九士団
パンツ1枚の裸の王様
クックアイランド 前祭の始まりは国中の爆笑から始まった
先頭に白馬1頭がゆっくり歩き出す
すぐ左右後ろに白馬2頭その後ろにある馬車はヤグラになっていてそこに裸の王様
右と左に正装をしている偉そうな男がいる
その後ろを歩きながら左右3名づつ槍を立て行進している
最後尾は鼓笛隊が行進曲を奏でる
大通りを囲む大勢の人達
国民 観光客が入り乱れパレードに湧いている
その中にコッコとイガラシがいた
「中々ファンキーな王様っすね」
ラッパ呑みで酒をあおるイガラシのサングラスにモニターの王様が映る
「結構好きなタイプだよ」
コッコが笑って答えた
そこにクリビーとキーンが走ってきた
「どうした?」
人をかき分け来る2人をイガラシが迎える
「スミマセン、通信より来たほうが早かったんで」
「ミヤビさんがライブ行っちゃって」
ほぇ?
と2人の話に理解できないコッコとイガラシ
説明をするクリビー
笑う2人
「大丈夫だよ、ミヤビはなんか有ればすぐ駆けつけるから、心配すんな」
コッコがクリビーとキーンをなだめるように言う
「だとは思うんですけど」
と呟くようにクリビーが答えた
ライブ会場は凄い人だ
通常2万に入るドームだが寝泊り出来るように1人に2席用意されている
ミヤビが買ったチケットは高いだけあって前の方のいい席
ドーム内の天井には4つの大きなモニターがあり今はパレードの映像が流れている
裸の王様に会場は盛り上がる
その間ステージはバンドマン達がポジションにつき準備を始めていた
パレードがある程度進むとステージに煙が立ち込める
モヤモヤとステージを煙が包むと
〈Thank you Everybody!! Rady GO‼〉
とキレイな女性の声がした
歓喜の声が会場狭しと轟く
パシュパシュ!
大きな発射音と共に花火と紙吹雪が飛び出すと
はけた煙から 浅黒く大きな瞳の女性が両手を上げて登場した
彼女が クックアイランドNo.1のアーティスト
歌姫 ホイップ・ニュー・ストーンである
軽快な音楽と共に高音で力強い歌声を奏でる
ミヤビは一瞬で心を奪われた
「すげぇ‼」
手を上げ、大きな声でLIVEにノリノリになる
3曲目あたりにバラード曲が入るとミヤビはある違和感に気付いた
彼女の歌声が凄すぎてバンドの音がついていけてない
彼女がバンドに合わせて歌を歌っている
とても良い楽曲でとても良い歌声
なのに!!
ミヤビはそれが許せない
バラードが終わる頃ミヤビはステージ前迄来ていた
気付いた警備員がミヤビへ向かう
バラードが終わりシーンとした一瞬でミヤビは叫んだ
「バンドマン!全員!なんで彼女に合わせられねぇー!」
とっさの事でホイップもバンドメンバーもキョトンとする
すぐに警備員3人に抑えられるが簡単に警備員を、ふっ飛ばす
周りはその姿に声を上げる
「なんだお前!」
「出てけー」
「すげーぞお前!」
「やれやれー」
賛否の声が湧く
「別に危害を与えるつもりも、LIVEをめちゃくちゃにするつもりもねぇ」
一際大きい声でのステージへ叫ぶと
「もう、めちゃくちゃになりはじめてんだろっ」とステージのギタリストがミヤビへ食いついた
「あんたらが下手じゃないのはわかるが、彼女の歌声の良さを引き出せてねぇんだよ」
ミヤビはギタリストを指差す
ギタリストは怒りあらわに
「何言ってんだお前」
とギターをおろすと
「一曲でいい、俺に弾かせろ!必ず彼女の歌声の最高値を出してやる」
ミヤビが自信満々に答えた
はん?
他のメンバーも楽器からはなれギタリストに加勢する形を取る
それを観ていたホイップが笑い始めた
バンドメンバーとミヤビが
ん?
