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覚悟。

…ああ、どうしよう。

店員が気を遣って入れ直してくれた、2杯目のコーヒーが冷めてもまだ答えは出ない。答えは、本当は分かっている。自分が観念すればいいだけのこと。学は、よく待ってくれた。春奈にも太鼓判を押された。…でも、想像つかない。レディスコミックでを読んで、それがどんなものか、少しは知っているつもりだが。

「今日は帰ろうかな。」

学にガマンさせる泊まりなら、帰った方が良いかもしれない。そっと席を立ったときにLINEが届いた。学からだ。

『話したい。どこにいる?』

…どうしよう。何を話せば良いの?

『ミスドだけど…。』

『そこにいて。』

一分もしないうちに学が現れた。とりあえず急いでオーダーしたものをトレーに載せて、向かいの席に座る。

…気まずいな。怒ってるだろうな。

瑠奈はうつむいたままだ。

「顔、見せて?」

学の優しい声に、目尻がじわっと熱くなる。

「…もう、呆れてるよね?」

涙声で絞り出すように言う。

「そんなこと、ないよ。俺、無神経だったよな。…まあ、クッションはショックだったけどな。」

顔を上げるとバツが悪そうに笑う学と目が合った。途端に涙が溢れて、学が困った表情かおをする。

「ごめん。乱暴なことして。」

「さあ、帰ろう。」

「え…?今日は、学のとこじゃなくて、家に帰るよ。また、ガマンさせることになるでしょ?」

「瑠奈がいない方がつらいとしたら?」

イタズラっぽい表情かおで学が微笑わらう。

「またクッション投げちゃうかもよ?」

「今度は、よけるから大丈夫!さ。ドーナツ買って帰ろ!」

学は瑠奈の手を引いて立ち上がる。

学の強引さをいいことに、瑠奈は学についていってしまった。離れたくなかったから。


「瑠奈、おやすみ。」

学が抱きしめて唇を重ねる。

「ん…。」

瑠奈も抱きしめる。唇も腕も離したくなくて、力をこめる。学も唇を離そうとしないまま、手が瑠奈の喉から襟元をそっと撫でる。白い肩がのぞいて、学はハッとして、手を離す。

「ごめん…。」

瑠奈が手を握って、襟元に戻す。

「瑠奈?」

「離さないで。」

学の目を見つめて、抱きしめる。この時、初めて、瑠奈から唇を重ねた。




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