗した。後で気づいたんだけどあの敵、師匠の仲間だったらしく失敗すると最初っから思われてたんだよな…あれは腹が立ったが、今思えば良い経験だった。
「そうじゃなくて…殺しですよ殺し!」
ーあっそういう事、でも参戦すると決めた以上、もう戦いは始まったと同然…一回きつく言ってみようかな…?
「あのなぁ…ここは日本の表社会じゃないんだぞ!」
ー日本でも裏社会じゃあ殺しはあるからな…実際俺もしてたし
「うっ」
「この世界はお前が居た世界よりも死にやすいし死は軽く見られるんだ!そんなこと言ってられるかよ!そういうこと言ってると死ぬぞ!直ぐに!」
「はっはい…」
「お前は、あの時返事した時から裏世界の住人だ、本当は村の現場を見た後直ぐに状況を報告する、そして行くか行かないかはリーダー、組織がデカければ幹部が行くかを決定する、そこには私情は決して挟まれる事はない、あった場合は基本なんらかの方法で罰が与えられる、間違った選択をすれば場合によっては殺されるこれは裏世界の基本の中の基本」
「…」
「これが出来なければ追放だ!」
ー追放じゃなくて死だけどな…拠点の場所も知ってるし
「そっそんな…」
「わかったな」
ー最後に裏社会の厳しさを教えてやろう…貴様の命でな…
「はい…行きます…戦わせてください!」
ー来るんかい…まあ俺の所に居れば前の世界に行けるとでも思っているのだろう…行き方は知ってるけど…あれ危険なんだよなぁ…
「良い返事だ…行くぞ」
そう言うと黒いスーツケースらしき物を取りトンネルに入って行った。
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ーアレは…馬車だな…魔力視を使ってで見た感じあの魔力は か、他にも数人いる様だ。…アレは…魔封効果の付いた拘束具か!…アイツ等どうせ奴隷か実験台にされるんだろうな…
「村の残党は頼んだ」
ー因みに村にはまだ獣人や山賊、海賊、宗教団体らしき者が居る。
「えっはっはい!」
ー大丈夫かな…
「三分の一だけ始末してやるから、頑張れよ」
「はい!」
乱戦になっているところに行くと、突如、血の嵐が起きた。
「弱いな…」
「サードクラスが…ッ一撃…!」
「なっなんだコイツ」
「たっ助かったのか…?」
「エルフか?」
ー何回も思ってるがエルフじゃねぇよ
「この匂い…人間のガキか…ガキのくせに強いな…」
ーやっぱり、狼系獣人って鼻良いな
「いや…さっきのはコイツか?」
「俺だよ」
鍔迫り合いになった。しかし、子供は片手で剣を持っているそれに加えて宗教団体の男は…両手で剣を持っている。
異様な光景だった。
「くっ」
「残念だがお前等の相手は俺じゃない…じゃ」
そう言うと、男を切り刻んだ。
「なっセカンドを…嘘だっ」
ーセカンド、サードって組織内の強さのランクだったりするんかな?
「なんて強さだ…村の長に相応しい…」
ー嫌な予感…
「ステラ、後は頼んだ…」
「はい!」
ーすると一人一人殺していく…顔色が悪いのは…無視しよう…
ーそろそろ行くか
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「なっ誰だ!」
「なっファーストを…コイツ強い、強すぎる」
「いや魔力切れを起こしているはジュグボォハ」
ー血を吐いて倒れた
「そろそろ、いいかな〜」
「ヒィ」
「かっカロトス様ぁてっ敵襲!」
ーカロトス…誰だソイツ
「なんの様だ…カロトス様は今、寝て…なっなんだこの有様は…」
その時全員が崩れ落ちた。
ー恐ろしく早い手刀…俺がした。
「なっなんだこれは…ダンドイド教団が…こんな有様に…」
ーお前は何?敵の仲間か?
