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いいお嫁さんになりそうね。

「お疲れ様でしたー。」

バイト先を出ると同時にスマホを確認する。


「『手は無事。』???どういうコト?」

思わず通話ボタンを押す。


「‼︎」

学は慌てて外に出る。着信音に気づいてスマホを見ると、瑠奈からだったのだ。今の拓也に知られるのはまずいだろう。

「もしもし。」

「ちょっと、『手は無事。』ってどういうコト?他に怪我させちゃった?」

「いや、そうじゃ、ないんだ…えと…。」

どう言おうか迷っていると、室内の大声にかき消された。


「瑠奈ちゃ〜ん‼︎僕の手料理を‼︎」


「何、今の?」

「実は、拓也と家飲みしてるんだけど、出来あがっちまって。あの調子なんだ。」


「僕は瑠奈ちゃんに会いたいでーす‼︎もうあんなコトしないって約束しまーす‼︎」


「怖いよ…。」

最初の心配は何処へやら。瑠奈は、拓也はますますめんどくさいヤツだと感じる。

「お前を怒らせたことは反省しているぞ。そしてまだお前がいいらしい。」

「はぁ?」

思わず声が険しくなる。

「許してもらって、手料理を食べてもらいたいらしいぞ。料理が得意なんだ。」

「…いいお嫁さんになりそうね。学のお嫁さんになってもらったら?」

瑠奈は思わず薄笑いを浮かべて皮肉を言う。

「勘弁してくれ。そっちの趣味はないんでね。」

「学〜!誰と電話してんだよ。瑠奈ちゃんなら変わって〜。」

拓也の声が急に近くなった。

「とりあえず、切るよ。明日の朝は一緒に行かない方が良いみたいだね。」


また拓也が叫ぶ。

「瑠奈ちゃーん!学の家にいるから来てー!」


「ああ。わかった。じゃ…」

それだけ言って返事を聞くかどうかで電話を切った。拓也が何を言い出すかわからないので話さない方が良いと思ったのだ。

「春奈が見たらビックリするだろうな。」

瑠奈が独り言を言う。いやいや、春奈でなくてもビックリするだろう。事実、学がかなり驚いているのだ。酒が入ると騒がしくなるのはいつものことだが、一緒にいるうちでは、ここまで叫んだり泣いたりしたことは初めてだった。

「本当にショックだったんだな……。」

さんざん叫んで、カクッと寝落ちした拓也に毛布をかけながらつぶやく学だった。


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