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いきなりの公認。

もともと、時絵のお気に入りだった学だったが、先日の振袖選びでいきなりの“公認の彼氏”になってしまった。おかげで瑠奈は門限も泊まりもいきなりのフリーになってしまった。雄一郎には、時絵からうまく言ってあるらしく、静かな日常を過ごしている。


「瑠奈?」

「何?」

学のマンションで並んでDVDを観ていた時のこと。おずおずと、学が切り出す。

「俺ってさ、朝倉家では公認じゃん?」

「だね。それで?」

「まだ、…ダメ?」

実は驚いたことにまだ“おあずけ”なのだ。泊まりでも、キスまででそれ以上のことは、起こってないのだ。

「う…。あらためてきかれても…。」

そう。あらためてきかれても困るのだ。この場合、いきなり押し倒す方がマシなのかもしれないが、相手は瑠奈である。最近おとなしくなったとはいえ、鉄拳が飛んでくる可能性は否めない。

「じゃあ。今、押し倒してもいい?」

言い終わると同時にクッションが飛んだ。

「無神経!バカ!嫌い!」

瑠奈は赤い顔をして怒鳴る。怒られたことで学は涙目だ。鉄拳ほど痛くないが、心は痛い。

学としては、瑠奈が怯えるくらいならと、待つことにしていたが、元気なお年頃なので、蛇の生殺し状態は、正直つらい。

と、瑠奈は荒々しい音を立てて出ていってしまった。


「あんなに怒らなくても…。」

怒って飛び出して数分後。やっと口を開いた学が発した一言だ。瑠奈に免疫がないのは承知の上だし、まだどこか怯えていることもわかっている。


「もう、イヤって言ってばかりじゃ、ダメなのかな。」

行き慣れたミスドでコーヒーを前に頬杖をつく。コーヒーは減らないまま、目の前で冷めている。ドーナツも手つかずのままだ。瑠奈としても、我慢させていることをわからないわけじゃない。だが、体を預ける踏ん切りがつかないのだ。


お互いに大好きなのは同じだが、この温度差は、もどかしい。

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