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家飲みするぞ。

「お待たせ。」

学がドリンクコーナーで座っている瑠奈に声をかけると、瑠奈が立ち上がる。

「お。来たね。早く帰ろ。」


「何ジロジロ見てんだよ。」

瑠奈の声に学がハッとする。帰りの電車の中、先ほどの拓也との会話の名残で思わず瑠奈の全身の上から下まで観察してしまっていたのだ。瑠奈の服装はジーンズにパーカー、革ジャンで、しかも瑠奈のこだわりでメンズのものを身につけている。スニーカーにしても、おおよそ女の子らしい配色ではない。髪が長くなければ、男に間違えられてもおかしくないコーディネートなのだ。この服装といい、日頃の行いといい、モテるなんてあり得ない。

「いや、別に…。」

…よく見れば、顔立ちはそんなに悪くないかもな。

「だから、何よ?ジロジロ見るな!」

…“何よー。見ないで~。”などという言い方ができないのか。いやいや、コイツがそんな言い方しても似合わないな。

思わず笑いそうになっているところに訝しげな瑠奈の声がかかった。

「今度は何ニヤついてんだよ。今日、ヘンだよ?」

「エ?そう?」

言いながらも、学は笑っていたことを自覚していた。やはり、瑠奈がモテるという事実は、学には、かなりの衝撃だったのだ。


「学?遊び歩いてない?最近、帰って来ないじゃないの。」

帰ってしばらくすると、母親が電話してきた。学が帰省しなくなっていることを気にしているのだ。

「別に。学校は行ってるよ。」

「たまには帰って来なさいよ。」

「ああ。そのうち帰るから。」

適当に返事をしてごまかす。母親の本当の用件はわかっている。見合い写真を見せたいのだ。学の実家は自営業で、そこそこの家なのだ。両親としては、跡取りの学に、早く見合いをさせたがっているのだ。

「彼女でもいるの?」

「いねーよ。だからって学生のうちから見合いする気はねーぞ。」

「そんなこと言わずに、早くお母さんたちを安心させてちょうだい!」

…やっぱり、そういう用事かよ。

「うるせえ!俺の人生だぞ!」

乱暴に電話を切ると、外に出た。特に欲しい物はないが、気分転換にコンビニに行くことにした。


「さてと…。」

コンビニでカゴを手にウロウロしてみる。とりあえず、朝食用にパンを買うことにして、選んだパンをカゴに入れる。パスタのソースを見つけ、手に取ってみる。夕食を食べていないことを思い出し、今夜の夕食はパスタに決めて、これもカゴに入れる。

「飲もうかな…。」

ビールやチューハイを手に考える。飲むのは、1人では寂しい。

…拓也は今日、バイト何時までかな。

『家飲みするぞ。来い!』

とりあえずLINEを入れて、拓也が好きなツマミを買って帰ることにした。


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