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天空の使者  作者: サルザムライ(占空)
第二章 天空の使者
16/50

ゴースト②

タッタタッタタッタ


暗い長廊下を走る音が響く


時間がたつに連れて足音と同じ位の息づかいが響く

ゼハァーゼバー!キュー


呼吸もままらなぬ状況で男は白い息を出しながら走っていた

自分の胸の中まで冷たい空気が入るのが解った


後を警戒しながら男は立ち止まり呼吸を整えた


「くそっ!ゲホッ!オエ!今度は俺の番なのか!」


ヒューヒューと呼吸音と嗚咽をまぜながら呟く


カツーン!カツーン!


暗く冷たい廊下の奥から足音がする

音に気付いた男は青い顔をしてまた走り玄関口までたどり着く

照明の消えている玄関口

吹き抜けにある窓から月明かりが中を照らす

青白い月明かりは静寂さをかもし出し

玄関口は静な分だけ廊下の音を響かせる


カツーン!

カツン!

カン!カン!カン!

音は急速になる

何かが走って男へ向かって来る


ガチャガチャ! 


慌てて扉を開ける


イヒイヒイヒイヒヒヒヒ!


喉の元の方から出る様な高い笑い声が響き始める

「あっあっぁあ!」


慌てて外へ出て車へ走る男

ここは湖上の城

大きな月に照らされ山と城が怪しく映し出され

真っ黒な湖は底のない穴のようにも見えた


ファンファン

車に走りながらキーレスエントリーで鍵を開け

男は車のドアを開け飛び乗る


プロロローッ!

ガン!

走って直ぐに車の上に何かが乗っかったのが解った

ヒィ!

息を吸い込むも悲鳴にも似た声が漏れた


その瞬間

バン!

フロントガラスに白く傷だらけの女の顔が現れる

「わぁぁあぁあ!」

女の顔に目玉はない穴が空いた状態で目のあった所は漆黒の闇色

傷だらけの顔

傷口は赤黒く

口は片方裂けて歯茎が見えている


イヒ!イヒ!イヒヒヒヒ!

バン!バン!!バン!

フロントガラスを平手で叩きながら女が笑う


男は叫ぶ

恐怖に歪んだ顔で

叫び走る

「あーっ!あーっ!」

ハンドルを右へ左へ回し、女を振り落とそうとする

大きく揺れる車は湖畔を走る!

道をよく知るこの男

すぐそこにあるのは

急カーブ!


サイドブレーキを上げ

車のケツを振りフロントを勢いよく回した

イヒヒヒヒ!

笑い声と共に女の姿が消えた


男は慌ててアクセルを踏み車を走らせる

ボォぉぉぉ

振り落とせたか?

男の頭によぎるも、冷たい気配を察知する

「!!」

恐る恐るミラーを覗く

シートには誰もいない…

外は暗い湖畔の道、闇以外は映ってない


ホッとするものの


男は止まらない震えのまま、さらにアクセルを踏み込んだ


ヒタリッ

ハンドルを持つ手に冷たい水の感覚を感じた

「あっあぁあぁあ!」

叫ぶ男の手を濡れた手が握っている

イヒイヒイヒ!

下から聴こえる笑い声

ハンドルの隙間から女の顔が覗き込み

バァアァアァ!

と男の前に姿を現した

「あっあっあぁあああぁあー!」


男が叫ぶと車は崖から湖へと勢いよく落ちていった


ドゥッパァン!


高くまで上がる水しぶき!

