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吉野の家の面々その①

学の実家に着くと早速、応接間に通された。家具も何もかもが、朝倉家のものより高級そうだ。ソファの座り心地も全然違う。学と並んでソファに座っているとメガネをキラリと光らせた女性がやってきて、向かいのソファに腰を下ろした。

「初めまして。学の母、櫻です。」

「お袋。電話で話した、彼女。」

「あ、朝倉瑠奈と申します。」

慌てて頭を下げる。瑠奈の母親とは、正反対のタイプに、すっかり圧倒されてしまった。

…ドラマに出てくるお受験ママみたーい。教育ママゴンだ。こわいよー。

この母親ひとを攻略しないといけないのかと、瑠奈は早くも不安になった。

「そう。朝倉さんとおっしゃるの。ご両親のご職業は?」

「いきなりそんなこときくなよ。失礼だよ。」

「教師です。」

用意しておいた筋書きを読み上げるように答える。

「どちらの学校の?担当教科は?」

「よせよ!」

「いいじゃない。お見合いを断るほどのお相手かどうか知る権利があります!」

「瑠奈は、同じ大学に通っています。今、お付き合いしています。結婚も考えています。だから、見合いはしません。」

場が一瞬だけ静まり、数秒の間ののち口を開いたのは櫻だった。

「待ちなさい。お付き合いと結婚は別です。朝倉さん、良いお友達でいてくださいね。」

「俺は、肩書きや見栄と結婚する気はない!瑠奈、行こう。」

びっくりしていると、学が瑠奈の手を引いて外に出る。

「ごめんな。」

「私こそ。役に立てなくて。」

「あ。見ーつけた!」

声が聞こえて振り返ると、髪の長い女性が駆け寄ってくるところだった。

「良かった!間に合って!」

「あ。姉貴、出かけてたの?」

「そうよ。学の彼女がどんなか会ってみたくて、急いで帰ってきたの。」

彼女は肩で息をしながら笑顔を見せた。

「初めまして。姉の佳奈です。」

「朝倉瑠奈と申します。」

瑠奈がぺこりと頭を下げる。

「で?お母さんの反応、どうだったのよ?お父さんは?」

「イヤ。お袋があまりに失礼だから、親父にも会わせないまま、とっとと出てきたんだ。」

「そう。大変だったわね。瑠奈ちゃん、だっけ?とりあえずで、彼女役をやってくれたんでしょう?」

佳奈が瑠奈に向き直る。

「なんでわかるんだよ?」

「お母さんは騙せても、私は騙せないわよ。」

「姉貴には勝てないな…。」

学が苦笑する。

「ねえ、瑠奈ちゃん。もうしばらく、彼女のフリしてて?」

「何を考えてんだよ?」

「よくここまで来てくれたね。私、瑠奈ちゃんのこと、気に入った!」

佳奈がニヤリと笑う。

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