闇からの脱出
どれ位の時間走ってたのだろうか
青年は少しづつだが我に返りはじめた
でも何もする気になれなかった
繁華街近くの住宅街
派手な明るさはないが歩くには問題ない明るさがある
ブロロっと低いマフラー音をたて高級車は走る
取分け大きな家の前で止まる
極 道山が後部席から青年をキャリーバッグのように引きずり出す
その間に運転手の男が電話をすると1分もしないでシャッターが静かに開く
キカカガっと静かなり音がすると
1人の男が立っていた
足元からゆっくりと姿を現す
ストライプのスーツズボンに長身の身体は少しファンキーな雰囲気
「お疲れ様です!オヤジー!」
大きな笑い声で両手を広げ道山に抱きつく
「なんかお前最近変わったな、薬か?」
ドン引きするも冷静に返す
男は両手を振りながら最近出来た女が若く、はっちゃけたと笑いながら伝えた
「このガキ1週間でリフレッシュさせろ」
手錠の鎖を引っ張り青年を男の前に投げる
要は監禁である
「わかりました、元気にさせます」
ガッツポーズに笑顔で応える
このテンション高めの男
極興業の№2 若頭である
「これからすぐ政治家たちと会合あるから、こいつ片付けたら レストラン極美に来い」
道山はそう言って車の後部席に乗る
運転手は扉を締めると若頭に頭をさげ
若頭は車が見えなくなるまで頭をさげた
そして頭をあげたら青年をヒョイっと肩に担ぎ連れて家のリビングのソファへ投げた
手錠の跡が手錠の隙間からみえる
赤紫色に変色し一部からは血も出て腫れている
「お前もお疲れさんだな」
少し優しい口調で手錠を外す
青年は戸惑いながらも手首をさすり
ソファの端へと後退り
若頭は冷蔵庫へ向かいペットボトルのジュースと冷凍庫からカップの氷アイスを出す
「こんなんしか無いけどどっちがいい?」
と青年に2つ見せるが青年の反応は無い
怯えた獣の様に眼力だけで威嚇するも身体は膝を抱いたまま丸くなっていた
「スプーンないからフォークな」
そう言ってソファ前のテーブルに氷アイスを置く
キャップを開けながら
「溶けるから早く食べろ!俺ももうオヤジんとこ行かなきゃ行けないんよ」
といってジュースを飲む
青年は氷アイスにゆっくりと手を出し
シャリガリ言いながら食べ始める
突然、父親が作ってくれたカキ氷を思い出す
青年の眼の前がにじみ始めた
と同時に襲う、頭キーン!
コメカミを抑え背筋を伸ばし足をバタつかせる
若頭はジュースを少し吐き出しかけ笑う
「ちょっと用意してくるからお前ここいろな」
そう言ってドアに手をかけると
ガラスに獲物を捕る鷹のような青年が映る
氷アイスで目が覚めた青年だ
手にはフォークを持ち若頭の首もとを狙う
一瞬の出来事である
若頭はスッと体をずらし肘で青年を攻撃!
くの字に身体を曲げテーブルに吹き飛ぶ青年
すかさず手首を上から叩きフォークを奪い取り青年の眉間に先を突きつけた
青年の首には若頭の左腕が乗り身動きが取れない
「一回死のうか」
微笑んだ顔と裏腹に殺気は圧として青年にのしかかる
呼吸もままらない、汗が吹き出しオデコには大粒の水玉模様が出来ている
「良いかよくきけ……」
若頭がそう言うと青年は眼を開いたまま小さい範囲で咳き込みながら頷いた
♫♪♪♫♪♫♪♫〜
若頭の電話が鳴る
道山からだ
未だ来ないので催促の電話である
調子よく若頭は謝って若頭は部屋を出た
上着を肩にかけ飛び出して行く
慌ているのか一切の鍵をしていない
繁華街迄の距離は大した事は無いが急いでいたので車を走らせて行った
青年は若頭が出たのを窓から確認して家を出る
車の向かった方向に明るさが増している場所がある
青年は繁華街と確信し「レストラン極美とかいってたな」と呟き走り出した
闇の落とし子次で終わります