合流~!
「カンパ〜イ!」
元気よくジョッキを合わせてビールをぐいっと飲む。
「かーっ!仕事の後の一杯だね!」
「お前はオヤジか!」
学が笑って突っ込む。…と瑠奈のスマホが鳴る。
「あ。今日はありがとう。ごめんごめん!後でメールするつもりだった。」
「もう戻ってるの?ゴハン食べようよ。」
電話の向こうで春奈が言う。
「えー。今、食ってますが。」
「じゃあ、そっち行っていい?合流しようよ。拓也君も一緒だし。」
「拓也君も一緒なの?」
言いながら学に目配せすると、口の形で「いいよ」と言った。
…大口開けてガツガツいきたいところだから、学と2人の方が気が楽だけど、春奈と拓也君なら、まあ…いいかな。
「焼肉食べ放題だけど、平気?店は拓也君が知ってる。」
「拓也君も大丈夫って言ってる!行くね!」
ほどなくして、春奈と拓也が店にやってきた。
「お疲れ様でした~!」
4人揃ったところで、改めて乾杯する。
「で?どうだった?」
「まあ、なんとか会わずに断ってもらえそうだよ。」
「良かったな。」
「ところで、瑠奈の印象は?スタイリストとして、とても気になる!」
「姉貴が、えらい気に入ってくれたみたいで、今度メシ行こうって。」
「すごーい!よかったね~。」
春奈が目を輝かせる。
「親御さんの方はどうだったんだよ?」
「お袋がキレてた。親父は断るつもりでいる。」
拓也が瑠奈に同情するような目を向けると、瑠奈は慌ててフォローした。
「い、いやその…女装は疲れた!せっかく着せてもらったけど、とっとと着替えちゃった!ごめん!」
瑠奈がニカッと笑うと、3人もつられて笑った。
「いーよ。いーよ。気に入られなくても。目的は達成したみたいだから。祝杯でしょ!オラ、もっかい乾杯!」
瑠奈がジョッキを上げる。
「よっしゃ!今日は徹夜だ!」
拓也が加勢する。
「ところで、拓也。ずっと春奈ちゃんと一緒にいたのか?」
ザワザワしている中、学がコソッと拓也に話しかける。
「そうだけど?勘ぐるなよ。買い物してただけなんだから。俺は、瑠奈ちゃんがいいの!」
…悩ましいことを言うヤツめ。
「その件だけどな…。」
「おい!お前ら、何コソコソ話してんだよ!怪しいぞー!もう一杯飲むぞ!学!オーダーして!」
すっかり出来上がった瑠奈は上機嫌だ。おかげで会話がかき消されてしまった。が、全員が酔っぱらっているので、今夜はとりあえず、うやむやのまま、夜は更けていった。




