第一章〜ファースト・コンタクト
書かせて頂きました。宜しく御願い申し上げます!
他に電気無しで食べられるような備蓄の食材がある訳でもなかった。
そうかといって、マンションの六階からエレベーターなしで一階まで駆け降りてさらに近くのコンビニまで買い出しに行く気力も残っていなかった。マンション全体の停電だとしたれ、エレベーターだってとまっておろう。
どうせ停電もすぐに復旧する。それまで待とう━━。
俺は思った。
それより、情報収集に努めるべきだと、思えた。停電の原因を。
漏電か何かによってこの部屋だけのブレーカーがとんだとかなのかもしれないし。
そう思ってふと階下の人いきれを窓から覗き見た時、だった。
人々が右往左往していた。尋常ならざる雰囲気を感じた。
いや、歩行者だけではない。自動車もあらぬ場所で停止し、自動車同士が連なって動けなくなって、にっちもさっちも行かなくなっているようなのが見えたのだ。
よく見る。
━━信号機が消灯している!
真っ先に思ったのが、大規模な、広域的な、本格的な停電。
信号機までもが電気を受け取れない、と?
近隣のビルの出口から数人のサラリーマンが出てきて心配げに辺りを見回したりしている。
見れば、ほうぼうのオフィスの証明が消えているのがわかった。
やはり、大規模に、町中が、あるいは区の全域が、はたまた関東全域くらいが停電しているのだと推察できるのだった。
━━情報━━。
スマート・フォンだ。
俺はスマート・フォンを手に取り、様々な検索をかけ始めた。
仮に停電が長引くとしたら、このスマホのバッテリーの保ちも心配せねばなるまい、と自覚しながら。
検索ワード━━
『停電 ○○区 東京 △電力・・・』
いくつものヒットがあった。各種SNSでもリアルタイムでの停電の情報が溢れかえっていて、混乱の模様が見て取れた。
━━電話?
問い合わせるべき公共機関は?連絡すべき人物は?
思い当たる箇所に電話しようとした。
電話回線もダウンしているようであった。
電話回線がだうんしているということか?
━━SNSはどうだ?真っ先に思い浮かんだのが、○禁生放送。
当該サイトにアカウント登録した各ユーザが、自身の保有する端末、Webカメラ、マイクなどを駆使して自らライブ配信をして情報を発信する、またはそうした配信者の配信する放送を閲覧するユーザで構成された、生配信系サイトのひとつだ。
そこなら、たとえ、電話回線が、寸断されたとしてもネット回線さえ活きていればアクセスは可能な筈であった。
スマホにブックマーク登録してあるサイト名を呼び出し、それをタップした。
ホームページ表示画面がディスプレイに現れる。
━━トップ画面。
そこに俺の眼は釘付けになった。
『たすけて』
そのタイトル文字が見えた。放送主が任意に設定した背信タイトルだ。
さらに、そのサムネイル━━。
放送を象徴するマーク的な画像だ。
御読みになって頂きまして、誠に有り難う御座いました!