「誰だ、貴様は…場合によって…」
「お前こそ誰だよ」
ー即答…せめて全部言わせろ
「…お前に名乗る名は無い…場合によってはコイツ等の様になって貰おうか…後ろで隠れているやつも出て来い」
すると真ん中の馬車から何者かが出てきた。
「うるさいな…誰だ…我の眠りを妨げるのは…」
「なっコイツはダンドイド教団第十二席[素体集め]のカルトス…」
「無理だ…俺等には…倒せねぇ…匂いでわかる、この染み付いた血の匂い…」
「誰が素体集めのカルトスだ…俺はダンドイド教団第十二席[素材提供]のカロトスだっ」
ー提供って…
「なんだと…人類をなんだと…」
ーそうだぞ、人類をなんだと…俺だって人体実験はしないんだぞ…まあ、する必要がないだけなんだがな…
「見た感じ、部下がお世話になった様だな…そんだけ部下を倒しておき、その魔力量…強い魔剣士だった様だが…俺の強さを甘く見るなよ…こう見えて組織で十二番目の強さを誇っている私に勝てると…」
ー十二って…微妙だな…
「いや…俺じゃねぇ」
「俺でもねぇ」
「ふっふ…ふざけても無駄だ…残念だが…俺は魔力探知が上手くてな…」
「いやいや本当に俺じゃ…」
「多分、お前の背後にいる子供が殺ったんだ。俺じゃねぇ」
「俺を舐めているのか?良い度胸…」
「へぇ…こんなのが幹部をしてるんだ…」
「なっ」
「俺にも気付けないとはねぇ…」
ー気づいてたらとても危なかった
「ふざけやがって」
話しながら剣を振るうが当たらない
「なっくそっまさか…あの組織にこんなに強いガキが居るとはな…」
防御体制を取った。
「別に今はどこの組織にも所属していないんだがなぁ…」
「カルトスの攻撃を避けただと!」
「だから俺はカロトスだっ!」
そう言うと剣を振りかぶってきた。
「なっ」
剣が切れたのだ。
「おおやっぱりこの剣の切れ味は良いねぇ魔力で強化したから尚更強くなっている…」
「くそがっ」
殴りかかってくる
しかし
僕は避けて手刀を顎にヒットさせる。
すると…倒れた。脳震盪だ。
「魔力封印結界、上手く使えればこんな事も出来るのか…」
そう言いながらカロトスを拘束していく
「化け物…」
「魔力封印結界ってそんな簡単に使えたっけ」
ー山賊から奪った大きな…大人、四人分ぐらいの大きさの封印結界を作るための道具を今日改良しておいて良かった…というか、魔力と電気、二種類のエネルギーで動く様にしたらこんなに小さくなるとは…やっぱり電子機器と魔導機器を組み合わすのは良いなぁ、可能性が広がる。
「で、お前等はなんだ?場合によっては今すぐ首を落とすぞ」
「俺等は に所属している者だそして俺が1235番人間だ」
「俺は1105番、狼系獣人」
「そして、俺が1104番、エルフだ」
「俺等の組織に入らないか?」
「結構だ、俺は大陸門の向こうに住んでるもんでねぇここまで来るにも結構時間がかかるんだ」
「大陸門の向こう⁈」
「化け物かよ」
「今は敵対しないからとっとと帰れ」
「すまないが、それは無理だ。せめてカルトス…カロトスかダンドイド教団に関する書類をくれ」
「無理だ、せめて明日にしてくれ俺も情報が欲しいこの男から情報を得たい」
「すまないがダンドイド教団のやつ等はそ簡単に情報を吐かない…」
「ふっ誰が吐かすと言った?俺は脳に干渉して無理矢理情報を引き出そうとしているだけだ」
「なっどう言う…」
「今、ここにあるダンドイド教団に関する物品が欲しけりゃ明日の夜、あの大きな木の下に来い、全て渡してやるよ。ほら、帰った、帰った」
「…」
「わかった…」
「1104番!」
「俺等がコイツに勝てる訳ないだろ、可能性がある方を選ぶだけだ。それで、明日の夜だな」
「ああそうだ」
「頼むぞ」
そう言うと帰って行った。
ーさて、どうしよう…あっそうだった。偽善活動をしないと
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目が覚めると檻の中に居た。
ー外から音が聞こえる…ここはどこ?動けない…誰か助け…いや
「…」
