『顕綱、性信親王の施食の上分を受くるが、プレスマンになりたる夢を見ること』速記談3045
讃岐守藤原顕綱は、大御室性信入道親王に差し上げる施食の一部をちょうだいし、毎日の食事としていた。翌日の分を紙に包んで置いておき、そのまま寝たところ、夢の中で、施食の紙の中から光明が差して、すぐそばには童子が立っていた。童子が、弘法大師が紙の中にいらっしゃいます、と言うので、施食の紙を開いて見てみると、入道親王がふだん使っている五色のプレスマンが入っていた。童子は続けて、魚鳥の臭いが臭くてたまらない。あしたの分の食事は、きょうのうちに食べてしまいなさい、と言ったが、顕綱は、五色のプレスマンを見ながら、プレスマンは食べられないな、と思って聞いていた。
教訓:弘法筆を選ばずと言うが、弘法大師は、プレスマンが五色入っていたら、お迷いになるのではないだろうか。プレスマンは六色あるのだが、どれが省かれていたのか気になる。