表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ばけもの子供の物語

ばけもの子供の物語 ガラス

作者: リィズ・ブランディシュカ



 そのばけもの子供の体はガラスでできていた。


 そんなばけものは、ガラスを生み出す事ができる力を持っている。


 ガラスならどんなものでも生み出せた。


 人間が長い時間苦労してつくるようなガラスでも、一瞬で生み出す事ができた。


 だから、人間達はそのばけものの子供に、ガラスを生み出させていた。





 手の中に、綺麗な光が生まれた。


 そう思ったらことり。


 小さなガラスの破片が落ちた。


 ずっと昔は、これよりサイズが大きかった。


 けれど、今はその三分の一位のサイズにしかならない。





 そのばけものはずっとガラスを作り続けてきた。


 どれくらい前か、思い出せないほどずっと前から。





 ばけものは悩む。


 あとどれだけ頑張ればいいんだろう。


 あとどれだけ頑張ればみんなに認めてもらえるんだろう。


 あとどれだけしたら、「ここにいていいよ」と言ってくれるのだろう。


 そのばけものの子供は聡明だった。


 自分が普通の人間とは違う事を分かっていた。


 だから、人間に利益をもたらす特別な存在でないと、その場所にいられないと考えていた。


 功績を積もう。


 そう思って、ばけものの子供は大人しく、ガラスの工房へ入った。





 分からないよ。


 分からないから、まだ頑張るしかないよ。


 どうすれば「ずっとここにいていいよ」って言ってくれるんだろう。


 疲れてるし、もう休みたいけど、ここにい続けるためには頑張るしかない。


 もうちょっとで壊れちゃうかもしれないけれど、頑張らなかったら今すぐここにはいられなくなっちゃうから。


 もうてょっとで壊れるって分かってても、頑張るしかない。


 いつになったら、いいのかな。


 いつになったら、やめてもいいのかな。







 ここはばけもののためのガラスの工房。


 他に人なんていなくて。


 ばけものすらいなくて。


 ずっと一人ぼっちで働かなくてはいけない場所。


 生き物の気配はないけれど。


 誰かの視線もないけれど、


 けれど、さぼったら駄目な所。


 お仕事をさぼると、どこからともなく怖い機械がやってきて、おしおきをしてくる。


 だから、頑張るしかない場所。


 痛めつけられたくなかったら頑張るしかない場所。


 ばけものの子供の体には、たくさんのヒビが入ってるけど。


 そこは、たとえもうすぐその体が壊れるとしても、頑張るしかない場所。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