3話:勝利
爆発にある程度適応した俺でも直接くらえば、怪我ですむか分からない。と言うよりたぶん無理だろう。だが、このまま少し離れた所で爆発させて適応度を上げれば、もしかしたら至近距離でくらっても無傷でいられれるかもしれない。しかし、適応出来る爆発に上限があるかも知れない。
「(さて、どう攻めようか)」
今後のためにも目の前で歯ぎしりしている男は殺さなければならない。もしかしたら殺さずに捕らえる事が出来るかも知れないが、例え捕らえても食料や住処がない無人島では自分が生きるために確保するだけが精一杯だ。それ故、捕らえた後選択できる選択肢は2つ。一つ目は逃がす。2つ目は殺す。一つ目はボツだろう。もし逃がしてしまったら俺と同じように襲われる人がでるかもだし、後ろからドカンとやられるかもしれない。二つ目を選ぶならどっちにしても殺すのだから、今殺しておいたほうが逃げられる心配がないので安全だ。
「(ぺっ、砂煙のせいで口の中に砂が入るな。砂…砂煙…そうか、それがあった。)」
俺は地面を蹴り男に向かって駆け出す。
「ばーか。向かって来てどうすんだよ」
男が大きく振りかぶって石を投げる。瞬時に右に避け石を回避、すぐ後ろで石が爆発し砂煙が立ち込めるが、そのまま走る方向を戻さず男の横を走り抜ける。
「っ!逃げる気か、腰抜け野郎が」
男が石を投げたであろう風切り音が聞こえると同時に左へ曲がり石回避。そしてまた石を投げられると左へ回避する。これを2回繰り返すと男の周りにはもうもうと立ち込める煙の壁が出来ていた。
「(よし、成功だ)」
「クソッ、何だよこの煙。どこ行きがった腰抜けぇ!」
男が大股でこっちに歩いて来ているだろう音が聞こえてくる。チャンスだ。
「とっとと出てこいや!今なら楽に殺してやるぞぉぉ!!」
「悪いがそれはお断りだね」
そう言ってポケットからナイフを抜き、男の首へ突き刺さした。
「な?いつの間に後ろーーーグァアアアァ…ア…アァ…ッ!!」
血が噴水のように勢いよく出てナイフと俺の手に汚す。やがてゆっくりと前のめりになり砂浜に倒れた。
「ふう…やっと終わっーーッ!」
ソレを見た俺は全力で後ろにジャンプした。その瞬間男の手からこぼれ落ちた石が爆発した。
ーードッカァァン
「プハッ!!」
後ろにジャンプしたおかげか、適応度が上がったのかダメージは無く、口の中に砂が入っただけだった。
「最後の一撃って奴か、恐ろしいな…ん?」
爆発した後に残っていたのは男の死体ではなく、黒いスーツケースだった。
「死体がない…?」
スーツケースの前に座り、開けてみる。
「おぉ!」
そこにはペットボトルに入った水3本と弁当が3つ入っていた。
「(唐揚げ弁当と魚フライ弁当に冷やし中華弁当か……コンビニ産だな…。
1日分の食料が残るってこういう事か…嫌能力くれたもんだ、まぁ、死体が残るよりまましか)」
ナイフを回収しスーツケースを閉じて森の中へ入る。
「(爆音聞きつけて人がやってきたら厄介だからな…)」
※※※ ※※※ ※※※
「(ふぅ、意外と簡単に見つかったな川)」
足を川岸に座り水に足をつけながら仰向けに寝そべり空ーーといっても枝や葉に遮られ光が漏れてくるだけだがーーを見上げため息をつく。
「(はぁ、今日はいろいろな事あって疲れたな、少し休憩だ。 その間にステータスでも見るか)」
[経過:プレイヤー撃破を確認。
超能力<????>の第一能力を発動します。
<爆発操作>を取得。
体が耐えられません。崩壊します。
超能力<適応>を発動。
適応しました。
超能力:<適応(暑さ適応{耐性}:43%)(爆発適応{耐性}:83%)(熱適応{耐性}:54%)(視力適応{速度}:38%)(疲労適応{耐性}:29%)><????><爆発操作>
スキル:<気配察知Lv1>
残り77753人]