青い空の向こうに
2015/12/12投稿作品
シロは仔犬のときに山田さんのおうちにやってきました。
兄弟やおかあさんと別れたのはとてもさみしかったけれど、山田さんのおうちでは、みんながシロと遊んでくれました。
なかでも、おじいちゃんは毎日シロを散歩に連れて行ってくれました。
お花のいっぱい咲いている公園や、冷たいお水が流れている小川のそば、そして大きな楠のある神社の前をいつも歩きました。
やがて。ランドセルを背負っていたあかねちゃんが、セーラー服に着替えたある雨の晩。
大きな白い赤いライトをつけた車が、大きな音を鳴らして山田さんのおうちの前に止まりました。
シロにはよくわかりませんでしたが、なんだかとても大変そうでした。
そして、よく晴れた次の日。晴れたというのに、おじいちゃんは散歩に行こうと出てきてはくれません。シロが呼ぶと、眼を真っ赤にしたあかねちゃんが出てきました。
「ごめんね。シロ。今日はお散歩いけないの」
そういって、朝ごはんをおいて、おうちに入ってしまいました。
それから二日ぐらい、たくさんの黒い服を着た人たちがおうちにやってきましたが、誰もシロとは遊んでくれません。
そして、大きな木の箱を黒い車にみんなが運んでいるのが見えましたが、おじいちゃんの姿はありませんでした。
おじいちゃんの乗っていたトラックにおかあさんが乗るようになりました。
そして、シロはあかねちゃんと散歩に行くようになりました。
あの雨の晩以来、シロの大好きだったおじいちゃんの匂いも、足音も家から聞こえてくることはありません。
でも、誰も気づいていないけれど、シロは知っています。
あかねちゃんと出かける散歩の途中。青い空のむこうに、いつもおじいちゃんが微笑んでいることを。
今日もシロは空に向かって、おじいちゃんを呼びます。
あかねちゃんに抱きしめてもらいながら。




