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3 ぺぽちょんと雲
ぺぽちょんガレージでテラスを広げ、差し込む陽光をパラソルで遮っている。脇にセットしたティーテーブルには綺麗な水色が透き通るグラスを傾ける。氷の音がカランと鳴るとストローに吸い上げられる要領のいい量のブルーハワイが喉を潤す。サングラスの向こうにはあまり直視したくない太陽が構えている。
「おや、あの形は」
黒光りする色眼鏡から眼を覗かせる。その目には真っ白な雲が形を作っていた。大きな丸に穴が空いている。
「ドーナツか。私の好みだな」
ぺぽちょんはドーナツ全般が好きらしい。