MISSION4 奪還〜本当本気〜
極寒の街の下には旧政府軍の隠れ家兼研究所がある
先日 何者かにより 旧政府軍幹部と研究者が暗殺された
旧政府軍は真っ先にズロウファミリーを疑ったが旧政府軍は幹部と研究者を失い分が悪かったが愛戦家の血が騒ぎズロウへと噛み付く
ズロウはこれを否認し互いに話合い 血が流れることなく
まさかの協定を結ぶ事になった
それは3大兵器をお互いに1つずつ持っていたからだ
勿論お互いに腹の中では出し抜く事しか考えていない
クソはクソで信用等していないのが当たり前の話
しかし旧政府軍が持っていた核兵器は何故か凍りついて使い物にならないのが現状
そしてズロウが持っている兵器は地図だけで場所しか解らない
兵器を出す事が出来るのは王族が持つリングである
元来この国での王族はこの兵器を世に出さぬ為の守人としての役割である
そこでズロウはトキ王子を拉致してリングを我が物にと思ったのだがトキ王子はリングを所持していなかった
その為誘拐という形をとり、リングを渡す様にナナ王妃へ脅迫した
表向きは身代金代わりに国と言うことで兵器の話は口外しなかった
ズロウはトキ王子はリングは所持してなくても何かしら知っている筈だと思い拷問をさせた
王宮ではナナ王妃がアルバムを見ている
王と王妃 王子と王女元気だったあの頃に戻れないナナ王妃が声を出さぬ様に涙を流す
震える身体の震動がアルバムを揺らす
王子をとるか国をとるかの賭けをユニバーサルへ託したのだ
国王軍を使えば王子が危ない
兵の数が少ない事を理由に2つのチームに依頼した
コンコン
王室のドアがノックされる
ナナ王妃は涙を吹きアルバムをしまい
平静さを装う
執事が部屋に入ると山間の道で戦争にも近い戦闘があり身元不明の車が襲われ
状況的に死体は粉々になり搭乗者は生存不可能と伝えられた
目を開いたまま黙るナナ王妃
胸の奥が痛んだ
煙が未だに消えない山間の国道
現場は火薬やオイルの匂いが冷たい空気に混じって惨状を伝える
国道は片側規制にしてあった
車は原型を失い
もはや焦げた鉄くず状態
事務的に動く重機が鉄くずを退かす
ギガシャ!ガシャン!
けたたましい音を立てて鉄の塊を退かすと重機のオペレーターが不思議そうに道を見た
「なんだ?この穴?」
国道を走るコッコ達とロングイ達
コッコの腕に抱きつくチッチ
「運命ってこう言う事なんですね」
「なんでお前らが乗ってんだよ!!また、車を転送してもらえよ!」
腕を外そうにも車が人で溢れているので外せない
「スミマセンね!」
アイナが3列目から顔をだして笑う
8人乗りなので二手に分かれて乗り合いした
マフィア達とアイナ、リンリンが戦ってた時にモモコは先に穴を掘っていた
その中に全員逃げたのである
その後、通りかかるコッコ達の車に乗り込んだ
マツクワの情報ではトレーラーは国道を北上してビールカップへ向かうと見て間違いないとのことだ
バリバリバリバリバリバリバリバリ
キィーン
性懲りも無く次の連中が現れた
「しつけぇな!!」
ロングイの車では
運転しているキーンが舌打つ
レインボーカラーのツインテールが揺れる
「戦闘機2機 戦闘ヘリコプター3機……その後方から音の違う戦闘ヘリコプターが10機……」
アユニが読み説く
「全部で15機‼」
驚いてミラーを見るキーン
空を舞う黒い点が見える
「多分違う音はウチのファミリーだ」
ロングイが後を見ながら確認する
目を覚ましたタマがロングイを見た
「お嬢は安心して乗ってろ」
頭をポンとたたくとタマはニコリとした
その情報をコッコへ伝える
走る車の後ろや横に現れたヘリコプターが遠くから飛んできたミサイルに撃ち落とされる
ドゴゴーン!! ガーン!
ヒュー!!ズオーン!
