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照れる。

…どうしよう。びっくりして声が出ない。

「友達じゃないと、ダメ?」

不安げに学が覗き込む。見慣れているはずの学がどこか知らない人に見える。

瑠奈は、声が出ないまま、慌てて首を横にふる。

「良かった!」

ホッとした声で言うと、瑠奈を再び抱きしめる。

…こんなに、温かいんだね。

いつも一緒にいて、すぐそこにあった学の胸は広くて温かくて。聞こえる鼓動が心地よくて。優しい鼓動が瑠奈のモヤモヤを一気に溶かした。

瑠奈が学の腰に腕を回した時、学が瑠奈に唇を重ねる。

…キスってこんな感じなんだ。

顔が熱くなるのがわかる。唇を離すと、照れ臭くて顔が見られない。思わず胸に顔をうずめる。

「顔、見せて。」

「イヤ。」

もう照れ臭くて涙が出そうなのだ。

「どうして?」

「恥ずかしいから!見るな!」

「照れてるのか?意外だな。かわいい。」

学がクスクス笑いながら、また抱きしめる。

「笑うな!意地悪!」

「さ。帰ろう。」

瑠奈の背中をポンポンと優しくたたく。


学のマンションまで、手をつないで歩いている間、瑠奈はずっと下を向いていた。

「顔、あげて。」

「イヤ!」

また学がクスクス笑う。


マンションに着くと、また抱きしめられた。

「顔、見せてよ。」

「イヤ。恥ずかしい。」

「どうして?」

学もなかなかしぶといが、瑠奈は赤面しているであろう顔を見られまいと必死だ。

「笑わない?」

「笑わないよ?」

「は、初…めて…だったから…。」

声を絞り出すように言う瑠奈に、学はビックリして、言葉を失う。

…嘘だろ?キスすら初めてだった?

驚いていると、恐る恐る顔を上げる瑠奈と目が合う。

…可愛い!こんなに照れてる。

「ど、どーせ笑うつもりなんだ?」

「笑うワケないだろ!可愛いなあ!」

学は思わず抱きしめると、瑠奈がジタバタする。

「何すんだよ!可愛いとか、意味不明!」

「そのままで、いいよ。照れてる瑠奈って可愛い。」

「ぎゃん!」

学が唇を重ねると、瑠奈がびっくりして悲鳴を上げる。

「瑠奈ー。可愛い!」

学は瑠奈を抱きしめてはキスをする。瑠奈は照れまくりでパニック状態だ。

「可愛いとか、やめろよ!」

「そんなに照れると、押し倒すぞ?」

「ひっ…!」

学の声色が変わって、瑠奈はドキっとして顔を上げた。


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