異世界転生詐欺被害者の受難 III
冒頭のQ&A誰か代わりに書いてくんないかなぁ|´-`)チラッ
「Q.我。の一人称の読みはなんですか。」
「A.金ピカに倣って、オレです。」
「「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」」
全力で走ること、数分間。よく考えたら明らかに『低級の魔物』に逃げ出す必要があったのかという点に甚だ疑問は残るものの、俺たちは液体状の生物から何とか逃げおおせることが出来た。
「てか、普通に『スライム』って言えよ、あれは固有名詞じゃないんだぞ。」
「いや、だって青かったし。」
「それ言ったら大半の色はアウトだろ。それより、着いたぞ。」
息も絶え々になる程走った為だろう。既に目的地には着いたらしい。彼女に促され視線を前にを投げると、いかにも『大正浪漫』な街並みが目に入る。現代にも続く『ハイカラ』の風習の始まりがそこには見られた。
「いわゆる『擬洋風建築』の再評価だな。このレトロな雰囲気こそ大正時代の醍醐味だ。」
「マジで教科書通りだな…」
寝ぼけながら捲った歴史の教科書が今現実になっている。異世界転生詐欺だと何だと言っていたが、流石に感動を覚えざるを得ない。テンションも右肩上がりだ。
「現地に着いて急にテンション上がる修学旅行生かお前。それと、ここには観光の為に来た訳じゃねーからな。先に、ちゃんと目的を果たすぞ。」
「目的、ああ情報収集か。確かに何故か魔物も湧いてたしな。」
「まぁ、それも当然必要だがな。それより優先することがあるだろ。」
「それより優先すべきこと…」
割と情報収集はマストだと思うが。
「鈍感系主人公か?お前。この街に入ってから、相当『見られてるぞ』」
「えっ、」
街並みばかりに目を奪われていたが、気付けば値踏みするかのような視線が集中していた。原因は恐らく…
「超絶美少女を連れていることだな。」
「違ぇだろ。多分この『ジーンズ』だ。」
「そうだな。頭のいい答え方としては『服装』だ。流石に、異文化に耐性がある時代とは言えど未知のモノには敏感らしい。」
俺の現在の格好は21世紀の極めて平均的なのものだ。未だ、和服が平然と着用されるこの時代においては嫌でも目を引くことだろう。
「てか、お前はどうなってんだよ。いつの間に『着替えた』」
「君のような勘のいい餓鬼は嫌いだよ。」
まさか等価交換でもしたのか。
「さて、第一目標は『この時代の服の調達』だな。パパっと『質屋』の場所聞き出して、金を調達するぞ。」
「いや、いちいち買いに行かなくても俺にもその服装変更魔法?的なの使えばいいだろ。」
「残念でしたぁ。これは魔法じゃなくて我の服装が『神具』なので、環境に適応しただけでーす。」
「じゃあ、その外套だけでも寄越せ。買いに行くまで目立つだろ。」
「え、未成年に脱げって言うのか。」
クソこいつ、こんな時だけ外見が幼いことを良いように使いやがって。
「はいはい。分かったよ。質屋、質屋な。」
周囲を見渡すが、分かりにくいフォントの様々な業種の看板が所狭しと並ぶばかりで、目的の質屋のものは見つかりそうもない。それと、そもそも質屋ってなんだ。金を調達する場所ってことは、サラ金か?
「確かに、金を貸すって意味では同じだな。それにサラリーマンって言葉も大正時代に出来たモノで…っと、それはそうと、一々看板からなんて探すなよ。そこら辺の子供捕まえて聞けばすぐ済む話しだ。」
「いや、でもこの服装じゃ…」
「妙な羞恥心持ってんじゃねーよ。男だろ、お前。」
「てか、そもそもお前が聞いてこればいいだろ。ちょうど、服装も時代に合ってるんだし。」
「は、はぁ?なんで、わざわざ我が聞き込みなんてしなきゃいけねーんだよ。お前が行けよ。」
「無理だって。この服装みたら一目散に逃げてくって。」
「ピエロメイクでもしてねー限り話しかけられて逃げ出すなんてねーだろ。我は嫌だからな。絶対嫌だからな。」
「いや、そんな嫌とか言い出したら俺も嫌だわ。」
「お前に嫌とかそもそも拒否権から。無理って嘘つきの言葉なんだぞ。」
「それを言ったらお前だって」
「は?我神ぞ?」
コミュ障達の押し付けは続く…