1/6
市舞目
あたしは、いつになったら
この夢から離れられるんだろう――――
手を伸ばせばいつだって
いつだって掴んでくれる人がいた。
でも今は もういない。
夏休みの少し前。
6月の終わり、いつもと同じように
あたしは屋上でサボっていた。
いつもと同じように建物に隠れるようにして
誰にも見つかりたくないとか、そんなんじゃないけど
運よく誰にも見つからないって場所だから結構お気に入り。
シャツの襟が風で揺れた。
今日は少し暑い。
この屋上で、いつも夢を見る。
一生懸命に手を伸ばしてるあたしを、
置いていっちゃう、影。
「・・・また」
あの夢か、
と呟くのさえ、億劫なあたし。
何度思ってもあの頃に戻ることなんて
言いたいことは山ほどあったはずなのに
「そんなこと無理だってわかってるはずなのに」
腕を目に当て、泣きたいのを我慢した。
作者のゆチャンです、初めまして。
初めてですが連載です。
読んでくださってありがとございました。
次回をお楽しみにしてくださいませ。