「派手だねぇ」
「なんかワクワクしますね」
コッコとイガラシが外の爆発を見てニヤニヤしていた
この状況を楽しむ2人にクリビーは、なんかスゲーなって思った
「あと数キロもしたら極寒圏内に入る
雪山の形状からヘリコプターも戦闘機も入れない、足止めはウチのファミリーにしてもらうから安心して走ってくれ」
ロングイがミヤビに伝え、そのままコッコ達へ伝えた
落ち着いた車内 ロングイはタバコに火を着けて アユニ、リンリン、モモコを見た
「姉ちゃん達は何もんだ?コイツラの仲間か?」
YUIやミヤビを指差し聞く
「そんな感じ」
アユニが少しそっけなく返す
勿論チームBiSHもロングイに興味はあったがそこは何も聞かないし 答えることもないのがルールのような感じだった
若い子の冷たい視線はナイフより痛く刺さる
「んだよ、全部終わったらもう少し心開いてくれよ」とタバコの煙を吐いて深くシートに座り直した
フフフとYUIが笑った
凍る雪を重いトレーラーが割って走る
バキバキ!バキバキ!
取り巻く車はそのお陰でスリップが少なくスムーズに走れた
景色が解らないくらいの雪の中でトレーラーが止まる
プシュ!プシュプシュ!
上に角のように付き出したマフラーから煙が飛び出す
目の前には崖の様な白い塊があった
「ここですよね」
運転席の男が助手席で座る太った男へ言う
毛皮の帽子に軍隊コート
ふてぶてしい顔つきをしている
旧政府軍 総指揮 元帥 ヘヴァン四世
父から受け継いだこの施設でズロウと共に世界転覆を狙っている
施設内では数時間前までくつろいでた見張りが背筋を伸ばしてじっと立っている
ズロウの悪魔の様な足音は施設内に響き幹部の心を縛る
監視モニターから見る王子はもはや生きているのか死んでいるのか解らない位動かない
拷問と空腹で身も心も折れていた
ズロウは幹部の1人に椅子と袋を持たせて王子の元へ行く
「生きてるか?」
幹部が置いた椅子に腰掛け王子へ問いかける
王子とは一定の距離を置いた所に居る
霞んでるような顔を上げる
3日で少量の2食しかとっていない
これもズロウの指示
ズロウは袋の中にあるパンとコーヒーを一口づつ上げるように指示した
王子はパンに飛びかかるようにかじり 飲み込んだ所でコーヒーを一口飲まして貰った
少し食べればまた少し食べたくなる
人の欲
特に王室で育った王子であれば欲に対しての我慢は苦手だとズロウは踏んだ
「まだ、腹減ってるだろう?指輪の話俺だけにしてくれよ、後から来る連中には言わなくて良いからよ」
袋を少し開き中を見せ、匂いを飛ばしながら囁く
王子は生唾を飲んだ
温かいコーヒーに流されたパンが身体に吸収されるのが解った
"モットホシイ"
身体は食料を欲し始める
ズロウの思惑通り
王子は指輪の在り処を知っていた
でも、それだけは絶対に言ってはイケない
でも、でも…でも…
葛藤は脆く目の前の欲に心が違う物になりそうだ
王子は喉元まで指輪の話をしそうになる
その時 頭の中に 王とタマとナナ王妃の顔が浮かんだ
ナナ王妃と王子は血が繋がっていない
王子の母親は王子が幼い頃亡くなっていた
再婚としてナナ王妃が来た時、国は旧政府軍の配下だったがナナ王妃の力添えもあり王が国を取り戻した
優しく 気高く 凛としたナナ王妃
"全てに本気をだす"
ナナ王妃はよく王や王子に言っていたセリフ
後から産まれたタマと同じ様に愛をくれた
言葉通り本気で愛をくれた
そんなナナ王妃を尊敬している自分を思い出した
「わ…解った、話すから、パンは手で食べたい…手を使わせて欲しい…」
何か企んでるのか?ズロウは一瞬そう思ったが
「ほどいてやれ」
弱りきった温室坊やが暴れた所で負けないので問題無いだろうとズロウがスキをみせた
幹部が銃を構えてロープをほどく
震える手でパンの袋とコーヒーをとる
あ…あぁ とうなだれてコーヒーの暖かさを手で感じる
ズロウはコイツはダメ坊やだなと少しガッカリもした
瞬間!!