そのしぶきは大きな手にもみえる

車を握る様に包み

車は沈んでいった



ー翌日ー

ボードバック共和国首都ローラ

歴史ある建物であろう城がある


そこは王邸

長い塀と鉄柵をたどると裏門に行きあたる

 そこにコッコがいた


普段とは違うスタイル

上で束ねている髪は後に束ね変えて

黒のスーツに白いYシャツで正装をしていた


ギィ!鉄の門が重くもきしむ金属音で開いた

そこに1人の中年男性が立っている

「お久しぶりです、お待ちしておりました」

右手をお腹の前へ置き頭を深く下げる


この男は王室側近 アベである

キッチリと整えられた髪に面長の顔は落ち着いた

佇まいと相まって紳士に見える

「お久しぶりですアベさん」

コッコが頭を上げたアベと握手と抱擁をする

アベは笑顔でコッコを王邸へ入れた

「裏からで申し訳ありません」

「いや、あまり素顔を色んな人に晒したくないので、この方がありがたい」

謝るアベを気遣うようにコッコが王邸の中へ入った


ー 首都ローラ ー

チリーン チリーン

鈴の音を鳴らしながら歩く6人

袈裟を羽織、頭巾を被り念仏を唱え道をゆく

石畳のお洒落な道路

歴史を感じる建物と噴水

かなり浮いている

「このカッコする意味あった?」

ユイがイガラシへ野次る

他のメンバーもウンウンと黙って頷く

「しょーがないだろぅ、僧侶の霊媒師なんだから」

うるせーなと言わんばかりに返す


街中ではピザやパスタを食べながらビールやワインで昼食をとる人達の眼差しが刺さる

笑いながら見る人、写メをとる人達、チラ見する人と様々

「私達写メとか撮られて大丈夫なんですか?」

リンゴが少し不貞腐れてイガラシに絡む

「大丈夫だから、写ってる顔は違う顔になってるから」

イガラシはもう適当になっていた


「ここっすね」

ミヤビが指差す

高級感あるレンガ造りの壁

物々しい鉄策の入口に護衛が4名程

中の建物は入口からは見えないほど大きな庭園がある

早々と護衛に話しかけるイガラシ

ドレッドヘアの僧侶、外国では中々お目にかかれないと簡単に受け入れられた


あっという間に仲良くなり肩を抱きながら拳と拳を、合わせファンキーフレンドになった


「今、案内してくれるって」

笑顔でGO!と親指で門の中を指した


キィ!と鉄独特の音を鳴らし開門する

笑いながら入るイガラシ


「才能だな……」

ミヤビが呆れ顔でイガラシの後を着いていく

その後を残りの4人も着いていった


ここは ボードバック共和国 議席責任者議事堂

今回の依頼主 議席最高責任者 国議長 ペニートの居る場所である


庭園を歩くメンバー

私服であればピクニック模様

袈裟姿だと気分も変わるようだ、あまり浮かれていない


中を5分ほど歩くと、壁同様の高級感あるレンガ造りの建物がある物々しい入口に入りペニートへのアポイントを話すイガラシ


門番とは違い笑顔1つ見せない男が6人を中へ通す


応接室へ通された6人は出されたコーヒーを飲む

「あまり良い豆使ってないわね」

ユイがひと口飲んでテーブルへ戻した


クリビーも最近美味しいコーヒーばかり飲んでいたので不味っと下を出した


足音が向かってくる

すると、ガチャっと音がして男が入って来た


「お待たせして申し訳ありません、私がペニートと申します」

背は高く、高級そうなスーツと時計、床が映りそうな靴を履いている

綺麗だけどクセのありそうな顔立ちをした男である


「はじめまして、タミ王様からユニバーサル商会経由でご紹介いただきました

除霊をさせていただます 業碗寺 イガと申します」


イガラシが適当を並べて挨拶をした

他のメンバーは思った

イガラシは同じ事はもう言えないなと……


「失礼ですけどお国は?」

ペニートが握手しながら聞く

「東の島国、陽本ヨポンです、何か心配ですか?」

イタズラな顔をして返す

「いや、宗教が違うからとおもったのですが、平気そうですね!とても私達の国の言葉がお上手だ」

握手した手を大きく上下に振り笑った


CKスーツには通訳翻訳機能がある

そのお陰


「では現状のお話を聞かせてください」

ソファへ腰掛けながら本題へと切り出した


ー 王邸 王室 ー

