ゴースト③
ゴーストに身に覚えが無いと言い切るペニートに苛つくイガラシ
見え見えの嘘が嫌いだ
少し小馬鹿に
「全くないんですか?」とイライラ口調で突っ込む
ユイは始まった!とおでこを押さえ下を向く
キーンはそんなイガラシを尊敬の眼差しで見る
「政治家ですから何かしら恨まれる事はあってもゴーストにまでなって恨まれる事は無いと言う意味ですよ」
慌てて弁解のようにペニートはイガラシへ答える
「でも政治家のトップだけが狙われたんですよ」
苛つきを抑えられないイガラシの体を抑えミヤビがペニートへ言うと
「それはたまたまあの二人が裁判所跡地へ行ったからじゃないんですか?」
どうやら湖上の城は元裁判所らしい
「何故ですかね?」
クリビーが、上目使いで聞く
「知らないよ!坊やよく聞け!僕はトップに立ってから死刑制度も無くしたし!農業、漁業に関しては罪人たちの更正として仕事もさせるようにしたんだ!
お金が入れば犯罪は減る!税収は上がり国も潤うんだ!そんな僕が恨まれるのはお門違いだ!」
クリビーが若いからか強気な口調になり人差し指を目の前に出している
人で態度を変えるタイプである
殴りたい
キーンはそう思った
目の前にある人差し指を、握りクリビーがペニートをキッと睨む
若くとも気迫は十分出ている
たじろぐペニート
「な、なんだ坊や!」
「僕は空気読めるんです!貴方の思想、行動は素晴らしいと思います、けどここに居る貴方の様子を見て流れを読むと利己的な事、隠してないですか?」
ストレートに問い詰める
ほぉ!とニヤリ笑うイガラシ
「そ、そりゃあ政治家だから!税収上がれば給与上げてもらうさぁ」
声のトーンが上がるペニートを見て
意地悪な顔をするイガラシ
リンゴはハラハラとしてにユイに視線を投げたが
ユイは顔を横に降った
手がつけられないらしい
「解りましたペニートさん!もうこの話はよしましょう」
ミヤビの腕をはらい
両手の平を広げクリビーとペニートの間に入る
「取り敢えず私達は仕事をしますので湖上の城へ案内してください」
笑顔でペニートの肩に手を置く
「嫌ですよ!なんで私が!」
汗をかき始め全力で断るペニートがイガラシのサングラスに映る
「依頼主ですから」
飄々と返す
「私は王に相談をしただけだ!」
ムキになるペニートがからかいがいがあって更に意地悪くなる
「話ではお金出したのも貴方だとか、自費ですよね」
「そりゃ国の事だから出したよ、でもちゃんと除霊出来れば国に今回の請求もする!」
段々怒りがこみ上げるペニートに
「お仲間が死んだのに貴方は行かないと?」
と更に挑発する
奥歯を噛み締めてキッと睨みをきかせる
「解った!行くよ!ただこれから用事があるからその後だ」
折れるペニート
「何時位にしましょう?」
すかさずユイが入る
風体の悪いイガラシに問い詰められた所でユイが入るのは良いクッションになった
少しペニートの顔がほころぶ
「じゃあ、今夜23時にここへ来てくれ」
「かしこまりました」
ユイが笑顔で応えた
ー 一方王邸 ー
タミ王と話すコッコは険しい顔をしていた
今回のゴーストの思い当たる節を聞いたのだ
少しの沈黙のアトコッコが
「ちょっと私なりに調べてみます」
「頼む」
切ない顔つきでタミ王が宙を見て答えた
王邸を出て街中を歩く
電話を取り出すも電話事態は繋がっていない
電話で話すフリをしてスーツ回線でオペレータートクへ連絡をする
「コッコだけど」
❲はいヨ!❳
相変わらずのガムを噛んだような話し方が返ってきた
「ボードバックのマフィアでセブンズバックを縄張りにしてるドロンボファミリーのココ1年の動きを調べてくれないか?」
❲おやすいゴヨウだ!30分で調べるヨ❳
「ありがとう!頼むよ」
そう言って回線を切りコッコは人のいない路地裏へ行き姿を消した
夜も更け始め首都ローラの空に月が灯を灯す
月明かりに照らされたレンガの壁は昼とは違う妖しげな映しになっていた
門の前にユニバーサルのメンバーが居る
23時迄は自由行動だった
「コッコさんはまだこっち着かない感じですか?」
ミヤビがイガラシへ聞く
「後1時間位だって言うから湖上の城で待ち合わせることにしたよ」
そう答えている時に1台の車がメンバーの前に止まった
いやらしさ全開の高級車
ライトを一つ落とし中から男が出てきた
薄毛で気の弱そうな感じで
目はキョロキョロと何を見てるのか解らない
「貴方達がペニートの言ってた東洋の人達?」
少し高い声とナヨッとした話し方でリンゴの方へ向いた
「そうですけど?貴方は」
リンゴも少し警戒しながら対応する
「ぼ、僕はセルペンテ!ペニートから聞いてない?」
挙動不審な男に対してイガラシが行こうとするのをユイが止めて対応に出た
「お名前だけで後はお伺いしてませんが」
大人の女性は男に対して入りやすい
「そ、そうなんだ!ペニートの用事が終わらないらしく代わりに僕が皆さんと行くことになったんです」
挙動不審とは裏腹に何処か威張ろうとしてる姿勢も見える
しかし、メンバーは
"野郎逃げやがったな"
と心で呟いた
セルペンテの車に無理やり乗り込むぎゅうぎゅう詰めだ
車は走り出す
ブォォオオ!
