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ふつつかな奴ですが…。

「久しぶり!元気にしてた?会いたかったのよ。」

席に座るなり佳奈が笑顔を見せる。瑠奈も思わず笑顔になる。

「お久しぶりです。」

瑠奈が頭を下げるなり、佳奈は瑠奈に謝った。

「学が暴走したみたいでごめんね。もう落ち着いたと思ってたんだけど。忘れた頃にやらかすのよね~。」

「あ。いえ…。」

瑠奈は苦笑する。学はバツが悪そうにうつむいている。

「まあ、学がこんなにオタオタする相手って今までいなかったわよね~。お母さんよりも、私に会わせなさいっつーの!」

「姉貴!勘弁してくれよ~。さ。乾杯しようぜ。」

ニタニタする佳奈に苦笑して懇願する学。クスクス笑う瑠奈。3人でそれぞれの笑顔でグラスを合わせる。


学校の話や、バイトの話などですっかり盛り上がり、お酒も進み、時間はあっという間だった。そんな中でも佳奈は繰り返し言った。「瑠奈ちゃんが本当に義妹いもうとになってくれたらうれしいわ。」「ふつつかな奴ですが、学をよろしくね。」と。

瑠奈としても、学の暴走はともかく、佳奈が義姉あねだったら、と思った。


「あー。楽しかった!」

帰りの道中で瑠奈は満面の笑みだ。佳奈はそこそこに冗談も言うし、飲むペースがほぼ同じなので楽だったのだ。3人とも飲んべえなので、グラスでスタートしたはずが、いつの間にかジョッキを握っていた。

「佳奈さんがお姉さんだったらいいのになぁ。」

瑠奈がポロッと言う。

「そう思うだろ?早いほうが良くない?」

学が瑠奈の前に回り込んでたたみかけるように言う。

「もお、またー。言われたばっかでしょー?そんなに急がなくてもいいの!」

「早く一緒に住みたいもーん。」

「いつも一緒にいるじゃん。」

「そうじゃなくて!住所別々だし。」

「それは楽しみに取っておこうよ。私は、ずっと学と一緒にいようと思ってるよ。」

「ほんと?」

学の目が輝く。

「本当だよ。でもね、私だって、やりたいこと、たくさんあるんだよ。大学に行きたいって思ったことも、卒業したら就職して、社会に出たいって思ったことも、そのうちの一部。結婚は、そうね。たくさん頑張って、ウエディングドレスを着る自信がついてから。学がそばにいてくれたら頑張れる。ドレスも、仮装なんて言わずに着られるようになれると思う。」

学は静かに聞いている。そして、笑顔で言った。

「瑠奈の方が大人だな。俺、実家を継ぐから、なんとかなるさって、気楽に考えてたけど。瑠奈が元気なことが一番だよな。それに俺も一旦は外で就職する予定だから、就職のこと考えないとな。」

まだほろ酔いとはいえ、将来のことを少し考えた夜だった。

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