と言う顔してホイップを見た
ホイップはマイクを握り直し
「ねぇみんなぁ!!飛び入りバンド野郎OK?」
そう言うと会場が湧き上がる
ニコリとホイップが笑うと
カモンとミヤビをステージへ上げた
つまらない顔して睨みを効かせミヤビをみるバンドマン達をよそにミヤビは
〈トク!テラのアーティスト ホイップ・ニュー・ストーンの全楽譜を頭に転送頼む〉
と呟いた
「何ブツブツ言ってんだよ」
ギタリストが絡んでくる
「わりぃな、ちとアンタのギター貸してくれ」
はぁ?と顔すると
「貸してあげて」
とホイップが可愛くギタリストに言った
「貸してやれよケチー!」
「そうだ貸せー貸してやれぇ」
会場から面白おかしくヤジが飛ぶ
ギタリストはイヤイヤながらもギターをミヤビに出すと会場から拍手が響いた
チューニングをススッとするミヤビ
〈OKミヤビ データ転送したゼ!相変わらずオマエは面白いナ〉
トクから応答が来た
「なんの歌にする?」
ホイップがミヤビに言うと
「なんでも構わねぇよ、アンタの曲は何でも弾けるぜ」
ギターを構えて応える
さらに
「ほかの楽器も無くて大丈夫だ、ギターだけで行く」
と自信満々に言う
「あたりに前だお前に乗るつもりはねぇよ」
他のバンドマンから怒鳴られる
「なら、ギターがよく合う私の曲 HEROなんてどう?」
ホイップが提案すると
「OK!最高だ!」
と親指を立てる
ヴィヴィ〜ン キュルキュルキュルキュル!
音を出すミヤビにバンドマンは目を丸くした
バンドマン達もプロ中のプロ
まして国1番の歌姫のバンドマン 1流である
1流が故にわかるミヤビの凄さ
ミヤビはニッと笑い
転送された楽譜を記憶の引き出しから出した
アカペラから歌は始まり 一節歌うとミヤビのギターが入った
会場が湧く ミディアムテンポから入りホイップの歌声のキーを上げさせていく
ミヤビのメロディラインが歌声を載せホイップの音域を自由に上げ下げさせる
キレイな歌声は更に域を越え 歌詞を響かせ
ホイップを解き放つ
優しく激しい歌声は宇宙の彼方から差す光の如くドームを包む
1番が終わる頃バンドマン達はポジションに着き ギタリストはもう一本のギターを手に取り構えた
ミヤビのギターソロがツナギを終える頃合いでバンドマン達がミヤビに合わせて入った
笑うミヤビ 目を合わせて笑うギタリスト
それを見て微笑んだホイップ
最高の2番が始まった
会場全員が鳥肌を立てて歓喜に湧く
その様子がモニターで国中へ映し出された
ただ残念なのは ユニバーサルメンバーはカメラに映る時、正体がバレぬ様に別人に映る
映し出されたミヤビはかなり ブスである
「なんだあの不細工(笑)すげーぞ!」
国中が笑いながらモニターを観た
「あれって…」
キーンがボソっと言う
「大丈夫ですよね、隊長?」
クリビーが心配そうにコッコを見る
コッコは黙って買ってきた物を食べていた
「あれって、ミヤビさんのメタモルフォーゼですよね」
リンゴがモニターを、指差しYUIの肩をたたく
「ミヤビらしい事してるわね」
YUIはクスっと笑った
LIVEとパレードが同時中継されている頃
全ての様子を、観ている連中がいた
薄暗い部屋に100人近くの白装束の者達
「司令官の支持通り始まった!!皆のもの作戦開始だ!!」
「うぉぉぉーっ」
「まずは九士団に挨拶しようか」
モニター前でパレードを見ながらフフフと笑う
上から下まで白装束、マスクは幹部5人は違うが他は同じ
白地に細い目をあしらったマスクである
この集団がテロリスト
ヒップワン宗教国家 ヨルドア派
パレードは街を行く
コッコ達の近くに先頭が入ってきた
「思ってたより若いな、兵隊さん達」
そう呟くと前にいた老人がコッコの方へ振り返った
「なんじゃあんたら九士団をしらんのか?旅の人か?」
「あぁそうなんだ、爺さんこの国の人か?」
「そうじゃよ」
「九士団詳しい?」
「そりゃこの国の人間なら皆知っとるよ、王をはじめ、あの9人がこの国を救ったんだからな」
