表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天空の使者  作者: サルザムライ(占空)
第一章  ヒーローの燈火
9/50

少女

赤、青、黄、緑、金


都心部の夜景は散りばめたガラスに光を当てたように光を放つ


高層ビルの屋上の隅に1人の少女が夏物セーラー服で夜景を見てる

キュオゥオウーっと高い所ならではの風切り音が耳へと入る


両サイドの高めで縛った髪と短めのスカートが風になびく

少しすると少女に映る夜景が周りからにじみ始めた


涙をながすも笑顔で両手を広げる


「もう、飛ぶの?」

少女の耳に女の声がした

止まる少女、風の音で錯覚したのかと疑いながら周りを見渡した


誰もいない


そう思いまた手を広げる

「あなた柔軟で前向きなのが取り柄なんでしょう」

また声がする

ハッと横を見ると胸こそあまり無いが長い髪をなびかせた白衣の女が座っていた

驚いて体制を崩すも

女はスッと少女の手首を掴み引き寄せる


ドサッ!

スカートをあらわにして屋上側へ転ぶ少女

「ずいぶん可愛パンティはいてるのね

皆魅"みなみ"さん」


女は切れ長の眼を笑顔にして少女に言った


「あたしの事知ってるの?」

少女はスカートを直しながら女に初めて口を開く

少女のおでこに人差し指をスンと置き

「知ってる!」


優しくもエロい感じで応える


「誰?私はあなたの事知らないわよ」

少女の眼がキッ!とキツくなる


「怖い顔しないの♡

私はコードネーム ユイ、派遣ドクターよ

そしてあなたの事を調べさせて貰った」

ゆっくりと少女に応える


「なんで?私貴方に何かした?」


「なにもしてないわ、貴方に興味があって調べたの」

クスッと笑いながら少女を見る

少女は気持ちが悪いはずなのに何故か嫌な感じがしなかった


「わ、わたひにきょうみぃ?」

突然の流れにテンパってるせいかよくわからないカミ方をする


「あなた、可愛いのに可哀想なんだもん」

「そ、それがなんれふか?」

段々顔が赤くなってくる

お構いなく女は話す

「調べた事話すから間違ってたら教えてね」

少女は黙り座り直し女の方を見た


「今から16年前、貿易会社社長とアイドルの夫婦から貴方が生れる、皆を魅了する人になるように付けられた名前が 皆魅 

裕福な家だけど仕事が忙しいからあまり父親は家に居ないけど、居るときは貴方とお母さんをとても大切にしてた素敵な父親

お母さんも貴方を凄い大事にしていて、柔軟で前向きな考え方を貴方に教育した」

少女は頷く

「5歳の時、幼稚園の遠足に来るはずだった父親が仕事で来なくて初怒り!父親のズボンをおろしお尻ペンペン!恥ずかしながらも貴方に弱い父親は少し喜びながら叩かれる」

なんでそんなとこまでと少女は顔を赤らめて驚く

半笑いで女は

「この時貴方の性癖が目覚めたのね」

と少女を見た

「よくもまぁそんな事を!」

少女が声を荒らげると

「間違ってた?」

すかさず女が返す

「ぜんっぜんっ合ってないし!」

少女は赤い顔で否定をするも

女はからかう様に

「合ってるみたい ウフ♡」

と口に手を当てた

「でも、可哀想なのは14歳からね」

女が少し低い声でそう言うと少女は顔つきを変えた


「この時、父親が事業拡大のため大忙しで倒れる、お母さんは旦那さんを助けたい一心で色々手を尽くすも実らず、気がつけば宗教にのめり込む、結果家以外取られ、父親はそのまま死亡

会社は人の手に渡り、個人名義の借金が残る、借入先は仕事で付き合いのあった政治家、金融政策庁の金黒」

「凄い、なんで?なんで?」

少女は目を丸くした

「たった16年の人生よコーヒーを煎れてる時間で調べられるわ」

女は妖しく笑う

ちょっとカッコイイと少女は感心した


「昔の時代じゃあるまいし、貴方が借金のカタになるなんて随分な話よね」

少し同情した口調で言うと

少女は下をむいた

ここからは知られたく無い話だからだ

「まだ聞く?」

女は話を辞める方向にしようとする

「どっちでもいいよ、どうせ知ってるんでしょう」


声を小さめに少女が応えると女は少女の肩に手をのせた

「私が貴方に興味を持ったのはここからなの」

少し顔を上げて女を見る

「あなた大切な身体をあのガマガエルみたいなじじいに捧げ借金から母親を守ったでしょ」

少女の眼にうすく涙が溜まり始まる

「本当なら好きな人でも出来て恋に落ちて失う物をあのじじいに汚されて、それなのに柔軟で前向きにと自分を言い聞かせて…… 中々できることじゃないわよ」

ポロポロと涙をこぼし始める

堪えていた感情が口元を震えさせ女の胸元へと顔を埋めた


女はそっと少女を抱きよせ耳元で話を続けた

「そしてガマガエルを自分に忠誠な豚へと調教するなんて中々できないわよ♡興味でるわ」

女がそう言うと

胸元の少女が顔を上げ笑顔を見せた

テヘペロ!

