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“あのこと”を本当のことに。

このところ、学のベッドで過ごす時間が多くなってきた。瑠奈も以前のように怯えることがなくなったので、自然にそういう時間が増えた。


成人式を目前に控えた日曜日。ベッドで肌を重ねていた。

「あのこと、本当にしたいんだけど、いい?」

「“あのこと”?」

瑠奈にはさっぱりわからない。

「“あのこと”!…だから、その…初めてスカートはいてくれた時のこと!」

「スカートをはけば、いいの?」

瑠奈はポカンとしている。

「そうじゃなくて!…言わせんなよ。俺だって恥ずかしいんだぞ。」

しかし、経験が浅すぎる上に鈍感な瑠奈には、やはりさっぱりわからない。

「顔、赤いよ?熱でもあるの?」

学は、額を触ろうと近づいてきた瑠奈の手を握る。そして、その手を離すと、ベッドから下りて、裸のまま、土下座した。

「俺のお嫁さんになってください!」


瑠奈はびっくりして、言葉を失った。裸の土下座にも驚いたが、まだお互い、学生生活が2年少々あるし、成人式が目前なのだ。


「…あの、これって、プロポーズっていうヤツ?だとしたら、スッポンポンで言うものなの?」

何時間にも感じられる数秒間の沈黙のあと、瑠奈は絞り出すように言った。

突然だったこともあったが、瑠奈が想像していたプロポーズとは状況が違うので、返事云々以前の心境なのだ。

「あ…。ふ、服を着たら、OKしてくれる?」

…そういう問題ではない気がするんだけど。というか、私は返事をしないといけない立場なのね。

驚いた割には意外に冷静に分析している瑠奈だった。


服を着た学がガバッと土下座した。

「お嫁さんになってください!」

「あの、私たち学生同士だよ?」

「卒業したら、いや、卒業と同時にでも!」

「夢みたいなこと言うのね。」

「幸せにするから!」

すでに「Yes」か「No」か、ということを超越しているのか、それ以前の問題なのかすら、わからなくなっている。


「寒…。」

何気なく触った素肌がひんやりとして、毛布にくるまったまま、自分が何も着ていないことを思い出す。

「シャワー浴びてきていい?体が冷えちゃったみたい。」

その一言でバスタオルが差し出される。立て膝の学が頭を垂れて差し出しているのだ。

「何やってんの?」

「点数稼ぎ。“Yes”しか聞かない。言うまで帰さない。」

「はぁ?」

「バスルームまでご案内します。」

困惑する瑠奈にバスタオルを巻いて、肩を抱いて移動する。

「もう!勘弁してよ!」

逃げるようにバスルームに入り、熱いシャワーを浴びる。

「なんなのよ。ったく!」

シャワーを浴びながらブツブツ言ってみる。


シャワーを終えると、学はそこにいなかった。いないことにホッとする。そして思いつく。

「いないうちに帰っちゃお。」

急いで服を着る。意味不明な学から、一旦離れて冷静に考えてみたいのだ。

化粧もそこそこにリュックを肩にかけて、ドアに手を伸ばした。





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