「なら教えくれよ」
コッコが老人にいうと
老人は入ってくる白馬を指差し
「あの先頭の馬に乗っとるのが 九士団
隊長のシュン」
「あの顔が長い奴?」
「次向って左の馬に乗っとるのがヤマタカ」
老人は少し笑いを堪えて次を説明
「あーあの毛の塊みたいのか」
コッコの返しに指を震えさせ笑いをこらえる
「その隣がゴウ」
「目ぇほせーな、見えてんのか?」
ブハッと吹き出す老人
「やめてくれ、失礼だろ」
うすら笑いでコッコを責める老人
「そしてヤグラに乗っとるのがサダ王と右大臣のモリワキ 左大臣のゼンジロー、そしてすぐ後ろを歩いている女子」
と言うと キーンが身を乗り出してきた
「あー2人共綺麗だぁ!!」
「じゃろ」
老人もまんざらじゃない顔でニヤっとする
「二人は姉妹だよ 向って左の少しキツめの方が姉さんのクロキ 隣の少し柔らかくした感じの方がアラキじゃ」
「綺麗で可愛くて強いのか…フフフ」
クリビーがエロい顔して見はじめた
呆れるイガラシ
「その後の左がムロ」
「天パオジサンだな」
また始めるコッコ、また笑いを堪える老人のリアクションにはまった
「右がハルマ」
「癖のある綺麗顔か」
これはスルーされた
「最後尾左がスダ」
「女好きな奴か」
ちょっと老人の肩が震えた
「そして右が最後でヤギラじゃ」
「骨の有りそうな顔つきだな」
「普通のコメントかいっ!」
まともな返しに驚く老人、それを笑うイガラシ達
老人とコッコ達の前を、先頭シュンが入ってきた
シュンは変な"気"を感じて歩道を見た
コッコ達と老人が確認できた
それに気付いたコッコがシュンを見る
目と目が合うと少し緊張感のある空気が張った
2人が出逢った瞬間である
「中々大した気迫を込めてますね」
イガラシがコッコの後ろからシュンを覗いた
「あぁ、大したもんだ」
コッコは口元を緩め同意する
パレードは少し先に進んで行く
すると少し離れた所から叫び声
「キャーッ」
「おらぁ!どけ!どけぇ!」
歩道の人を掻き分け数十人の集団がパレードの大通りへと入ってきた
馬を停める旬
後ろから「なんだ?テロリストか?」
ヤマタカがシュンへ聞く
「行きますか?」
イガラシがコッコへ聞く
「いや、あれくらいなら大丈夫だろ」
コッコは少し口元を緩め簡単に答えた
シュンは相手を観察した
Tシャツ、武器は包丁と棒
セキュリティが厳しくて国内で見つけた物であろう簡易な武器
「あれは近場の海賊だな、売名で来ただけだろ」
シュンがヤマタカに答えると
スッと馬から降りて集団へと歩いて行く
「なんの用だ、今日は祭りなんだ、襲撃なら日を改めてくれ」
シュンは紳士的冷静に集団へ言う
「うるせー!今日ならパレードが全世界へ配信されてる!お前らを殺れば、俺らはこの先仕事がしやすいんじゃ!」
そう叫んで数十人の男達がシュンへ飛びかかる
コッコはシュンの動きを観察した
シュンは避けながら一発 また避けながら一発と狂いなく急所を打撃
脳しんとうを起こし 1人また1人と倒れて行く
無駄なく鮮やかな攻撃と回避術
数十人の男が数十秒で倒れ込んだ
「ほぉ」
イガラシが嬉しそうに見た
緊急音を鳴らし
すぐにAIポリスがきて男達を拾う
現行犯逮捕
それを見てシュンは馬にまたがった
そしてそれをモニタールームで笑いながらみるヨルドア派
「それでは、こんにちわ」
そう言うと手に握るスイッチを押した
ドン!ドン!ドン!
海賊と思われる男とAIポリスが爆発した
「なにっ‼」
ヤマタカとゴウが前のめりで周りを見た
後ろに居る士団が王のヤグラを囲む
サダ王は顔色変えず前を観ていた
小規模爆発なので歩行者に被害はないが海賊らしき男達は全員死亡していた
安全の為パレードはここで中止になる
シュンはとっさにコッコ達が脳裏浮かび歩道を見るがコッコ達の姿は無かった
「どうした?」
ヤマタカが馬ごとシュンの隣に着き聞くがシュンは周りを見渡すだけで答えなかった




