禄舞目
心に生まれる、新しい気持ち。
保健室は嫌い。
何か無菌室で
あたしがまるでばい菌て言われてるみたいだから。
「はい、座って」
「・・・ぐすっ」
保健室の先生はいないらしい。
金色はあたしをソファーに座らすと、自分は向かいに座った。
「・・・で、何で泣いてたの?」
「・・・ずっ」
あたしは鞄から取り出したタオルで涙を拭く。
金色は目を見開き、あたしを見ている。
「誰かに絡まれた?あ、もしかして誰かに財布取られたとか」
「・・・」
「先生に呼び出しされたとか?誰かに殴られた?」
「・・・」
「そうじゃないとすればー・・・・」
「・・・っく」
腕を組んで悩んでいる金色を見ていたら、何だか笑えた。
さっきまで泣いてたと思ったら
いきなり笑い出したあたしに金色は不思議な顔をした。
「蝶子ちゃんが笑ってる・・・!」
「・・・え」
「今までだって馬鹿にしたり、ほら嘲笑っていうの?そればっかだったじゃん」
「・・・そうかな・・・」
「いやったあああああああああああああああああああああああああ」
金色があまりにも嬉しそうに、ガッツポーズをするものだから
あたしも何だか嬉しくなって更に笑った。
「蝶子ちゃんが泣いてたのは俺が屋上に行かなかったから!?」
「・・・うん、まぁ、そうなるね」
事情を簡単に、あくまで簡単に説明すると
金色は何かを考え込んでしまった。
「俺が、屋上に行けなかったのはね、みんなに話をしてたんだ」
「・・・話?」
「うん、蝶子ちゃんが刺青してるって話」
「え、ちょっと、なんで」
何を言い出すかと思いきや、この金色いけしゃあしゃあと・・・
あたしは思わず立ち上がるが、金色が座るように言った。
「みんなにわかってほしかったんだ」
「なにを?」
「蝶子ちゃんは刺青こそしてるものの、いい子で笑うと左だけえくぼが出来たりとか」
「・・・」
「刺青を右足にしてて、心に何か抱えてる。でもそれを誰にも言わないで胸に留めてて」
「・・・」
「誰かに助けを求めたいのに、求めちゃダメって泣きたいのも我慢してる子だって」
「・・・・」
涙が出た。
こんなにも金色は、あたしのことを見ててくれた。
タオルが涙で既に冷たい。
だけど、これは悲しいのじゃなくて
嬉しい涙だ、
「今は何も言わなくていいよ。ただ、お友達第1号の俺としてはいつか、言ってほしいな」
「・・・ありがとう」
お友達第1号は金色の笑顔であたしを見つめてた。
心が暖かい、そんな風に思ったのは久々だった。
「あ、蝶子ちゃんの刺青見たときね」
「・・・ん?」
「ピンクの下着は忘れないからね!」
「・・・!!」
これからはスカートをちゃんと抑えておこうと思った。
しかもピンクって・・・
恥ずかしいったらありゃしないっ
「明日から、蝶子ちゃん教室で授業ね?」
「え、なんで」
「みんなが早く蝶子ちゃんに会いたいって」
「・・・」
「一歩ずつ進んでかなきゃ、ね」
背中を押される。
前に進む足が、ちょっと重かった。
だけど、後ろに金色がいる。
そう思うだけで、心が軽くなった。
そして金色は言った
『俺刺青って初めてだから、あんなに綺麗だったなんて知らなかったよ』と。
今はまだ、抱えている傷み。
いつか金色の君に伝えられるように。
作者のゆチャンです。
何か文章になってない所ありますが
それは後で編集します、すみません;;
それでは次回をお楽しみにくださいませ。
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