表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天空の使者  作者: サルザムライ(占空)
第一章  ヒーローの燈火
5/50

闇の申し子

ネオンが煌く夜の繁華街

昼と夜では違う顔持つ


昼は人も少くグレーに映る街並みも

夜にはきらびやかに金色に染まる


雑居ビルが並ぶ通りに在る、中の見えない高そうな店がある

綺麗に磨かれた石模様の床はネオンと通路灯りを反射させ異空間へ繋がるかの如く照らす


黒いスーツの男たちが入り口へ並ぶ

近寄りがたい空気を出すも

1台の高級車がくれば腰の低い弱々しさに変わる


車は止まり、運転席の男が降りて後部席を開ける

重々しい空気と冷たい視線の男が降りる


入り口の男たちは一斉に低い声で挨拶をして深々と頭をさげた


暑い季節をともなってか汗をかく男達

運転席の男も頭をさげると

当たり前の如く背筋を伸ばしたまま男は歩く


その後と横にスーツの男たちが歩き案内をする

入り口に通り、闇へと消える姿は地獄に帰る鬼の様

なんとも言えない闇がよく似合う


運転手は姿を見送ると頭を上げ車に乗り込む

ヴォボボォ

低い音をはきだし

車が走ると、対面に在るビルの隙間に1人の青年がいた


拳を握りビールの空きケースの手持ち部分から強い眼差しが光っていた


青年は男を狙っていた

この青年は男によって全てを狂わされていた


青年には名前が無い

青年には戸籍が無い

金で雇われた女が契約のまま産んだのが青年だ

小さな部屋で産み落とされた子に出生届は出ていない

格闘、武器扱い等に優れた兵士との間に計画的に創られた

1歳迄ベビーシッターに育てられ

2歳から銃やナイフを渡され格闘術、戦闘術を教えられる

慣れない刃物や銃等に自ら傷つき学習していく

本能として叩き込まれていく


食べ物には困らなかった

定期的に提供されるのだ


主食は肉、野菜や魚はなく

人との接点も少なくなってくる


6歳になった時に田舎の山へ引っ越す


あやしい男に連れられて着いたのは


小さいログハウス


すりガラスから見えるのはシャワーのない風呂

隣に昔ながらのトイレ


小さなキッチンはタイルが貼ってありマニアが好きそうな感じで出来ている


全体的には小綺麗な造りの

木がむき出しの部屋

隅には布団のみ

あとは何もない


外は大きな庭があり

案山子のような藁人形が何体かならべてあり

競走馬の調教の如くハードルの様なものがある


夜には星が輝き街では見れない光が山を照らす


日替りで1人、人が来る

ご飯を持って青年に色んな戦闘術を教える為にくる

12歳になった時、青年は射撃術と白兵戦戦闘術がずば抜けて良くなっていた


誰にも怒られず、誰にも誉められず

笑うことも泣くこともなく育つ


人は力を持つと二種類に分かれる

自分の事しか考えない

ワガママ人間か

人の事を考え守れる

寛大人間


青年は人との接点がなく人の気持ちを知らない

ワガママ人間になっていた

14歳になった時、武術で青年に勝てるものが居なくなった

教えにくる大人達を軒並み倒した


青年は 闇の申し子 と言われていた


外を知らない青年は来る者をことごとく傷つける


最終的に教えに来る者が居なくなった


何日か食べずに過す青年

外を眺め、星を観て人が来るのを待つ

誰もこない、空腹のピークが過ぎた頃

本能からか

青年は山へ行き

動物を捕食する

サバイバル術も叩き込まれている為

猪や熊を狩り、捌く

そして食べる


そんな日々を送る

青年が15歳を過ぎた時

1人の男がやってきた


眼をギラつかせ飛びかかる青年を簡単に沈める来訪者


拳も蹴りも

関節技でさえガード、カットされ

打ちのめされる


ナイフを出しても銃を向けても怯まず、前にくる男

青年は始めて恐怖を覚える


効かない攻撃を繰り返し


動物的に育った青年は部屋の隅で膝を抱えて震えた


そんな青年に手を差出し笑顔で青年を起こす

男にひれ伏した


それからは男に色々教わる


武術だけでなく ❝人❞ を教えてもらう


始めて観るテレビに青年はハマる

お笑い芸人と二人組の歌手が女子アナウンサーと出ているバラエティ番組がお気に入り


野菜や魚を食べて感動する


山にある渓流で釣りを知る


釣るより狩り捕る方が上手い


男は驚きながらも嬉しそうに青年を見つめていた


ある時 男はカキ氷を青年に作って見せた

初めて見る光景に喜びを覚え

がっついて食べてからの頭キーンに悶える


何度も食べてはキーンが襲い

それを繰り返す


男は笑い青年は笑顔を覚える

青年は楽しい日々を過してた


一方 青年の住む山からかけ離れた街ー


5階建てのレンガビル

1階部は地下の駐車場へ続く入り口

2階窓には 極興業(きわみこうぎょう)

と書いてある


中は慌ただしい


叫び声と重低音が響くも

やがて静かになる


息を呑み立ち尽くす男達

足は震え事務所のデスクに手を置いてないと立っていられない者もいる


男達の目線の先には何人か血まみれで倒れている

その先に返り血をあびた男が立っている


感情をもたぬ顔立ちに、半目開きの輝きの無い眼


刀にも見間違えるゴルフクラブ


鬼を例えるならこの男

暴力団組長 極 道山である


闇の申し子の誕生を計画した男


組員は闇の申し子に嫌気をさし

放置した事を組長である道山に内緒にしていたのがバレたのだ


返り血を拭き取った道山は青年の元へ向う


16歳になった青年の楽しい日が終わる


いつものように男と外で格闘練習をしている青年

場違いな高級車が土煙をあげて走ってくる


男が車を観て、目を見開き、両眉が上がり青ざめる

青年は男の今迄ない表情に気付く


バササーっと草むらに停車した車、運転手がドアを開け男が降りてくる


「道山っ!!」

男が慌てるように早口で名前を呟く


バム!!

閉めたドアの音が青空に響いた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