あっけない人生
はぁ。
生きるのがだるい。
生きていてもいいことなんてない。
神様がもしいるというのならなぜこんなにも世界をつまらなくしてしまったのだろうか。
物語の世界はファンタジーにしろ、ホラーにしろ、ヒューマンドラマにしろ、ヒーローものにしろ、なんにしたってこの俺たちの生きている世界より、ずっと楽しいはずだ。
どうして俺はこんな世界に生まれたんだろうか。
もし神様がいるんだとしたら、俺をもっと楽しい世界に連れて行ってほしい。
俺は毎日のようにそんなことを考えながら生活をしていた。
「ふわぁ~~あぁ」
大きなあくびをかいて俺は起床した。
時刻は朝の八時半、少し遅い時間だがその日は休日だったので何も問題はなかった。
俺はだるい体を起こしつつ、朝飯を食うためにリビングへ向かった。
今日は作るのがめんどくさかったから、目玉焼きを焼いた食パンの上にのっけたものしか食べなかった。
やがて飯を食べ終え、自室へ戻ろうとしたとき不意に声をかけられた。
「時悠、ちょっとすぐそこのホームセンターに行って工具一式買ってきてくんね?今うちにある工具、古すぎて使えんわ。」
今話しかけてきた男は俺の父親、神成 義時だ。
なぜ工具なのかというと、大方先週からずっと母さんに言われてた食品棚の修理を休日の今日にやろうとしているためだろう。
何をするのもめんどくさいと思っている俺は、もちろんノーと答えたら。
「あーあー、腰が痛くて動けんなぁ。誰か代わりに動いてくれんかなぁ。」
などと分かりやすく俺に行けと言ってきたので、俺はしぶしぶ承諾した。
ホームセンターといえど内からは目と鼻の先にある場所なので、二十分程度で工具一式を買うことができた。
「はーぁ、だーりーぃー。」
そんなことを口にしながら帰り路を歩いていると。
キイイイイイイイィィィィィィィ
という大きな音とともに大型トラックが迫ってきていた。
さっき見たときはもっと遠いところにいたのに、きっとスピード違反でもしていたんだろう。
「う、うわあああぁぁぁ。」
叫び声をあげる俺。
しかしこの状況ではだれにも俺のことを助けれるものなんていない。
あぁ、畜生こんな意味の分からないところで人生終わっちまうのかよ。
しかもムカツクのが、死ぬからだろうが、やけにスローに見える。
いろんなことを思い出してきた。
これが、走馬灯って奴だろうか。
あぁ、結局俺は人生の楽しみも見つけられずに死ぬんだな・・・
いや、いやだ、やっぱり死にたくない。
まだ父さんに工具だって渡してない、今も手の中にある。
せめてこれだけでも父さんに、・・
いや、違う何を考えてるんだ俺は、こんな人生嫌なんじゃないのか?
でも、やっぱり死にたくない。
どんなしょうもない理由だっていい。
まだ死にたくない。死にたくない。
あぁ、もしももう一度過去に戻れるなら、立った一瞬、家から出るタイミングを変えるだけなのに。
運命ってのはこんなにも非情なのか、クソ
ドンッ
ものすごい衝撃とともに意識が遠のいていく。
父さん。母さん。
「俺、まだ死にたくーーー」