胸元から身体を少し離し声を上げる

「立場逆転よ!自分の欲にしか興味を持たない政治家なんてコーヒーを煎れてる時間があれば十分調教できるわっ!」


少女は女の真似をした

「借金も無くさせたし、お母さんトコに帰してもらう約束迄したんだから」

親指を立て得意気に言う


「そうね、それなのにお母さんが先に自殺しちゃってたのね」

悲しい眼になる二人

少女の母親は責任感が強いのが悪い方へ出た

旦那を守れず、旦那の残した物も失い、娘迄奪われ、自分を責めた!


意気揚々と帰った時

少女が時対面したのはぶら下がってる母親だった

母親が首を吊ってどれ位の時間がたったかはわからない


救急車を呼び病院へ行き、解ってはいるけど死亡確認がされた

少女はうつむいたまま病院のソファへ座る


柔軟で前向きに考えようと思いこましたが

思えなかった


少女は自分の人生に疑問を持ち始めた


そんな時1人の女の子と会う


「皆魅ちゃん?」

ソファの前にジャージ姿の女の子が止まる

その女の子は少女の幼馴染

小学校は一緒だったが中学から会っていなかった


女の子は身体を壊し入院


臓器移植待ちだった


少女は両親の事

女の子は自分の病気の事で話をしていた

良くは無い状況だが2人で居れる時間が2人とも楽しかった


次第に話題は楽しい話に日々変わる

思い出から始まる

少女は小学校の頃あだ名がミカンだった

ミナミが崩れてそうなったらしい

小学生ならではの意味の分からない崩し方だった


女の子はミカンよりはすぐ顔が赤くなってくるのでリンゴだと笑った


女の子は小6の修学旅行で好きな人を言う話の時

好きな人が居なくて困ってアニメのキャラを言ったら次の日からアニ子と呼ばれたこと等

他愛の会話が2人を明るくさせた


少女は女の子の元へ毎日通う様になった


ある日、病院の診察室に見慣れた顔を見つけた

女の子の母親と病院の先生の会話を聞いてしまったのだ


母親は涙を流し先生に話していた

女の子はドナーが見つからず年数がたちすぎ金銭的にも成長過程的にもそろそろ厳しいそうだ


少女は豚にお金を出させようと直に思い、病院を飛び出す


何だかんだ言っても忙しい政治家

電話しても返ってこない

家にも居ない


なるべく早く準備したい少女は豚を探す

そこへ第一秘書が帰ってきた

この秘書は2人の関係を知っているので素直に居場所を教えてくれる


レストラン極美


少女は教えて貰った繁華街へと向かう

日もくれ夜になりようやく見つけるが

極美の前にはパトカーが沢山来ており

キープアウトで中には入れなかった


少女は人をかき分け歩いていく

ポケットの中のドナーカードを握りしめ高層ビルの屋上へと上がった


女は髪を結び始め

「ちなみに皆魅ちゃん」

少女の前に座り直し改めて話を始める

「貴方に覚悟があるなら、お姉さん達が友達を助けてあげるわよ」

ずっとうっすら笑っていた女が真顔で言う


「覚悟?なんでもするわよ」

少女は軽く応える


「死んでくれる?」

女は声を太くして少女へ真剣さを伝える

「元々死ぬつもりだし良いよ、私の臓器合うかな?」

少女には迷いがない

「こんな所から落ちたら使える臓器も使えないわよ」

女は少し呆れた

少女は確かにっと今更飛び降りの無意味さを知る

「私達が在籍してる国はこの星の3000年は文化が進んでるの、だからお友達の病気なら臓器要らないのよ」

「???」

突然少女は話がわからなくなった

「それにうちの国のトップドクターも居るし、ね♡」

少女の斜め後ろを見て女がウィンクをする

「え?」

少女が驚くように振り返ると

身体は小柄ながら

色白で眼力の強い外人風の男が立っていた

「いつの間に!しかもイケメン!調教したい!」

暗がかりに白衣姿の男を見て興奮も混じる

少女は理解できない現状に戸惑い、本音がこぼれた

女はクスクスと口の前に拳を持ってきて笑いながら紹介する

「彼は Dr.ハイド 声と身体は小さいけど腕は凄いわよ」

この人が!と言う目で男を見る

「ちなみに彼、さっきからずっと貴方に話しかけてたんだけど聞こえた?」

女の話に更に驚く少女

「声ちっちゃ!!てか全然聴こえてないし」

Dr.ハイドは少し不貞腐れる


「後は任せるからよろしくねDr」

Dr.ハイドが軽く手を上げて微笑む


女少女の手首を掴み引っ張った

顔がおいてかれ身体が先に女の元へたどり着く


「じゃ、逝きましょ♡」


そう言って二人は屋上から夜景へと飛び込んで行った

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