5話:罠作り&仕掛け
「んんん……。………やべ寝ちまった。くそっ、何が起きるか分からないのに罠も仕掛けないで…」
太陽がもう昇り始めていて、枝葉の隙間から光が漏れている。俺はいつも同じ時間に起きているから目覚ましがなくても時間通りに起きられる自信がある。すなわち今の時間は6時頃だと思うのだが、何かいつもより太陽が昇っている気がする。
時差がほぼ無いので日本と同じ位置にあると思うのだが7777人があまり出会う事の無い広さがある無人島なんてあっただろうか。俺は日本周辺の島の事とか全く知らないので絶対とは言えないが、たぶん無いと思う。
「はぁ、考えも仕方ないか…さ、気分を入れ替えて、朝ご飯でも食べますかね」
そういえばトランクを木の下に置いたままだったが、どうやら無事なようだ。辺りに獣の足跡も無い。他の木より3倍ほど大きいこの大樹は獣を寄せ付けない何か不思議な能力があるのかもしれない。
我ながらいい木を見つけたものだ。枝葉のおかげで丁度いいくらいの日光しか入らないし、枝がしっかりとしていて折れて落ちる心配もない。
さて、今日することだが罠を仕掛けようと思うのだ。獣は近づか無いと思うのだが、人は分からない。この大きな木をどこからか見つけて、やって来るかもしれない。
そんな訳で罠を作ろうと思うのだが、罠と言っても落とし穴や蔓を張り触れたら音がする様な原始的な物ではなく、昨日手にいれた超能力、<爆破操作>を使った近代的な地雷を作ろうと思うのだ。
昨日の男が言うには爆発の時間設定が出来るらしい。だったら、踏んだら爆発する物も作れるはずである。
という訳で早速実験開始である。
~実験開始から1時間後~
結論から言うと可能である。作成に約10秒程の時間がかかるが簡単に作れる事が分かった。
ON、OFFも可能であり、俺がどこか出かけるために地雷の上を歩く時は一時的にOFFにし、地雷を通り過ぎればONにすればいいのだ。遠隔操作も可能だが操作可能範囲は約10メートルである。
その他にも分かった事がある。
爆発の威力は素材にする物の大きさによて変わるのだ。砂程の大きさなら爆竹程度直径5センチメートル程だったら手榴弾程度。10センチ程なら手榴弾の3倍程の威力がある。
それ以上の大きさは試していないが、上限があれば無理だがもし上限が無いなら素材の大きさ次第で、核爆弾程の威力が出せるかもしれない。
まぁ、そんな危険な事はしないが、もしこの事にあの男が気づいていたと思うとぞっとしない。
その他にも拳銃の弾の様に全てを爆発させるのでは無く、特定の部分だけ爆発させる事で、爆破された部分の反対方向へ石を飛ばす事が出来るようになった。その威力はそこらに生えていた木を貫通できる程の威力がある。同じ石に二重の爆発操作を付与する事ができたならミサイルのように着弾と同時に爆発させる事が出来たのだが、どうやらそれは無理のようだ。 まぁ出来ないのは残念だが、銃のように目視出来ない攻撃手段を手に入れられたのでよしとしよう。
実験が終わり8センチ程の地雷を何百個も作り寝床周辺に埋め、地雷をOFFにして踏み埋めた後が分からないようにした。
作業が終わるともう太陽が沈みかけていたので、川で体を洗った後大樹の上で夕飯(弁当)を食べた。今日の昼は食べなかったから後一個残っているが、明日朝食を食べたら終わりだ。飢えないためには獣を狩って食べるか人を殺すしかない。
人を殺す覚悟は出来ているのだが、まだ自分から襲う程の決意は無い。
「(本当、俺たちをここに連れて来た奴は狂ってるな)」
人を襲えないなら獣を狩るしかないのだが、上手くいくだろうか。飛び道具のような攻撃手段は持っているが、遠くから狙っても当たらないだろう。当てるためには必然的に近距離から狙うしかないだろう。だが、獣に当てられるような距離まで近づくと、必ず気付き逃げるだろう。通り道に地雷を仕掛けるという方法もあるが、野生の感で逃げられるかもしれない。
そもそも俺たち人間が超能力を使えるような島なのに普通の獣がいるのだろうか。居ないに違いない。いたとしてもファンタジーな小鬼やドラゴンのような化け物がこの島でいう獣なのかもしれない。
考えれば考える程恐ろしくなっていくのだが、どうせもう夜だ。考えるのは明日になってからでいいだろう。
そう判断した俺は空の弁当箱とペットボトルをトランクに戻し、地雷をONにしてから寝床に寝っころがった。
この時の俺はまだ気づいていなかった。こんな蒸し暑い島で弁当が2日ももつはずがない事に……
作者は近代兵器の知識はゼロです。こんなのある分けない、という所がありましたらご報告お願い致しますm(_ _)m