コンコン

軽くノックするアベ

「タミ王様、コッコ様が参りました」

「入ってくれ」

王の言葉で扉が開きコッコが入る

大きな部屋の真ん中に大きなテーブルと脇に国旗

そこに 小太りで白髪混じりの短髪の男が構えるように座っていた

この男 ボードバック共和国 王 タミである

「久しぶりだな、まぁ掛けてくれ」

ソファへ手を指し、コッコが座る

アベは紅茶を2つ用意してタミ王とコッコへ出した

また、君が受けてくれるとは心強いな」

王はニヤリと笑いコッコを見る

「案件が面白そうだったので」

コッコはクスッと笑い返した


アベはタミ王の笑顔を見て少しホッとした


「今回の案件、なぜ議長名義で貴方が依頼したのですか?」

ティカップを持ち質問をする

「議長から相談を受け、金も議長持ちだからな」

タミ王もカップを持ちながら応えた

「そうですか!今回の詳細は?」

議長とタミ王が同じ事を話始める


ボードバック共和国は4人の議長で成り立っている

政権が半年前に代わり、新政権の下

ヴェレーノ

モルターレ

セルペンテ

ペニート

の4人が議長になった、農業、漁業、貿易で海に挟まれたこの国を発展させるべき政治改革

それがウリだそうだ

王は政治には口出が出来ない為流れを見守っていた


しかし2ヶ月前 首都ローラの女性都知事 ジーリョが家族で行方不明になるのをキッカケに

ヴェレーノ、モルターレが立て続けに怪死する


この辺りから首都ローラとローラ外れにある湖でゴーストが現れる目撃情報がでた

都市伝説かとも思うのだが、ヴェレーノ、モルターレの死体には手形らしきものがいくつかついていた


政治家がらみなので警察だけではなく国家部隊迄動く

監視カメラを調べた所

ヴェレーノ、モルターレの足取りに必ず白い光が映っているのが解った


タミ王はコッコへ

ペニートは他のメンバーへパソコンを開きヴェレーノが怪死する時の動画を見せた


音声の無い動画が再生される


場所は湖上の城 駐車場

慌てて走るヴェレーノが映る

太っていて鈍くさい走り方をしている

何かに追われているのか後を何度も振り返りながら走る

車につく前に前のめりに転ぶ

腰が抜けているようだ

手足をバタバタとコオロギの様な体制で何か叫んでいる

音が無くても恐怖で声を出しているのが解る


画像にノイズが入り始めた

音の無い動画に音が入る

ビッ!ザザ!ザー!ガッ!

特有の電子音


目を細め画面を見るメンバー


ガガ!

画像が荒くなる

ヴェレーノが胸元から銃を出し発砲する

画面脇から白い光がスーっと入って来る


一度体の動きが止まる

そして

ヴェレーノが空に向かって叫ぶ姿が映ると

手足から破裂にも近い感じで血が吹き出す


「‼」メンバーやコッコが驚く!


白い光はやがてボヤ〜っと

縦に広がり、その画像では長い髪が認識出来た


地べたでバタバタとあがくヴェレーノ

そんな彼をお構いなく、引っ張るように頭が上がる

彼は苦しみはじめ、首元を抑える

足は地面を擦るように這う

やがて白目をむき舌が出てくると


グリン!


顔が背中の方へ回転する

音が無いのに音が聴こえて来るようだった


ダランとする体は捨てられるように雑に転がった

ヴェレーノが死亡すると白い光が消えたのである


「すげーな……」

キーンが目を開き驚く


続いてモルターレの動画が映されるも、車に乗り込み走り出す所までしか映っていない


しかし走り出す車へ高速で光が走り

車の上へと乗ったのが映っていた


この後モルターレは湖で車と共に見つかった


「完全にゴーストですね」

イガラシがペニートへ言う

「そうですね…」

少しうつむき返事が返ってきた


「これはかなりヤバイですね」

コッコがタミ王へいう

「だろ」

タミ王はソファへ深く座り応えた


イガラシがペニートへ問いかける

「心当たりは?」

コッコがタミ王へ問いかける

「心当たりは?」

ペニートの答えは

「NO!全く無い!」

タミ王の答えは

「ある!」

ドン!っと深く返事が返ってきた

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