流石は高級車、7人乗っても力負けしないエンジン
いやらしさ全開の外見も中はもみくちゃの5人が後部席にいるのでギャップかある
リンゴとキーンが足を踏んだ踏まないで揉めている
「お話はペニートさんから聞いてるんですか?」
助手席のイガラシが聞く
「は、はい!僕が囮になって皆さんがやっつけるのですよね」
汗をかきながら運転をしている
小刻みだが震えているのもわかる
「よく、代わりをお受けしましたね、ペニートさんは逃げたのに」
ちょっと小馬鹿にするように話を振る
「ま、まぁペニートには借りがあるから……」
「命かける位の?」
「ハハハ……」
声は笑っているのに顔は全く笑っていない
お仲間議員が2人殺されているのにワザワザ代わりに来る意味がイガラシにはわからなかった
街の外れに行くと湖が見えて来た
月は大きく見え湖を照らす
怪しくも美しい城が崖の上に影として見えて来た
「元裁判所なんですよね?」
イガラシがサングラスを頭に載せ、城を見ながら聞いた
「えぇ、その前は貴族の城でその後、裁判所兼公開処刑城で今はただの湖上公園のオブジェですけどね」
セルペンテも城を観ながら答えた
「公開処刑場……ですか」
「はい、城の前の崖の上で首をはねて体は湖へ落とし首は晒したんです」
「きっついなぁそれ!」
「もう、100年以上前の話ですよ」
明るくはなすイガラシと暗く答えるセルペンテ
後部席のメンバーは不思議な感覚で聞いていた
スンっと城の入口へ車を止めた
ドサドサと後部席メンバーがおりる
城の門には立入禁止の看板がある
一般人は入れない
本当にお飾りの城になっていた
鍵を開けるセルペンテ
真上にある月明かりが城の門を照らせば鉄と木目が重厚感溢れて見える
ンギィィイイン
きしむ門の音が城の外と中に響く
少しづつ開く門の隙間から中の冷気がゆっくりとゆっくりと7人を包む
「こりゃいかにもだな」
ミヤビが城の中を覗きながら言うと
メンバー達は剣を準備し始めた
カツン!カツン!
門の入口に入れば足音1つ1つが響く
月明かりが差し込み城内が青白く見える
セルペンテは持ってきた懐中電灯を照らし周りを確認する
「どの辺りを見ますか?」
ボソッとセルペンテが言うと
「この石で出来た通路の空気が違いますね」
クリビーが暗い方へ指を指す
「こっちですか?」
震えて指を指された方を照らす
「なんか見えたのか?」
キーンが目を凝らし照らされた方を見る
「見えたんじゃなくて、読んでるんだ空気の流れを」
「お前!その空気も読めるの?」
クリビーの返事に驚く
「しっ!」
リンゴが口元に人差し指を立てる
暗い通路の奥から冷たい気配と何やら声が聴こえる
「セルペンテさんを守れ!」
イガラシの声でメンバーが円を作りセルペンテを囲む
これだけ冷えているのにセルペンテは汗を大量にかき震えはじめた
照らされた灯はぐるぐると動いている
それを冷静に後から見ているイガラシ
カツン!カツン!カツン!
石を叩くように響きを利かせ走る足音が近づいてくるのがわかった
「来るぞ」
メンバー全員が構える
ヴォォン!
剣が光を放ち延びる
イヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒ
通路奥から笑い声が近づいて来る
イヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒ
懐中電灯がゴーストを映す
イヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒ
目玉の無い傷だらけ顔に濡れた髪
血の跡が付いた白のワンピースと腐りかけた腕
裂けた口は笑い顔にインパクトを生む
イヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒ先頭をきってミヤビが剣を振りゴーストへ向かう
横に振られた剣をジャンプで避ける
「はやっ!」
上を見ると二階の高さまで飛んでいた
すかさずユイが剣を構えジャンプで斬りに行くも
空中で避けるゴースト
そして早々とセルペンテの前に着地する
イヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒ
セル〜ペ〜ンテ〜
笑い声と地の底から湧き出る様な声で名前を言う
!!
すぐさま後ろへ飛ぶゴースト
イガラシの剣が前から来たのだ
ジャ〜マ〜す〜る〜なぁ〜
舌を出しながら両手を上げてイガラシを威嚇する
シュン!!
上げた手の片方がイガラシに切られ
腕が宙を舞う
あ"っ!あぁあがァ!あぁああぁああぁあ!!!
驚き表情と腕の損失に叫ぶゴースト
キザマラァ〜ッ!
ゴーストはそう言って宙へ飛び消えた
「やったか!?」
キーンがそう言うと
「いや、まだだ!すぐ戻ってくるぞ!」
イガラシが天窓の方を見て答えた
「あっあぁ!」
腰を抜かし座り込み
震えた声を出すセルペンテの前に腰を落としイガラシが目を見て
「嘘は無しっすよ!あのゴーストはあんたの名前を言った!関係ありますよね!教えてくださいよっ」
と強めに言うと
目線を下に向けたセルペンテの口が開いた




