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サボり魔先輩に恋に落ちるまで  作者: 春夜もこ
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後8カ月~意外過ぎる期末テスト~

 学生の難関のひとつにテストは絶対に含まれると予想する。テストの結果悪くても構わないと思う人たちもいるだろうけど、おそらく大半は良い点を取りたいはずだ。


 もちろん私もその一人だった。


「あれ、澄野が図書室いるの珍しい」

「眞白先輩、こんにちは」


 どうせ家にいても集中できないし、体調が良いのもあって、私は放課後に学校の図書室に来て勉強していた。さすが私立の図書室、広い。

 そしたらなんとびっくり、サボり魔先輩がいた。


「眞白先輩って、図書室来るんですね」

「むしろお前より来てるよ。授業中に」

「サボりじゃないですか…」


 あの看病の一件以来、私は眞白先輩と結構仲良くなった気がする。というのも、姿を見かけたら、話しかけるようにしているからなんだけど。頼っていいって言われたら、頼っちゃうよね。


「で、何やってんの?」

「テスト勉強です。もうすぐ期末なので」

「あー、そういやもう7月だったな。へぇ、今ここやってるんだ」


 そう言って、先輩が私の手元の教科書とノートを覗き込む。今やっているのは数学だ。


「先輩って頭いいんですか?」

「だいたい90点より上だな」

「うわ…」


 なんか、こういう先輩ほど頭良いみたいなジンクスあるよね…。くそう、あんなにサボっているのに。


「授業サボって点数も悪かったら救いようがないだろ」

「そ、それもそうですね…?いや、ちゃんと授業も出てください」

「出席日数は足りてるから別にいいんだよ」

「それ言われると何も言えない…」


 こういう軽口の叩き合いも最近できるようになって、ほんの少しだけ嬉しいし、楽しい。やっぱり人と話すって良いね。


「そこ間違えてる」

「あ、本当だ…はぁ、やっぱり理系科目を独学は無理がありますね…」

「授業あんまり出れてないもんな」


 よく体調を崩しては保健室で休んだり、早退したりしているので、どうしても授業について行けていないのが実状だった。


「なんで理系を選んだんだろう」


 いやまぁ、大学病院があり、なおかつ県内の大学で行きたい学部が理系だっただけなんだけどね。ここまで大変だと思わなかった。理系、侮るべからず。


「俺が教えてやろうか?」

「え、いいんですか?お願いします」

「返事はやっ。まぁ、良い傾向だな」


 先輩はそう言うと、ポンっと頭を撫でてくれた。いやもう本当、あの時はありがとうございました。


「わからないところはどこだ?」

「えっと、まずはここ…」


 先輩の教え方はとてもわかりやすく、詰まっていたところがするすると解決していった。なんでこんなにサボっているのに、教えるの上手いんだ…?羨ましいなぁ。


「先輩ってモテそうですね」


 教えるの上手いし、優しいし、頼りになるし、顔もスタイルも良い。モテない要素がない。いや、サボり癖はモテないか…。


「たまに告白されるけど、付き合ったことはねぇな」

「え、勿体ない」


 というか、びっくりなんだけど。彼女の一人や二人くらいいると思っていた。いやまぁ、今いたら彼女さん優先して!?ってなるから、良かったといえば良かったんだけど。


「勿体ないって何?」

「せっかく健康な体を持っているのに、フル活用しないのは勿体ないなぁと思いまして」

「…何か過去にあったのか?」

「中学のころ、告白してくれて付き合った人がいたんですけど、よく体調を崩すから面倒くさいってフラれました」


 うわぁ、自分で言ってて腹立ってくるなぁ。たしかに、体調崩してデートをよくドタキャンしていたから、しょうがないと言えばしょうがないのかもしれないけど。


「だいぶ悲惨だな」

「それ以降告白されても振ってますね」

「そうなるのも無理はないな」


 まぁ、若干トラウマになっている節はあるよね。






 先輩との勉強会はテスト最終日まで続き、私は無事に乗り切ることができた。むしろ今までで一番点数が良くて、先生に驚かれた。後日眞白先輩に聞いたところ、先輩はいつも通り90点越えだったそう。本当にすごい。

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