ーどうせ助からない、助けてくれる人も居ないアンリュウ教の人達も私達を捕まえ、実験体にしようとした。今外で起きているのは私達という実験体(もしくは奴隷)を奪い合っているだけなのだ。どうせ、誰も助けてくれない…普通の…元の生活に戻れるのだろうか…
味方が助けに来たと思ったら、家族を目の前で殺し、友達、知り合いを捕まえ馬車に詰め込んだ。それを見て逃げようと思ったが、直ぐに見つかり捕まった。そうしてここに来た。
ーあの山脈の奥に居たあの子達はどうなったんだろうか…捕まっていなければいいけど…あの子が作っていたゴーレム(?)強そうだったな…強い?…そうだ…力だ…圧倒的な力さえあれば…この拘束具を壊し、檻を壊し、友達や知り合いを助け帰れる…荒らされた村だって力さえあればすぐに治せる…でも、私には…力がない…
「力…力が欲しい力さえあれば…」
泣きながら言っていた。
ー考えても無駄、それはわかる…だけど…考えてしまう…あの時、力さえあればと…
「力さえあれば…」
ー力さえあれば、捕まっている皆んなを助け、村を復興出来る…いや力があったら、その前に……最初から力があれば家族も、死なずに済んだはずだ。…
「力があったら…」
ーもう遅いのはわかっているもう…
「力が欲しいか?」
ー何?誰?…いや幻聴だろう
「もう一度聞こう力が欲しいか?」
ー聴こえた本当に聴こえた。幻聴じゃない
「力…力が欲しい…もうこんな事が起きない様にしたい、する為の力が欲しい!」
悪魔でも、何でも良かった…こんな事態が繰り返されなくなるなら
「ふっ良いだろう…力をくれてやる…」
「うっあ…た…ま……が…」
ー頭が痛い…心臓も…膨大な魔力が体に流れてくる…
「これぐらいで良いだろう…」
「これは…」
ー体の中に膨大な魔力を感じる…
「“貴様には今日から、僕の仲間になってもらう、それが対価だ。後で言ってすまなかったな”」
「はい…ん?」
ー何?この言語?日本語…それはわかる…けど
「えっ?何?こっこの言語?」
「その言語はこれから暗号として使ってもらう、一応暗号だから無闇に使いまくったりするなよ」
「えっはい…」
「“次だ、y=5xの二乗にx=2を代入してyの値を求めなさい、日本語で答えろ”」
「y=20です…」
「“おっしゃ、次だ、光合成とは何ですか日本語で簡潔にして答えろ”」
「植物の中にある葉緑体に光を当てると地中から得た養分を使って二酸化炭素を吸収し、酸素に変換する事です…」
「よし、終わりだ、ちょっとこの人達村に帰すから手伝って」
「えっはっえ?何で私こんな事わかって…」
「ああ、俺が無理矢理覚えさせたまだ信用していないから少しだけだがな」
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「よし、終わったな、イノシシの肉も少し置いて置いたし、直ぐに復興に進めるだろう」
「ありがとうございます」
「命の恩人…」
「やはり、群れの長に…」
「村の長は結構です」
「そんな…せめて名前を…」
「 ちゃんバイバイ」
「うん、またいつか」
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「やっぱり、貴方達だったのですね」
「えっ何でわかったの?」
「そりゃあお前の声とノリだろ」
「はい、そうです」
「えっ私そんなに珍しいかっての?」
「半分ぐらい悪い意味でな」
「えっ」
「で、リーダーはやっぱり…」
「リーダーなんていないぞ」
「えっ?」
「えぇえ⁈」
「今の所はただの育成機関でたまに盗賊狩りとかをするだけの組織になっている。と言っても、数年後にはもうちょっと大きな事をするつもりだがな」
「今はただの育成機関ってことね…」
「今はな、俺は最終的に人を分けて組織を数個作る、そして、協力し合うってのが理想だ」
「おぉ〜!」
「…それじゃあ私はあなたの直属…秘書になります!」
「おっおう…」
ーそろそろやるか
「まあ、俺はそろそろ研究室に行くわ、話しはまた明日」
「はぁい」
「はい…」
こうして、家族の居ない日三日目が終わったのだ。
何故かこれだけ、六千超えてる…結構書いたな俺…
これのお陰で二千四百文字超えたし順調に進んでるな…