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モヤモヤと友達。

…このモヤモヤした気持ちは、何?

涙を拭う瑠奈の頭は“?”だらけだ。どうしてこんな風に泣けてきたのかすら、わからない。

見上げると、星がひんやりと透明な光を放っている。いつの間にか暗くなっていたのだ。そんな暗い公園には、瑠奈と星空だけ。ベンチを見つけて、座ると、あらためて星空を眺める。

「どうして?」

誰に言うわけでもなく、問いかけてみる。

…学は、何を言おうとしていたの?私を拓也君あいつとくっつけたいの?私は要らない存在なの?


スマホが鳴る。LINEだ。

『どこにいる?誤解させるような話し方でごめん。連絡ください。』

見ると、電話も数回、着信があった。怒って飛び出して来てしまったけど、瑠奈としては、話の続きが気になる。

「どうしよう…。」

勢いよく出てきたは良いが、瑠奈は自分のいる場所がよくわからないのだ。新しくできた公園なのか、実は見覚えのあるそれなのか、暗さのせいか、サッパリわからない。

『公園。どこの公園かわからない。』

仕方なく、そう送信する。…と、すぐに返信が来た。

『わかった。そこから動かないで待ってて。』

「…見つけられなかったら、遭難しろってか。」

苦し紛れに悪態をついてみる。


スマホでゲームをしながら時間をつぶしてみても、上の空で、スコアはボロボロ。だが、瑠奈はそれすら気づくことなくプレイを繰り返していた。と、そこへ学からの電話の着信が告げられた。慌てて通話ボタンを押す。耳に当てようとすると声が漏れてきた。

「いたいた!おーい。右斜め前!」

顔を上げると、右斜め前で学が手を振っている。ホッとするとまた涙がこみ上げてきた。動けないまま涙を拭う。

「やっと見つけた!」

駆け寄ってきた学が肩で息をしている。

瑠奈が思わず抱きつく。

「あ。ご、ごめん!」

ハッとして離れると包み込まれた。

「こうしていろよ。このままで、聞いて。瑠奈といるのが当たり前だと思っていたんだ。でも、拓也や、他のお前のファンが現れて、すげームカついてさ。瑠奈が拓也をフった時に、自分の気持ちに、やっと気づいたんだ。」

…え?

「俺の実家に行ってくれた時のことも、本当になってしまえばいいって、思うようになってた。」

瑠奈はモヤモヤの正体がわかった。ずっと忘れていた気持ち。男の子に負けず劣らず腕白だった瑠奈は、男の子は遊び相手またはケンカ相手であって、そういう対象に思ったのは、本当に小さい頃。

小学校の頃、クラスでは、女の子たちは男の子にいじめられると、瑠奈のところに逃げ込んでくるから、その度に代わって成敗したものだ。

中学生、高校生の頃、委員会の仕事をサボる男子を殴って、注意された。友達を泣かせる男子を呼び出して、跳びげりをしたら、校長から、直々に呼び出された。いずれも親が呼び出され、そこそこの騒ぎになった。

つまり、瑠奈にとって男子というのは、長い年月の間、親交を深める相手ではなかったのだ。正直なところ、学と友達になったことだって、かなりの例外的なことといえよう。


「瑠奈?友達としてじゃなく、そばにいたい。」

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