椅子で幹部の頭を殴った
倒れた幹部から銃を取り、椅子から腰を上げたズロウの顔へコーヒーをかけた
突然の事で驚くズロウを蹴飛ばし部屋の外へと出た
コーヒーはヌルくなっていたのでズロウは拍子抜けするも
王子の本気の行動に喜びを感じた
「そうだ!そうで無いと!」
優勢になったと思った時に叩き落とす
それが追い詰めた時面白い!!
ズロウは口を閉じかけの三日月の様にして笑った
廊下を走るトキ王子
袋のパンを食べながら走る!!
食べ物は粗末にしちゃ駄目だ!!と自分に都合の良い言い訳を繰り返してパンを口の中へ押し込めた
施設内は入り組んでいて何処を走っているか解らない
走り疲れ、少し歩きながらも周りを警戒しながら進む
カツーン カツーン
悪魔の足音と呼ばれる響くあるき方
カカトの金具を床に当ててるだけだがコノあるき方はかなり精神的にくる物
薄暗く、場所さえ解らない所で追われてる王子に何処からともなく聞こえる足音に恐怖を覚える
握るピストルの冷たさが手を重くする
カツーン カツーン カツーン
何処に逃げればいい?
何処に隠れればいい?
混乱し始める
少しだけ明るい場所を見つける
人も虫も動物も光を求める
トキ王子は吸い込まれる様に光へと歩き出した
外ではトレーラーを動かし荷台を開けれる準備をしている
「ズロウが裏切る様ならすぐこれを使うからな」
ヘヴァンはトレーラーの中から旧政府軍のメンバーへ通達する
通達様トランシーバーとは別にもう1つ小型無線機のような物をポケットへ忍ばせた
「ヘヴァン元帥!!そろそろお時間です」
トレーラー下で敬礼をしてメンバーが叫ぶ
風の音とトレーラーの厚いガラスはメンバーの声を遮っている
見下す様にメンバーを見て察するヘヴァンはゆっくりとトレーラーから降りた
トレーラーの荷台部に車を着けてメンバー4人をトレーラーの見張りとして配置
ヘヴァンは残りの10数人のメンバーを連れて白い壁へと行く
監視室からは全て特殊なカメラで観ているのでヘヴァンが壁の前へ行くと確認されて重い扉が開いた
施設内では明るいと思った場所へ向かった王子が愕然とした
前には底が見えない大きな穴があり
穴の中心には鉄の柱の様な物が天井の方へと伸びていた
橋が扉の様な所まで伸びているが扉自体は凍っていて開ける事が出来ない
王子は焦りながらも戻ろうとする
カツーン カツーン カツーン
冷たい鉄を打ち付ける音が大きくなってきている
王子の顔が青くなった
「もう終わりでいいかな?」
ズロウが幹部を引き連れてやってきた
王子は震えはじめた
「さぁて、もうヘヴァンが来ちまう、指輪の事教えろ」
トキ王子は震えながら首を横にふる
「教えないなら3大兵器の2つで王妃から聴き出す!!お前はここで死ぬ!それでいいか?」
それもトキ王子は首を横にふる
イエスマンばかりの中の王様ズロウ
反論、反対が嫌いである
言う事を聞かない王子に苛立ちが襲う
ズロウはカウントダウンを始める
「5、4…」
王子が銃を構え始めた
スチャ
ズロウの幹部が機関銃を王子へ向ける
「3、2…」
パーン!!
ズロウの頬から血がでる
玉はズロウにかすって通路の奥へと飛んでいった
ズロウの目が座る
幹部が機関銃を撃とうするのをズロウが止める
数多くの修羅場を抜けただけ有って銃口で大体の弾道はわかる
震える手で持つ銃から煙がゆらゆらと出ていた
「あ…あぁ…」
怯える王子、自分の銃声が自分を追い込んだ
鋭い眼差しがゆっくりとカウントダウンの指を曲げる
王子は震え過ぎて腰を抜かした
「1…」
撃たれたときすぐに撃つのは力が互角以上の時だけ
格下には "間" が最大級の恐怖の時間
「0」
「死ね!」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
逃げ場の無いトキ王子に機関銃が火を吹いた




