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碁舞目

忘れたはずの気持ち。

あの日から、金色は屋上に来なくなった。

もう何日かわからないほど。



理由はこの外腿にある刺青にある。

この間、刺青を金色が見て以来、

あいつは来ていない。


勿論、それが当たり前のはずだった。

一人でいることが当たり前のはずで、

一人にも慣れているはずだった。


だけど、今は

一人の時間が怖い。


金色に出会ってから

あの影を夢で見ることも少なかった。

だけど、今はまた見てる。

不安で仕方ないんだと思う。

でも誰にも頼れない。

いや、頼りたくない。



「・・・帰ろ」


屋上にいる意味もない。

そんな気がして、あたしは軽い鞄を持って屋上を出た。



学校から家まではそんなに離れてない。

今は金色が近くにいる、学校よりも、

何処か遠くに行ってしまいたかった。



「あの頃に戻りたいなんて思っちゃいけないんだよね」


セーター越しに左胸の上に手を当てた。

心臓の音、あの頃のあたしの記憶、思い出。

絶対忘れちゃいけない大事な、こと。




誰かを必要とし、

誰かに必要とされた、蝶子はもう消えた。


今は暗いサボり魔な蝶子でいい。

このまま、のたれ死ねばきっとそれでいい。



金色のことは忘れよう。

屋上で話した何もかも。

一緒に話したことや、抱きしめられたこと。

泣きたくなったら俺を呼べと言ってくれた言葉。

仲良くなりたいと笑ってたこと。



踏み込んでほしくないところにまで

踏み込んできた、あの金色は、

もう忘れよう。



「・・・何、で・・・何でこんなにも苦しいのよ・・・!」


自転車置場で、あたしはくずれるようにしゃがみこんだ。

心臓が痛いくらい音を立て、涙は止まらない。

こんなことじゃダメなはずなのに、

あの時、一人で何もかもやろうと決めたはずなのに。







「・・・ちょ、蝶子ちゃん!?な、何でどしたの!?」

「・・・ぐすっ」


そばに近寄ってきたのは金色だった。

心配そうにあたしを立たせ、背中をさする。


「とりあえず保健室、行こっ。ね?」


あたしは何も言えず

言いたいことが山ほどあったはずなのに

そのまま金色に保健室へと連れて行かれた。







凄く青く澄んだ空のはずなのに、涙の所為か、淀んだ色に見えた。

まるで、あたしの今の心の色みたい。

作者のゆチャンです、おはようございます。

まだまだシリアス一直線。

金色くん登場でしたー!

次回をお楽しみにしてくださいませ。


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